カコトック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
Qaqortoq
Julianehåb
Qaqortoq

紋章
Qaqortoqの位置
Qaqortoq
Location within Greenland
座標: 北緯60度43分20秒 西経46度02分25秒 / 北緯60.72222度 西経46.04028度 / 60.72222; -46.04028
State デンマークの旗 デンマーク
構成国 グリーンランドの旗 グリーンランド
Municipality Kujalleq-coat-of-arms.svg クジャレック英語版
創設 1774
行政
 - 町長 サイモン・シモンセン
人口 (2013)
 - 計 3,229[1]
等時帯 UTC-3
郵便番号 3920
ウェブサイト qaqortoq.gl
街並み

カコトックグリーンランド語: Qaqortoq)は、グリーンランド南部の町。

人口は約3,100名と、グリーンランド南部で最も大きな町のひとつである。があり、漁業などが行われている。カコトックはグリーンランド語で「白いもの」という意味である。なお、カコトックの地方自治体はこの町と周辺の3つの集落を管轄している。近郊にあるハヴァルセー(Hvalsey)の遺跡はグリーンランドにおけるノース人の遺跡として知られている。

歴史[編集]

カコトック周辺は先史時代から人が居住していた。約4,300年前にサカク文化は始まり、連続的に人類が住み着いた。

サカク文化[編集]

人が居住していた最初の兆候はBPにより、約4,300年前と推定される。 サカク時代の居住地はグリーンランドに多数あるが、なかでもカコトック周辺の居住地はあまりに顕著である[2] 欠けた石のドリルなどの道具も見つかっている[3]

ドーセット文化[編集]

ドーセット人は約2,800年前にカコトック周辺に到着した。[4] 初期のドーセット文化英語版の特長であるいくつかの長方形の泥炭住居構造がカコトック周辺の広い領域で見ることができる。

ノース文化[編集]

南グリーンランドの歴史は10世紀後半のノース人の到着で始まる。 ハヴァルセー(Hvalsey)の遺跡 – グリーンランドにおけるノース人の遺跡としてもっとも広く知られる遺跡 – はカコトックの北東19キロメートル (12 mi)に位置する。 ノース人とトゥーレ人の間で一般的、制限された貿易がわずかに行われていた。その地域のトゥーレ人居住地にから見つかった少数の小説や外来品を除いた証拠は、文化交流が最初は散発的だったことを示している。その後、南グリーンランドのノース人はヨーロッパ向け象牙の主要な供給源として南部イヌイットとの貿易を始めた。 ノース人の時代は15世紀半ばで終わるまで、ほぼ500年間続いた。ノース人の最後の記録は1408年のHvalseyjarfjord教会での結婚式である。[5]

トゥーレ人[編集]

トゥーレ人英語版とよばれるトゥーレ文化のイヌイットは、南部グリーンランドとカコトック地域に約12世紀頃にノース人とほぼ同時期に到着した。しかし、初期の接触はほとんど証拠が存在しない。トゥーレ文化は自給自足を特徴とする。住居や道具が発見されている。

植民地化から現在まで[編集]

現在の町はデンマーク=ノルウェーの商人でGeneral Trading Company英語版の代表アンダース・オルセンにより1774年に造られた。[6] デンマーク女王ユリアーネ・マリー・フォン・ブラウンシュヴァイクにちなんでJulianehaabと命名された。しかし、"Julianshaab"と誤表記されるときがある。[7] Juliana's Hopeとイギリス風の名前であった時もあった。[8] タテゴトアザラシ貿易の主要な中心地となり[9]、現在でもアザラシ皮鞣しの本場である。

2008年12月31日まで、カコトックの自治体の行政の中心地だった。2009年1月1日、カコトックは最大の町及びクジャレック自治体の行政の中心地となり、カコトックの自治体ナルサークNanortalik英語版は消滅した。

観光名所[編集]

歴史的建造物[編集]

カコトック博物館の建物は元々町の鍛冶屋の店であり、1804年に黄色の石で建築された。

歴史的な植民地の港であり、最古の建物は1797年建築の黒タール丸太の建物である。[10] デンマーク王室の建築家Kirkerupにより設計され、デンマークであらかじめ組み立てられ、現地に輸送し、再度組み立てられた。

ストーン&マン[編集]

1993年から1994年まで当地の芸術家Aka Hoegh英語版Stone & Man計画を主宰し、町を露天のアートギャラリーに設計した。フィンランドスウェーデンノルウェーアイスランド、グリーンランド、オーランド諸島の18人の芸術家達が町の岩壁と岩に24の彫刻を刻んだ。現在町には40以上の彫刻がある。

噴水[編集]

1927年建築のMindebrøndenはグリーンランド最古の噴水である。[11]シシミウトに噴水ができるまで、グリーンランド唯一の噴水だった。観光地では、鯨が噴気孔から、潮を吹く姿を噴水としている。[12]


交通[編集]

2008年のカコトックヘリポート

航空[編集]

カコトック・ヘリポート通年でNarsarsuaq Airport英語版へ運航し、 間接的に、グリーンランド、ヨーロッパを結んでいる。現在、固定翼機用滑走路の建設に関して、査定が進められている。もし建設された場合、 カコトックは北米大陸とヨーロッパ間の航空輸送の中継港となる可能性がある。

この問題は2007年に事前協議され、民主党進歩党に対して、[13] 生態と環境への懸念を理由に反対した。これとは対照的に、現在民主党はヨーロッパ大陸への旅客便が発着可能な 1,799メートル (5,902 ft) の滑走路の建設に向けたロビー活動をしている。一方、進歩党とエア・グリーンランド[14]アイスランドと カナダ東部向けのより短い 1,199メートル (3,934 ft)の滑走路を支持している。[15]Narsarsuaqから空港への移動にはデンマーク・クローネで9億(€120.7m, US$177m)程かかる。[16] 現在Narsarsuaq空港は直接的または間接的に140人を雇用しているため、地元議会は空港閉鎖に伴う雇用への影響を理由にその計画に反対している。[17]

現在空港にすることが可能な場所は5か所ある。それらのうち4か所は–Prinsessen、Nunarsuatsiaap Kujalequtaa、Munkebugten、Narsaqへ行く途中 –で1,199メートル (3,934 ft)ほどの国内専用である。町の北西NuupilukとMatup Tunuaのみ2,100メートル (6,900 ft)程あり、長距離路線に対応可能である。

道路[編集]

カコトックの夏

グリーンランド全土の特徴でもあるが、カコトックは道路で他の街と繋がっていない。地形対応した自動車でないと走行できないため、かなりよく踏みしめられたハイキングコースが町から北と西へと続いている。であるから、冬の間は、スノーモービルが用いられる。

海上[編集]

Arctic Umiaq英語版フェリーの港がある。[18] カコトックの港湾局はNuukにあるRoyal Arctic Line英語版である。 深さ50フィート (15 m)程で、500フィート (150 m)の大きさの船までが入港できる。[19] 職員は水先案内もするが、タグボートではない。

経済とインフラ[編集]

カコトックの秋

カコトックは海港であり、貿易中心地である。魚やエビの加工業、製革業、毛皮の生産、船のメンテナンスや修理は重要な産業であるが、経済は主に教育、行政サービスに支えられている。主な産業は漁業、サービス業、公共事業である。[20]

地元の自給自足経済は長くRoyal Greenland Trading Department英語版に独占され、saddle-back seal を資源としていた。[9] 現在、Great Greenland Furhouse英語版は町の主要企業であり、この島の主要なアザラシの皮の購入者である。グリーンランド全体にも言えることであるが、デンマークからの投資に大きく依存している。輸出額のうち、70.1%がデンマーク市場に向かっている。[21]


雇用[編集]

グリーンランド全体と同様に、 南グリーンランド。–カコトックを含む– の失業率は依然として高い。2010年には、2009年比約1.2%増の10.4%であった [22] 。同時期のグリーンランド外生まれの労働者の失業率は就業適齢人口の0.1%であった。

エネルギー[編集]

カコトックの電力はすべて官有企業Nukissiorfiit英語版によって供給されている。2007年から、カコトックは70 kVの電源ライン70 kVの電源ラインで主にQorlortorsuaq Dam英語版より電力を得ている。以前、町の電力は、いわゆる"bunker fuel generators"によって供給され[23] 、3つのディーゼル船舶エンジンが使われていた。[24]

教育[編集]

カコトックは南グリーンランドの教育中心地であり、小学校、中学校、高校がり、 a folk high school は1977年に労働者の大学(Sulisartut Højskoliat) として始まった。商学部と基礎的専門学校を抱える。[25]

健康[編集]

カコトックにはNapparsimavik Hospital、正式にはNapparsimavik Qaqortoq Sygehusがある。同病院は南グリーンランドの中心的な 病院でもある。59人のスタッフで、現在18床を有す。[26] カコトック地区の3つの村– Eqalugaarsuit英語版Saarloq英語版カッシミウト – もまた同病院の医療地区である。緊急時、これらの村は海上経由などで医療搬送が行われる。2010年の夏の間、 病院ではグリーンランド産の野菜ばかりを使用していた。[27]

観光[編集]

観光は町の経済に大きな影響力を持っている。The Qaqortoq Tourist Service – Greenland Sagalands – が観光局である。観光客の約3分の2(65.5%)は、デンマーク人である。[21]Qaqortoq Hostel英語版を含むいくつかの宿泊施設がある。カコトック博物館は、英語、デンマーク語、グリーンランド語でのサービスを提供している。The Great Greenland Furhouseは人気の観光地である。観光客はカヤック、ガイド付きハイキング、ホエールウォッチングクロスカントリースキー、ボートなど一年中楽しむことができる。近年、一晩町に滞在した観光客の平均は、1年で1,700人であり、観光収入は減少している。[28]

冬のカコトック

地理[編集]

ラブラドル海に面したカコトックフィヨルドに位置し、座標は約北緯60度43分20秒 西経46度02分25秒 / 北緯60.72222度 西経46.04028度 / 60.72222; -46.04028

人口統計[編集]

2013年現在、3,229人の人口を数え、クジャレック自治体最大の町。[1] 1995とほぼ同水準である。カコトックのグリーンランド原住民の間には男女間の不均衡が存在せず、唯一の不均衡と呼べるのが男性の5人に3人がグリーンランドの外で生まれた住民であることである。 グリーンランドの外で生まれた住民は1991年の20%から減少したが、2001年に9%弱を占め、2011年には10%を占めた。[29]

Qaqortoq population dynamics
Qaqortoq population growth dynamics, 1991-2010. (Source: Statistics Greenland)


気候[編集]

冬に雪が多く、夏は涼しい、海洋の影響を受けた寒帯気候である。グリーンランドの南端に位置するため永久凍土がない。[30]

Qaqortoq, Greenland (1961-1990)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C (°F) −2.2
(28)
−1.7
(28.9)
−1.0
(30.2)
2.8
(37)
6.9
(44.4)
9.2
(48.6)
11.1
(52)
11.0
(51.8)
8.0
(46.4)
3.9
(39)
0.8
(33.4)
−1.4
(29.5)
3.95
(39.1)
平均最低気温 °C (°F) −9.2
(15.4)
−8.8
(16.2)
−8.4
(16.9)
−4.4
(24.1)
−0.4
(31.3)
1.3
(34.3)
3.3
(37.9)
3.7
(38.7)
1.9
(35.4)
−1.7
(28.9)
−5.0
(23)
−7.8
(18)
−2.96
(26.68)
降水量 mm (inch) 57
(2.24)
51
(2.01)
57
(2.24)
56
(2.2)
56
(2.2)
75
(2.95)
97
(3.82)
93
(3.66)
92
(3.62)
72
(2.83)
78
(3.07)
73
(2.87)
857
(33.71)
出典: Danish Meteorological Institute[31]

姉妹都市[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b Greenland in Figures 2013. Statistics Greenland英語版. ISBN 978-87-986787-7-9. ISSN 1602-5709. http://www.stat.gl/publ/en/GF/2013/pdf/Greenland%20in%20Figures%202013.pdf 2013年9月5日閲覧。. 
  2. ^ Bjarne Grønnow. “Saqqaq culture chronology”. National Museum of Denmark. 2011年5月10日閲覧。
  3. ^ Bifacial tool/projectile point”. National Museum of the American Indian. 2011年5月10日閲覧。
  4. ^ Early Dorset / Greenlandic Dorset”. National Museum of Denmark. 2011年5月10日閲覧。
  5. ^ Kenn Harper (2012年8月2日). “Taissumani: Sept. 16, 1408 – Wedding at Hvalsey Church”. Nunatsiaq Online. 2012年8月2日閲覧。
  6. ^ Marquardt, Ole. "Change and Continuity in Denmark's Greenland Policy" in The Oldenburg Monarchy: An Underestimated Empire?. Verlag Ludwig (Kiel), 2006.
  7. ^ Colton, G.W. "Northern America. British, Russian & Danish Possessions In North America." J.H. Colton & Co. (New York), 1855.
  8. ^ Lieber, Francis & al. Encyclopædia Americana: A Popular Dictionary of Arts, Sciences, Literature, History, Politics and Biography. "Greenland". B.B. Mussey & Co., 1854.
  9. ^ a b Kane, Elisha Kent. Arctic Explorations: The Second Grinnell Expedition. 1856.
  10. ^ Lynn Kauer. “Qaqortoq”. 2011年4月6日閲覧。(英語)
  11. ^ Greenland.com The Official Tourism and Business Site of Greenland”. 2011年4月6日閲覧。
  12. ^ O'Carroll, Etain (2005). Greenland and the Arctic. Lonely Planet. pp. 115. ISBN 1-74059-095-3. 
  13. ^ “Ufred hos Demokraterne” (Danish). Greenlandic Broadcasting Corporation. http://www.knr.gl/en/node/29241 2011年4月19日閲覧。 
  14. ^ “Air Greenland støtter forslag om Qaqortoq lufthavn” (Danish). Greenlandic Broadcasting Corporation. http://www.knr.gl/da/news/air-greenland-st%C3%B8tter-forslag-om-qaqortoq-lufthavn 2011年4月27日閲覧。 
  15. ^ Lufthavn i Qaqortoq. Ja, tak” (Danish). Kamikposten. 2011年4月23日閲覧。
  16. ^ “Turismeerhvervet i Sydgrønland frygter nye lufthavnsplaner” (Danish). Greenlandic Broadcasting Corporation. http://www.knr.gl/da/news/turismeerhvervet-i-sydgr%C3%B8nland-frygter-nye-lufthavnsplaner 2011年4月27日閲覧。 
  17. ^ “Rungende nej til flytning af lufthavn” (Danish). Greenlandic Broadcasting Corporation. http://www.knr.gl/da/news/rungende-nej-til-flytning-af-lufthavn 2011年4月27日閲覧。 
  18. ^ AUL, Timetable 2009 (PDF)”. 2011年4月6日閲覧。
  19. ^ Port Qaqortoq, Greenland”. SeaRates - Sea Freight Exchange. 2011年4月27日閲覧。
  20. ^ Information about the town Qaqortoq”. 2011年4月10日閲覧。
  21. ^ a b Greenland in figures 2009”. 2011年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月11日閲覧。
  22. ^ Unemployment first 6 months 2010 (PDF)” (Danish). Statistics Greenland. 2011年4月11日閲覧。[リンク切れ]
  23. ^ Arctic Sunrise, Greenpeace USA”. Greenpeace USA. 2011年2月13日閲覧。
  24. ^ QORLORTORSUAQ – Hydroelectric Project”. Verkis. 2011年2月13日閲覧。
  25. ^ Blue Ice Explorer”. 2011年4月10日閲覧。
  26. ^ Napparsimavik Qaqortoq Sygehus” (Danish). 2011年4月10日閲覧。
  27. ^ “Yum yum”. Sikunews. (2010年10月14日). http://www.sikunews.com/News/Denmark-Greenland/Yum-yum-8110 2011年4月10日閲覧。 
  28. ^ Tourisme - Qaqortoq Kommunia 2004-2014 (PDF)” (Danish). Kujalleq Municipality. 2011年5月8日閲覧。
  29. ^ Statistics Greenland”. Statistics Greenland. 2011年4月7日閲覧。
  30. ^ Nyegaard, Georg (2009). Journal of the North Atlantic - Restoration of the Hvalsey Fjord Church. Eagle Hill Foundation. pp. 192. 
  31. ^ Danish Meteorological Institute” (Danish). 2010年5月3日閲覧。