カウル・ユニット

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カウル・ユニットの一つであるGM EMD F40PH

カウル・ユニット(Cowl unit)とはディーゼル機関車の形態の一種で、フード・ユニットの車体を車幅いっぱいにまで広げた機関車である。外見上は片側運転台となり、キャブ・ユニットと同様の構造に見えるが、車体外板はエンジン等の機器を覆うだけのもので、キャブ・ユニットのように強度を負担することはない。

歴史[編集]

カウル・ユニットは、アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道の要求に応じて製造されたものであった。その要求とは、列車としての美観を向上させるために、車幅いっぱいのカウルをフード・ユニットのフレームに搭載し、さらに全長いっぱいに伸ばすというものである。

そのような車体ならば、旅客列車牽引時には機関車と客車の幅が揃うため編成美が保たれ、フード・ユニットのようなフード脇のランボードもないのでそこに乗客が乗ってしまうこともない。また、車体を装飾したり、乗客に向けて広告的な塗装を行うこともできる。

カウル・ユニットの短所は、後方視界の悪さである。それを解消するために、EMD SD50F形ディーゼル機関車SD60F形ドラッパー・テーパーと呼ばれる(カナディアン・ナショナル鉄道の機関車担当アシスタントチーフの命名による)形状を持つ。これは、運転室のすぐ後ろ側の部分の車体幅を狭くしておくもので、これによって後方視界はいくらか向上した。屋根はそのまま車幅いっぱいのものが残された。あくまで後方視界確保のためであり、機関車そのものが前後両方向に自由に動けるものではない。

旅客用カウル・ユニット機関車[編集]

参考文献[編集]

  • Pinkepank, Jerry A., and Marre, Louis A. (1979). Diesel Spotter’s Guide Update, pp.70-79. Kalmbach Publishing Co. ISBN 0-89024-029-9.

関連項目[編集]