オーロラビジョン

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CEATEC JAPAN 2005 三菱電機ブース
基町クレド、オーロラビジョン

オーロラビジョン (AURORA VISION) とは三菱電機株式会社が開発製造している大型映像装置の名称である。また、フルカラー大型映像装置の一般呼称としても用いられる場合がある。

概要[編集]

輝度の高い自発光型素子であるCRT、またはLEDを表示素子に採用しているため、屋外でも利用しやすく、屋外にある大型ディスプレイの代表。しかし、表示素子の小型化に限界があるため、高精細化は困難であり、家庭用テレビには不向きである。

三菱電機は全長70メートル(1,000型)を誇る巨大なディスプレイを開発し、ギネスブックにも認定され、注目を浴びた。

オーロラビジョン」という名称は、三菱電機によって商標登録されている(第1183316号。海外では「DiamondVision」(ダイヤモンドビジョン)という名称で販売されている)。

装置形式の変遷[編集]

CRT方式
表示素子に、3原色の単色ブラウン管を採用した方式。
フラットマトリクスCRT方式
表示素子に、後述するLED方式の台頭に対抗するべく、同社が独自に開発した大型映像装置用表示素子であるFMCRT (Flat Matrix CRT) を採用した方式。
当時屋外用には不向きとされていたLED方式に比べ、高輝度を実現するとともに、従来方式に比べ狭ピッチ化を実現した。
LED方式
表示素子に3原色のLEDを採用した方式。発売当初(1996年)は、CRT方式に対して輝度・視野角・コスト等で劣っていたことから、屋内用、中小規模用として発売されたがその後のLEDの高輝度化・低消費電力化・低コスト化により、CRT方式を駆逐するに至った。

2006年現在、同社の大型映像装置のラインナップは全てLED方式に置き換わっている。

オーロラビジョン R-STAY[編集]

行先表示機にオーロラビジョンを用いた名鉄3150系電車
オーロラビジョンR-STAYの設置例(名鉄2200系電車の側面行先表示機)。仕切を境に2台の表示装置から構成されている。この2台は左右で天地交互に配置されている。

256色の表現が可能な表示デバイスとして、従来方式とは全く異なる表示方式のオーロラビジョンR-STAYと呼ばれる製品もリリースされた。

電力を消費するのは表示切替時のみで、表示後は無電源の状態で最長約半年間の持続が可能である(ただし、夜間や暗がりなどでの環境下では別途蛍光灯など照明を用意する必要あり)。また、LEDなどを用いたものに比べ、かなり高精細に表示することができる。

当初から交通関連の情報案内表示や広告媒体などへの採用を見込んで発表されたが、現在のところ本格的に導入しているユーザーは名古屋鉄道列車行先表示器で採用したのと、東京競馬場の実況用ケース[要出典]程度である。

三菱電機では「反射型表示デバイス」と銘打って販売していたが、名古屋鉄道では導入当初、利用客へ解りやすく説明するため、便宜的に「反射式液晶」と報道向けに称していた。なお、表示原理そのものは三菱電機側が上記のように呼んでいるように、「液晶」そのものとは全く別の方式である。 三菱電機では「反射型表示デバイス」と銘打って販売していたが、他にこれといったセールスが無かったため、新規顧客向けの生産は早々と打ち切られ、2007年には名古屋鉄道向けに、視認性を改善したモデルの生産がなされていたが、その名鉄も2008年に新造した2代目名鉄5000系電車ではLEDを採用することとなった。

開発エピソード[編集]

三菱電機は1970年代、中央研究所に「情報交換会」を創設した。ある日の情報交換会で巨大ディスプレイのアイデアを出し、実現したのが「オーロラビジョン(輸出名はダイアモンドビジョン)」である。

ある球団のオーナーから「大差で負けている時に、観客を帰らせない方法を考えて欲しい」という情報が入ってきた。そこで情報交換会でブレインストーミングを行ったところ「以前のファインプレーのビデオを観客に見せてはどうか」というアイデアが出た。しかし、ディスプレイをどこに置くが問題となった。

40年前には個人用のディスプレイがないため、これを外野席に置くしかなかったが、観客に選手の顔を判別させるには、8m×10mの大きさが必要となる。しかしブラウン管でこれを実現すると奥行きが10m以上となり非現実的である。そこで再びブレインストーミングを行なったところ、テレビを拡大すると赤、緑、青の点が並んでいることから、「小さな赤、緑、青色の3種類のブラウン管を作り、それを数万個並べる」方式が浮上し、開発に結びついた[1]

本装置は映像装置でありながら、同社の映像装置事業を手がける京都製作所ではなく、長崎製作所で開発・製造されている。これは1978年第2次オイルショック造船需要が低迷したことで、当時船舶向け大型重電機器を製造していた長崎製作所のエンジニアが、船舶機器に代わる製品として開発したという経緯によるものである。

第1号は世界初のフルカラー大型映像装置として、1980年米ドジャー・スタジアムに設置された。こけら落としは同年7月8日に同スタジアムで初めて開催されたオールスターゲームであった。10億円を超える高価な装置であったが、同スタジアムを本拠とするロサンゼルス・ドジャースはこの最新鋭の装置を最大限に活用。現在も見られるオーロラビジョンとエレクトーン演奏の連動による拍手ウェーブなどの演出を生み出した。

1981年にドジャースが16年ぶりのワールドシリーズ優勝を果たしたことから、全米の大リーグ球団本拠地に次々と同装置が設置されるきっかけとなった。日本でも1981年に後楽園球場に第1号が設置され、その後全国のスポーツ施設を中心に設置が進んでいった。

また、日本においてオーロラビジョンが大型カラースクリーンの代名詞となったのは、『アメリカ横断ウルトラクイズ』において、国内第1次予選(後楽園球場または東京ドーム)の○×クイズで司会の福留功男が正解発表の際に「答えはオーロラビジョンが知っている」と言ったことが影響したとも言われる。

他方式との比較[編集]

1980年に発表されたオーロラビジョンは単色CRT方式を用いているのに対し、1985年に発表されたソニーのジャンボトロンは、双葉電子工業製の蛍光表示管 (VFD) 方式を採用。また、近年多く設置されている赤見電機スーパービジョンライザは、表示素子にLEDを使用している。

姉妹品[編集]

千葉マリンスタジアムのオーロラリボン
(マリーンズ・ウイング・ビジョン)
千葉マリンスタジアムのオーロラビジョン
  • フルカラーLED式帯状映像装置
    • 屋内外の各種施設やスポーツイベントにおける広告看板に採用されているものでこれまでの文字情報に加え図形、写真などの動画グラフィックスをオーロラビジョン同様にフルカラーで表現できるシステム。「オーロラリボン」、「リボンビジョン」等と呼ばれる。

設置施設[編集]

日本国内の野球場[編集]

  • 宮城球場(楽天Koboスタジアム宮城) - 「オーロラリボン」をメインスタンドのネット裏部分の庇(2007年設置)と、両翼のウイングスタンド上段(2008年設置・各1基)の計3基、「オーロラビジョン」をフィールドレベルのネット裏本塁後方(2009年設置・フィールド上の映像装置設置は国内野球場で初)と、スコアボードの右中間側隣(2010年設置・屋外球場設置型としては国内最大で高さ16.32m、幅20.64m。画素ピッチ15mm)の計2基を設置。なおスコアボード内の映像装置と、一塁側イーグルスネスト屋上のサイドビジョンには、東芝ライテックスーパーカラービジョンを採用している。
  • 千葉マリンスタジアム(QVCマリンフィールド) - 高さ9.6m、幅10.08m。画素ピッチ30mm。松下電器産業アストロビジョンに代わり、2008年シーズンより採用。同時に高さ0.96m、幅295.68mの「オーロラリボン」も内野席に設置。ファンからの公募により「marines wing vision」(マリーンズ・ウイング・ビジョン)の愛称がつけられている。
  • 後楽園球場 - 1981 - 1987年。東京ドーム開業により球場は閉鎖され、取り壊された。
  • 東京ドーム - 高さ7.0m、幅34.0m、画素ピッチ25mm。1988年の開業時に設置、2005年更新。
  • ナゴヤドーム - 高さ10.08m、横35.52m、画素ピッチ30mm。「ライブビジョン」の愛称がついている。2008年更新。
  • 阪神甲子園球場 - 高さ6.4m、幅12.0m、画素ピッチ25mm。1993年採用、2005年・2011年更新。なおオーロラビジョン直下のバックスクリーン上部には長らく三菱電機が広告を掲示しており、2009年は「三菱電機オーロラビジョン」となっている。2009年より「オーロラリボン」を内野席に設置。高さ1.2m、幅250m。日本国内の野球場初として2006年に採用が発表されたが実際に設置されたのは宮城球場(2007年設置)、千葉マリンスタジアム(2008年設置)に次ぐ3か所目となった。
  • 神戸総合運動公園野球場(ほっともっとフィールド神戸) - 高さ7.68m、幅9.92m。スコアボード部分は東芝ライテック製スーパーカラービジョン。
  • 藤崎台県営野球場 - 2011年4月1日運用開始。高さ6m、幅10.8m。
  • 静岡県草薙総合運動場硬式野球場 - 2013年6月運用開始。
  • 札幌ドーム - 2015年3月運用開始。外野ライト側、外野レフト側、内野側サブスコアボード の合計3面。総面積は従来の約2.9倍。制御絵素ピッチを 8mmにし、従来比5倍の解像度を実現したフルハイビジョン対応。[2]

日本国外の野球場[編集]

  • ドジャー・スタジアム - 1980年にオーロラビジョンの1号機として納入。本格的な屋外型大型スクリーン装置の先駆けでもあった。
  • ヤンキー・スタジアム - 高さ7.6m、幅10.0m、画素ピッチ25mm。1983年に設置され最近では2002年に更新されたが、球場は2008年シーズンを最後に閉鎖された。
  • USセルラー・フィールド - 高さ8.4m、幅16.0m、画素ピッチ25mm。2003年設置。
  • ターナー・フィールド - 高さ21.76m、幅24.0m。画素ピッチ20mm。2005年設置。設置当時はギネスブックによって世界最大の屋外型デジタルハイビジョン映像スクリーンに認定されていた。
  • AT&Tパーク - 高さ9.92m、幅31.36m、画素ピッチ20mm。2007年設置。
  • ヤンキー・スタジアム - 高さ17.92m、幅30.72m、画素ピッチ16mm。2009年の開場と同時に設置。旧ヤンキー・スタジアムに引き続き採用される。

競馬場・競艇場・競輪場[編集]

東京競馬場の「ターフビジョン」
  • メイダン競馬場 - 高さ10.88m、幅107.52m、面積が約1,169.8m2の世界最大・最長のスクリーン。
  • 東京競馬場 - 西側ターフビジョン(マルチターフビジョン)は高さ11.2m、幅66.4m。画素ピッチ12.5mm。東側ターフビジョンは高さ10.8m、幅20.0m。画素ピッチ12.5mm。
  • 沙田競馬場(香港) - 高さ8.0m、幅70.4m。画素ピッチ20mm。「世界最長映像スクリーン」としてギネスブックに認定されている。
  • 桐生競艇場 - 高さ11.2m、幅30.0m。
  • びわこ競艇場 - 高さ8.8m、幅23.2m。
  • 戸田競艇場 - スタンドから見て左側は高さ9.0m、幅15.6m。右側は高さ8.96m、幅15.36m。
  • 青森競輪場 - 高さ8.64m、幅15.36m。
  • 静岡競輪場 - 高さ7.36m、幅17.28m。
  • 佐賀競馬場 - 高さ7.2m、幅12.8m(着順表示板)。
  • 児島競艇場着順表示板 - 高さ10.6m、幅19.6m。

サッカー場・陸上競技場等[編集]

体育館・その他[編集]

オーロラリボン[編集]

カシマサッカースタジアム内のリボンビジョン

オーロラビジョンR-STAY[編集]

他社の類似・競合商品[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 出典:柳下和夫著『三菱電機「情報交換会」』1988年日本能率協会マネジメントセンター刊
  2. ^ 「札幌ドーム」向けオーロラビジョン 3 面受注のお知らせ (プレスリリース) (PDF)”. 三菱電機. 2014年9月12日閲覧。

外部リンク[編集]