オート=ピレネー県

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オート=ピレネー県
Hautes-Pyrénées
Hautes-Pyrénées章
オート=ピレネー県章
位置
Hautes-Pyrénéesの位置
概要
県番号 65
地域圏 オクシタニー
県庁所在地 タルブ
郡庁所在地 アルジュレス=ガゾスト
バニェール=ド=ビゴール
3
小郡 34
コミューン 474
県議会議長 ミシェル・ペリュー
左翼急進党
統計
人口
国内84位
  (2011年)
229,228人
人口密度 51人/km2
面積¹ 4,464 km2
¹ 「French Land Register data」(1平方キロ以上の湖沼、エスチュアリー、氷河などの水面積除く。
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オート=ピレネー県(オート=ピレネーけん、フランス語:Hautes-Pyrénées, オック語およびガスコーニュ語:Pirenèus NautsまたはHauts Pirenèus)は、フランスオクシタニー地域圏の県である。

地理[編集]

オート=ピレネーの地勢図
ヴィニュマール峰

ピレネー=アトランティック県ジェール県オート=ガロンヌ県スペインウエスカ県と接する。県内は自然区分として3つに分けられる。ピレネー山脈、山地と谷、小さな丘陵と平地である。ピレネー山脈は県南部にあり、県面積のおよそ半分を占める。山脈はフランス=スペイン間の自然国境となっている。スペイン・アラゴン州へ往来できるのは、アラニョエ・ビエルサ・トンネル(fr)だけである。3000m以上の峰が35あり、最高地点は3298mのヴィニュマール峰である。

県内のピレネー山脈は2つの区分に分けられる。ヴィニュマール峰を含む標高の高いフランス領ピレネー、そして鎖状に連なる沈積地帯である。これはアルプス山脈で見られるものよりさらにどっしりとしているが標高は低い。沈積地帯が数多くの谷を孤立させ、自然の行き止まりをつくりだしている。これら岩石でできた壁によって、事実上の小空間が維持されている。

ピレネーの標高は北進するにつれ低くなっていく。山脈は山麓地帯に変わり、広大なランヌメザン台地(およそ標高600m)によって東進を制限されている。県にある給水塔は、ガロンヌ川アドゥール川流域にある数多くの河川から給水している。この台地は、氷河の退行による第四紀の氷堆石からなる。

さらに北進、西進すると、山麓地帯はより大きな谷に達する。そこはより温暖な気候の丘陵地帯で、県人口の多くが集中している。

西へ行くとポー川盆地、またはラヴダン盆地がアルジュレス=ガゾスト内の広大なルルド谷を形成する。

県中央部ではピック・ドゥ・ミディ・ド・ビゴール峰トゥールマレ峠のあるカンパン谷がある。東へ行くと、ヌスト谷がアローまで続く。

気候は大まかに2つに分類される。北部や低地は温暖で風も穏やかである。南部や山脈では荒れやすく、冬季は長く雪で覆われる。

歴史[編集]

オート=ピレネーの地図。
  ビゴール
  ネブザン
  リヴィエール=ヴェルダン
  コマンジュ

フランス革命後の1790年3月4日、ガスコーニュ州の一部であったビゴールやカトル・ヴァレを編成し誕生した。

隣県のピレネー=アトランティック県内に、飛び地が2箇所ある。これは中世からの名残である。11世紀後半、ベアルン子爵ガストン4世はモンタネール領主(ベアルンとビゴールの間の小さな領土も領有)タレーズ・ダラゴンを妻としていた。モンタネールはベアルン領となったが、タレーズが領有した5つの教区がピレネー=アトランティック県に残り、飛び地となった。

人口統計[編集]

人口の増減
1801年 1831年 1841年 1851年 1856年 1861年 1866年
174.741 233.031 244.196 250.934 245.856 240.179 240.252
1872年 1876年 1881年 1886年 1891年 1896年 1901年
235.156 238.037 236.474 234.825 225.861 218.973 215.546
1906年 1911年 1921年 1926年 1931年 1936年 1946年
209.397 206.105 185.760 187.875 189.993 188.604 201.954
1954年 1962年 1968年 1975年 1982年 1990年 1999年
203.544 211.433 225.730 227.222 227.922 224.759 222.368
2007年 2012年
228.594 228.854

経済[編集]

ピレネー山脈の高地では、家畜の飼育やトウモロコシ栽培が行われ、これらは大半が食品製造へと回される。農産品の中には、有名な『トレボンのタマネギ』や『タルブのアリコ』(アリコとはインゲンマメのこと)が含まれる。

工業は弱く、長きにわたり電気に関連したものが有名で、鉄道資材や織物業が挙げられる。また航空産業やエレクトロニクス産業へ転換しようとしてきた。ルルドバニェール=ド=ビゴール周辺のタルブ谷で工業が盛んである。アルストムやセメアックやバニェール=ド=ビゴールに工場を持つ。EADS子会社のソカタfr)はオサンにて、ビジネスおよび観光用の飛行機を製造している。

バニェール=ド=ビゴール、バレージュ、コトゥレの温泉地がある。

観光業は県第一の産業で、巡礼地ルルド、ラ・モンジー一帯のスキー場、ガヴァルニー圏谷、ミディ・ド・ビゴール峰自然保護区周囲で発展している。またトゥールマレ峠を中心としたこの一帯は毎年7月に行われる自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」のコースに選ばれることが多く、例年世界中からたくさんの観客・サイクリストを集めている。

自治体[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]