オート・メラーラ 76 mm 砲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

オートブレダ 76 mm 砲 から転送)
ゲパルト級高速艇に搭載されたOTOメララ 76 ミリ砲
ゲパルト級高速艇に搭載されたOTOメララ 76 ミリ砲

オート・メラーラ 76 mm 砲 (Oto Melara 76 mm gun) は、イタリアオート・メラーラ社が開発した艦載砲。現在までに3タイプが発表されているが、とくにコンパクトスーパーラピッドは、高い速射力と追尾能力をもち、対空・対水上に使用できる高性能な両用砲でありながら、きわめてコンパクトに収められている。その優れた性能から、開発国イタリアはもちろん、日本やアメリカなど世界40ヶ国以上で用いられている。

目次

[編集] MMI

オート・メラーラ社の開発した76ミリ62口径砲の最初のモデルはMMI(Marina Marittimo Italiana)と呼ばれるもので、1958年より開発が開始され、1962年から生産に入った。これは輸出されることはなかったが、ヴィットリオ・ヴィネト級、アンドレア・ドリア級巡洋艦やカシオペア級哨戒艦に搭載され、1960年代から1970年代にかけてイタリア海軍の主力対空砲として使用された。現在では、搭載艦の退役に伴って姿を消しつつあり、ごく少数が残るのみとなっている。

[編集] 諸元

  • 口径:76 mm
  • 砲身長:62 口径
  • 砲身数:1 門
  • 初速:900 m/秒
  • 発射速度:55~65 発/分
  • 射程距離:8,000 m
  • 砲塔重量:12 t

[編集] コンパクト(コンパット)砲とスーパー・ラピッド砲

ちくま搭載の76mm速射砲
ちくま搭載の76mm速射砲

MMIの開発で得たノウハウを生かして開発されたのが、同じく76ミリ62口径長のコンパクト砲(イタリア語ではコンパット)である。1964年より開始された開発は1967年に完了し、1969年より量産に入ったが、優れた性能から、たちまちにベスト・セラーとなった。この砲の特徴は以下のようなものである。

  • 小型艦艇にも適応できる軽量さ - 従来比37.5%減(MMIとの比較)
  • 高い発射速度 - 従来比23.5%増(同上)
  • 多数の即応弾 - 回転式弾倉に80発を収納
  • 高い追尾速度
  • 砲塔の無人化

軽量さに関しては、この砲の最初の搭載例であるスパルヴィエロ級ミサイル艇が証してくれるであろう。これは日本の1号型ミサイル艇のタイプシップであり、基準排水量わずか62トンという小艇であるにも関わらず、主兵装となるオトマート対艦ミサイルに加えてコンパクト砲1門を装備している。

シールドは球形のFRP製で、防御用というよりは風雨避けとしての性格が強い。完全気密構造で、通常、内部には砲員は配置されないが、後部には大型の点検ハッチがあり、また、非常時には砲側での射撃指揮も可能なように設定することもできる。給弾装置と弾倉は甲板下に設置されており、ここに給弾手3名と射手1名の計4名が配置される。使用する砲弾は、従来のアメリカ製3インチ砲と同様の、装薬と弾丸が一体化したものである。装填装置は従来のものより軽量化されつつも、確実に動作するものになっている。

その後、給弾方式の変更によって発射速度をさらに向上したモデルが開発され、スーパー・ラピッド砲として発表された。ただし、スーパー・ラピッド砲では機構が複雑になっていることもあり、コンパクト砲の生産も並行して継続されている。日本はコンパクト砲を62口径76ミリ速射砲として制式採用しており、日本製鋼所でライセンス生産されている。

また、近年になってレーダー反射面積を抑えることでステルス性を高めた砲塔が開発され、日本はやぶさ型ミサイル艇ノルウェーフリチョフ・ナンセン級フリゲートで採用された。

[編集] 諸元

[編集] コンパクト砲

  • 口径:76 mm
  • 砲身長:62 口径
  • 砲身数:1 門
  • 初速:925 m/秒
  • 発射速度:10~85 発/分(のちに改修によって100発/分まで向上)
  • 最大射程:16,300 m
  • 最大射高:11,500 m
  • 砲塔重量:7.5 t
  • 俯仰角度 +85°~-15°
  • 砲塔人員 無人
  • 操縦方式 全自動電気油圧式
  • 給弾方式 自動

[編集] スーパーラピッド砲

  • 口径:76 mm
  • 砲身長:62 口径
  • 砲身数:1 門
  • 発射速度:10~120 発/分
  • 砲塔重量:8 t

[編集] 採用国と搭載クラス

[編集] 参考文献

  • 自衛隊装備年鑑(朝雲新聞社刊)
  • 梅野和夫『世界の艦載兵器 砲熕兵器篇』光人社、2007年、183-186頁および245-248頁。
  • 野木恵一「イタリア製艦載兵器オンパレード」『世界の艦船』1986年6月号(通巻第365号)、110-111頁。
  • 『艦載兵器ハンドブック 改訂第2版』、海人社、2002年、98-99頁。

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ