オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート

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オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート(オートクレーブようじょうしたけいりょうきほうコンクリート、autoclaved lightweight aerated concrete)略称ALCは、主に5階建て程度の中低層建築物の外壁や床板、超高層マンションの廊下・バルコニー側の外壁、鉄骨造の倉庫や工場の外壁で用いられることの多い建築材料のひとつで、高温高圧多湿養生を意味するオートクレーブ状態で製造管理された軽量気泡コンクリートである。

建築現場で作られる軽量気泡コンクリートとは違い、主に設備の整った工場で製造され、建築物の外壁の部品 ALCパネル (autoclaved lightweight aerated concrete panels) となる。

1962年にシポレックス株式会社(現 住友金属鉱山シポレックス株式会社)が最初に日本に導入した。現在(2007年)日本国内では旭化成建材株式会社ではヘーベル、住友金属鉱山シポレックス株式会社ではシポレックス、クリオン株式会社ではクリオンの各商品名で販売されている。

概要[編集]

無機質材料を原料にしていることから法定不燃材料として認定され、加えてパネル内部に気泡を有しコンクリートに比べて約1/4程度の重量であることから他の建築材料と併用して高層建築物の間仕切り壁や防火区画などで用いられる。軽量とはいえ、幅600mm、長さ3000mmを越えるパネルを運搬するには複数人の人力が必要となり、通常は揚重機を用いて搬入する。

地盤の地耐力が低く経年変化により地盤沈下が起こりやすい軟弱地盤に一戸建住宅や小規模建築物を建設する際には建物の総重量の軽減化や工事工期の短縮を目的としてALCパネルを採用することがある。一般的なコンクリート構造では鉄筋工事による配筋、柱・梁・スラブ等の型枠工事、コンクリートの打設によるコンクリート工事を経て構造体を構築するのに対し、ALCパネルを用いた建物では切断加工した既製品を建設現場でクレーン等の揚重機を用いて吊り下げて鉄骨の柱や梁に固定して外壁や床の構造体ができあがることから工事工期の短縮が期待される。狭小敷地や隣接建物が迫っている区画などでは上空からALCパネルを吊り下げることで外壁ができあがり、コンクリート造では困難な場所でも施工できる場合が多い。

標準的な鉄筋コンクリート構造の建物では構造物全体が連続した一体化した構造体であるのに対して、ALCパネルを用いた鉄骨造では鉄骨とALCパネルは金属ジョイントを介して接合される。地震などの大きな外部応力が加わった際には主要構造部の鉄骨とALCパネル本体では別々の挙動をするため主要構造部の変形追従性を考慮した各種ジョイント金具は各メーカー又は専門鋼材店より市販されている。

規格[編集]

インターネット情報の一部で用いられているJIS A 5418は誤りであり、日本工業規格では、JIS A 5416 「軽量気泡コンクリートパネル」 として製造及び管理方法が規定されている工業化製品である。

隣接した建物相互の延焼や建物内部にあっては隣接室同士の類焼を防ぐために建物の耐火性能は建築基準法施行令の第107条や国土建設省告示(平成12年建設省告示1399号)により規定されており、屋根・床・外壁・間仕切壁等の各部位ごとに非損傷性・遮熱性・遮炎性の観点から耐火性能が定められている。

部位における耐火性能

部位 パネル厚さ 耐火時間 関連告示又は個別認定番号
外壁 100mm以上 1時間 平成12年建設省告示1399号
間仕切 75mm以上 1時間 平成12年建設省告示1399号
屋根 75mm以上 30分 平成12年建設省告示1399号
100mm以上 1時間 FP060FL-9119
120mm以上 2時間 FP120RF-9120

 

物性[編集]

パネル内部に無数の気泡を有することから断熱性に優れ、熱伝導率はコンクリートの約1/10である。

名称 熱伝導率(W/m・K)
ALC 0.17
コンクリート 1.6

用途[編集]

住宅や小規模ビルでは主要構造は鉄骨造を用い外壁にALCという組み合わせが多く、外壁や屋根若しくは床板として用いられる。また、最近では首都圏等に多く建っているコンクリート造超高層集合住宅でもバルコニーや共用廊下部と居室間を隔てる外壁として用いられる。ALCパネル内部には網状の鉄筋が入っているがパネル自体に強度を期待するものではなく応力の流れに合わせて裏側に鉄骨が配される。パネルそのものは断熱性能を有する大判パネルとして期待されることが主となる。外壁として使用される場合、防水の為に塗装を施す必要がある。

種類[編集]

各種用途や部位に応じ複数の厚みの製品が存在し、木造用にあっては燃えない木材としての位置付けで専用ので切断加工が可能な 35mm, 37mm 及び 50mm、中高層建築物の屋根・外壁・床板・間仕切壁・耐火被覆等で用いる 80(75), 100, 120(125), 150mm の製品群がある。外壁用のパネルにあっては装飾性を重視して凹凸を用いたデザインパネルやタイルを張った製品が存在する。

施工[編集]

指定の寸法に切断され現場へ納品されることが多く、幅は600mmが標準寸法で、厚み100mmのものは長さは3.0 - 3.5m程度で専用金物使用の場合が多く、厚み50mmのもは1.8m - 2.0mが多くビス止めで、面取りされている。建て込み後にコーキングを行い、欠損部と、固定の為に使った穴を埋めて仕上げる。

職業訓練[編集]

東京都認定の認定職業訓練による職業能力開発校として(認定番号第329号)、ACLクリオンを取り扱うワールド産業株式会社・ワールド職業訓練校がある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]