オレハマッテルゼ

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オレハマッテルゼ
2007年9月30日 中山競馬場
欧字表記 Orewa Matteruze[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 栗毛[1]
生誕 2000年1月16日[1]
死没 2013年10月30日(13歳没)
抹消日 2007年11月14日
サンデーサイレンス[1]
カーリーエンジェル[1]
母の父 ジャッジアンジェルーチ[1]
生国 日本の旗 日本北海道早来町[1]
生産者 ノーザンファーム[1]
馬主 小田切有一[1]
調教師 音無秀孝栗東[1]
競走成績
生涯成績 38戦9勝[1]
獲得賞金 4億3838万8000円[1]
勝ち鞍
GI 高松宮記念 2006年
GII 京王杯SC 2006年
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オレハマッテルゼ(欧字名:Orewa Matteruze2000年1月16日 - 2013年10月30日)は日本競走馬[1]。主な勝ち鞍は2006年高松宮記念京王杯スプリングカップ

馬名は石原裕次郎主演の映画『俺は待ってるぜ』が由来[2][3]だが、「俺、はまってるぜ(嵌まってるぜ)」とも読め、命名者であり馬主の小田切有一も二通りの読みの可能性を認めている。

戦績[編集]

2003年5月25日の3歳未勝利戦(中京芝2000m)でデビュー。岩田康誠を背に2番人気に推されたものの、13頭中11着に敗れる。4戦目となる7月19日の未勝利戦(小倉芝2000m)で、武豊を背に初白星を挙げた。

2005年の5月にオープンへ昇級すると、中1週で京王杯スプリングカップに挑む。これが重賞初出走であったが2着と健闘した。続いて安田記念でGI初出走を果たしたが、このレースは11着に敗れた。それから休養を経て、11月キャピタルステークスへ出走、これに勝利してオープン初勝利を飾った。

2006年の東京新聞杯で、京王杯スプリングカップなどで騎乗した柴田善臣とのコンビが復活する。しかし東京新聞杯は2着、次の阪急杯は3着と勝ち切れない結果が続いた。そこで「距離が短い方がいい」と考えた柴田は、1200mの高松宮記念への出走を進言、これが馬主の意図とも一致したため出走が決定し、そして見事に勝利を収めた。同馬のGI勝ちは、調教師の音無秀孝にとって初、馬主の小田切有一にとっては21年ぶり、騎手の柴田にとっては6年ぶりのGI勝ちであり、陣営にとっては格別の勝利となった[4]

その後、前年と同じく安田記念を目指すこととなり、トライアルとしてやはり前年と同じく京王杯スプリングカップに出走する。GI馬ゆえに59kgの斤量を背負うが、見事に逃げ切り勝ちを果たした[5]。そして迎えた安田記念は1番人気、しかし、3コーナーで他馬と接触したのが影響したためか、この年も10着に敗れた。それからまた休養を経て、10月には春のスプリント王の立場で、秋のスプリント王決定戦であるスプリンターズステークスに挑む。しかし、休養明けであるにもかかわらず、馬体重は安田記念からマイナス12kg。レースでも直線で伸びを欠き、9着に敗れる。その後もスワンステークス5着、阪神カップ14着と精彩を欠くレースが続いた。

2007年は初のダート戦となるフェブラリーステークスから始動したが、最下位16着に敗れた。続いて、連覇を狙って高松宮記念に出走。しかし5着に敗れた。さらには京王杯スプリングカップでは3着と、こちらも連覇をすることはできなかった。さらに続いての安田記念では最下位18着に敗れた。

夏の間は休養し、セントウルステークスから始動。鞍上に武豊を迎えてのレースだったが11着に敗れる。続いて第41回スプリンターズステークスに出走。鞍上は2度目の騎乗となる蛯名正義騎手に乗り替わってのレースとなったが14着に大敗した。次走は富士ステークスに出走。スタートから逃げる形で直線を迎えるものの、粘りきれず9着に敗れた。結局このレースが最後となり、11月12日に引退が発表され、11月14日付でJRA競走馬登録を抹消されることになった[6]

引退後[編集]

2008年から北海道浦河町イーストスタッドにて種牡馬になった[7][8]

初年度産駒のハナズゴール2012年チューリップ賞で初の重賞制覇を遂げるなど、産駒が活躍し始めた矢先、2013年10月30日に重度の腰萎症のため死亡した[9][2]

主な産駒[編集]

母父としての主な産駒[編集]

競走成績[編集]

年月日 競馬場 競走名 頭数 オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量 距離(馬場) タイム
(上り3F)
タイム
勝ち馬/(2着馬)
2003. 05. 25 中京 3歳未勝利 13 04.2 0(2人) 11着 岩田康誠 56 芝2000m(良) 2:05.2 (36.2) -1.9 マルノウエスタン
06. 7 東京 3歳未勝利 18 23.1 0(7人) 03着 柴田善臣 56 芝2000m(良) 2:02.0 (35.4) -0.5 フューチャブライト
06. 28 阪神 3歳未勝利 16 03.8 0(2人) 03着 武豊 56 芝2000m(稍) 2:03.9 (37.5) -0.8 バイオレットスズカ
07. 19 小倉 3歳未勝利 15 01.5 0(1人) 01着 武豊 56 芝2000m(重) 2:01.5 (35.8) -0.0 (マヤノボビソックス)
10. 12 東京 3歳上500万下 18 02.6 0(1人) 02着 武豊 55 芝1800m(稍) 1:48.5 (34.9) -0.0 イナズマシーザー
10. 26 京都 3歳上500万下 18 03.5 0(2人) 08着 武豊 55 芝1600m(良) 1:34.6 (34.5) -0.4 ファイトクラブ
2004. 01. 17 小倉 背振山特別 500万下 18 08.2 0(4人) 05着 中舘英二 56 芝2000m(良) 2:01.0 (37.4) -0.3 エアセレソン
01. 31 小倉 4歳上500万下 16 04.2 0(2人) 01着 中舘英二 56 芝1800m(良) 1:48.9 (37.7) -0.0 (ヤナギムシ)
02. 22 東京 タケシバオーM 1000万下 15 11.5 0(4人) 02着 中舘英二 54 芝1800m(良) 1:47.4 (35.1) -0.2 アドマイヤロッキー
03. 14 中山 メイズイM 1000万下 14 05.3 0(4人) 05着 後藤浩輝 57 芝1800m(良) 1:48.6 (34.9) -0.4 タイキアルファ
04. 11 阪神 メジロラモーヌM 1000万下 16 04.0 0(2人) 02着 武豊 57 芝1600m(良) 1:34.0 (34.4) -0.0 ラシルフィード
05. 23 東京 富嶽賞 1000万下 15 02.9 0(2人) 01着 武豊 57 芝1600m(稍) 1:34.8 (34.3) -0.0 (ブラストサンデー)
06. 12 東京 湘南S 1600万下 14 17.5 0(6人) 03着 柴田善臣 57 芝1600m(良) 1:33.5 (35.0) -0.4 メイショウカイドウ
10. 31 京都 保津峡特別 1000万下 14 04.4 0(2人) 01着 後藤浩輝 57 芝1600m(稍) 1:34.8 (35.9) -0.2 (ニホンピロキース)
11. 21 京都 オグリキャップM 1000万下 15 02.3 0(1人) 02着 武豊 58 芝1600m(良) 1:35.1 (34.6) -0.2 アルビレオ
12. 5 阪神 ゴールデンサドルT 1000万下 14 01.9 0(1人) 02着 藤田伸二 58 芝1400m(良) 1:21.4 (35.9) -0.0 ホウライウォニング
2005. 02. 20 東京 甲斐駒特別 1000万下 16 02.3 0(1人) 01着 後藤浩輝 58 芝1400m(重) 1:23.2 (35.3) -0.0 (トールハンマー)
03. 6 中山 アクアマリンS 1600万下 11 03.6 0(2人) 02着 後藤浩輝 57 芝1600m(良) 1:33.6 (34.6) -0.1 ニシノシタン
05. 1 東京 晩春S 1600万下 14 02.0 0(1人) 01着 柴田善臣 57 芝1600m(良) 1:32.8 (35.1) -0.1 ジョリーダンス
05. 15 東京 京王杯SC GII 18 16.8 0(5人) 02着 柴田善臣 57 芝1400m(良) 1:20.7 (34.9) -0.4 アサクサデンエン
06. 5 東京 安田記念 GI 18 35.2 (13人) 11着 蛯名正義 58 芝1600m(良) 1:33.0 (35.4) -0.7 アサクサデンエン
11. 27 東京 キャピタルS OP 17 04.9 0(2人) 01着 武豊 56 芝1600m(良) 1:32.9 (34.2) -0.0 (フォーカルポイント)
2006. 01. 5 京都 京都金杯 GIII 16 03.7 0(1人) 09着 福永祐一 57 芝1600m(良) 1:34.7 (35.2) -0.7 ビッグプラネット
01. 28 東京 東京新聞杯 GIII 16 05.0 0(2人) 02着 柴田善臣 56 芝1600m(良) 1:33.7 (34.5) -0.0 フジサイレンス
02. 26 阪神 阪急杯 GIII 15 02.3 0(1人) 03着 柴田善臣 56 芝1400m(不) 1:22.7 (36.1) -0.2 ブルーショットガン
03. 26 中京 高松宮記念 GI 18 09.3 0(4人) 01着 柴田善臣 57 芝1200m(良) 1:08.0 (33.9) -0.0 ラインクラフト
05. 13 東京 京王杯SC GII 14 05.3 0(3人) 01着 柴田善臣 59 芝1400m(稍) 1:21.8 (34.6) -0.3 (インセンティブガイ)
06. 4 東京 安田記念 GI 18 05.7 0(1人) 10着 柴田善臣 58 芝1600m(良) 1:33.8 (35.5) -1.2 ブリッシュラック
10. 1 中山 スプリンターズS GI 16 07.4 0(5人) 09着 柴田善臣 57 芝1200m(良) 1:08.7 (35.2) -0.6 テイクオーバーターゲット
10. 28 京都 スワンS GII 18 06.1 0(1人) 05着 柴田善臣 59 芝1400m(良) 1:20.6 (34.5) -0.3 プリサイスマシーン
12. 17 阪神 阪神C GII 17 07.2 0(3人) 14着 柴田善臣 57 芝1400m(良) 1:21.5 (36.2) -0.9 フサイチリシャール
2007. 02. 18 東京 フェブラリーS GI 16 39.3 (10人) 16着 後藤浩輝 57 ダ1600m(不) 1:36.8 (37.6) -2.0 サンライズバッカス
03. 25 中京 高松宮記念 GI 18 11.9 0(6人) 05着 後藤浩輝 57 芝1200m(重) 1:09.5 (35.5) -0.6 スズカフェニックス
05. 12 東京 京王杯SC GII 18 07.1 0(3人) 03着 後藤浩輝 58 芝1400m(良) 1:20.1 (34.6) -0.1 エイシンドーバー
06. 3 東京 安田記念 GI 18 33.5 (13人) 18着 後藤浩輝 58 芝1600m(良) 1:34.4 (35.9) -2.1 ダイワメジャー
09. 9 阪神 セントウルS GII 16 11.5 0(5人) 11着 武豊 58 芝1200m(良) 1:08.5 (34.3) -1.4 サンアディユ
09. 30 中山 スプリンターズS GI 16 41.8 (12人) 14着 蛯名正義 57 芝1200m(不) 1:11.7 (38.3) -2.3 アストンマーチャン
10. 20 東京 富士S GIII 18 36.8 (14人) 09着 松岡正海 58 芝1600m(良) 1:33.9 (35.7) -0.6 マイネルシーガル
  • 競走名のMはメモリアル、Gはゴールデン、Tはトロフィー、Sはステークス、Cはカップの略。

エピソード[編集]

  • 馬主の小田切はやはり石原裕次郎主演映画から「アラシヲヨブオトコ(嵐を呼ぶ男)」という馬名を同期の別の馬に命名しようとしたが、去勢されて「男」ではなくなったため、急遽「オカシナヤツ」に変更した。その後小田切は、マンハッタンカフェ産駒(2006年生まれ)の別の馬に「アラシヲヨブオトコ」と命名した。

血統[編集]

血統背景[編集]

山元トレセンの火災事故で亡くなったエガオヲミセテは全姉、半弟に京成杯オータムハンデキャップを制したフラアンジェリコ。祖母に優駿牝馬優勝馬ダイナカール、叔母に天皇賞(秋)、優駿牝馬優勝馬の名牝エアグルーヴ、いとこにエリザベス女王杯2勝のアドマイヤグルーヴがいるなど社台グループゆかりの血統を持つ。

血統表[編集]

オレハマッテルゼ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サンデーサイレンス系/ヘイロー系
[§ 2]

*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
父の父
Halo
1969 黒鹿毛
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
父の母
Wishing Well
1975 鹿毛
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss

カーリーエンジェル
1990 栗毛
*ジャッジアンジェルーチ
Judge Angelucci
1983 栗毛
Honest Pleasure What a Pleasure
Tularia
Victorian Queen Victoria Park
Willowfield
母の母
ダイナカール
1980 鹿毛
*ノーザンテースト
Northern Taste
Northern Dancer
Lady Victoria
シャダイフェザー *ガーサント
*パロクサイド
母系(F-No.) パロクサイド系(FN:8-f) [§ 3]
5代内の近親交配 Victoria Park M4×S5 = 9.38% [§ 4]
出典
  1. ^ [16]
  2. ^ [17][18]
  3. ^ [16]
  4. ^ [16][18]


出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o オレハマッテルゼ”. JBISサーチ. 2022年6月6日閲覧。
  2. ^ a b “高松宮記念勝ちの種牡馬、オレハマッテルゼが死去 | 競馬ニュース”. 競馬ラボ. https://www.keibalab.jp/topics/19772/ 2022年4月24日閲覧。 
  3. ^ “馬名にまつわるエトセトラ~もっと競馬をおもしろく見るために - ことばマガジン”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/special/kotoba/archive2015/danwa/2013051700007.html 2022年4月24日閲覧。 
  4. ^ “俺らは待ってたぜ柴田善臣6年ぶりG1V/G1復刻”. 日刊スポーツ. https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=1795634&year=2017&month=03&day=25 2022年4月24日閲覧。 
  5. ^ 【京王杯スプリングC】(東京)〜オレハマッテルゼ安田記念へ向けて堂々の逃げ切り勝ち”. 競馬実況web. ラジオNIKKEI. 2022年4月24日閲覧。
  6. ^ “去年の高松宮記念に優勝、オレハマッテルゼ引退”. 競馬実況web (ラジオNIKKEI). http://www.radionikkei.jp/keiba/entry-143178.html 2022年4月2日閲覧。 
  7. ^ オレハマッテルゼを訪ねて | 馬産地コラム”. 競走馬のふるさと案内所. 2022年4月24日閲覧。
  8. ^ サラ系供用種牡馬一覧”. JBISサーチ. 2022年4月24日閲覧。
  9. ^ 『優駿』2013年12月号、159頁。 
  10. ^ ハナズゴール”. JBISサーチ. 2018年3月6日閲覧。
  11. ^ キングハート”. JBISサーチ. 2018年3月6日閲覧。
  12. ^ ユヅルノオンガエシ”. JBISサーチ. 2018年3月6日閲覧。
  13. ^ エッフェル”. JBISサーチ. 2018年3月6日閲覧。
  14. ^ ヒロノカイザー”. JBISサーチ. 2018年3月6日閲覧。
  15. ^ ウェイトアンドシー”. JBISサーチ. 2019年12月14日閲覧。
  16. ^ a b c 血統情報:5代血統表|オレハマッテルゼ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2015年5月15日閲覧。
  17. ^ オレハマッテルゼ - Orewa Matteruze - 競走馬データベース”. 競馬ラボ. 2023年1月30日閲覧。
  18. ^ a b オレハマッテルゼの血統表”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2017年9月5日閲覧。

外部リンク[編集]