オリンパス・ペン
オリンパス・ペン(OLYMPUS PEN)は、オリンパスが製造・販売するカメラ、およびそのシリーズである。
1959年にハーフサイズカメラとして発売され、その後に派生機種・後継機種が発売されてシリーズ化された。後年には派生シリーズとして一眼レフカメラの「オリンパス・ペンF」シリーズが発売された。
さらに2009年には、本名称を冠したデジタルカメラのシリーズ(後述)も発売している。デジタルカメラ版は厳密にはフィルムカメラ版の派生・後継機種ではないが、フィルム版旧ペンシリーズと同コンセプトの元に、同シリーズを引き継いでいる[1]。
2011年現在、現行の機種はデジタルカメラのシリーズのみとなり、フィルムカメラのシリーズは販売終了となっている。
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[編集] 概要
1956年にオリンパスに入社し、研修を終えたばかりの新人設計者・米谷美久に、上司から「6000円で売れるカメラの開発」という課題が与えられた。当時のカメラとしては相当な低価格設定であり、通常であれば大衆向け製品と割り切って、グレードの低いレンズに簡素なメカニズムの組み合わせとし、性能面ではそれなりに低い水準で妥協しなければならないところであった。
しかし、米谷は元々写真愛好趣味が昂じてカメラメーカーの技術者となった人物であり、資産家の出でもあって、プライベートでは当時世界のカメラ界の最高峰であったライカを愛用していた。彼は無論カメラのメカニズムにも精通しており、大衆向けカメラであっても安易な妥協設計を採るべきでないと考えて、「ライカのサブカメラとして使える小型カメラ」という野心的コンセプトを打ち出した。
そのため、カメラの最重要パーツであるレンズセットは、写りを重視しあえて高コストなテッサー型レンズを採用、前玉回転ではなく全群を繰り出す構造にして使った。
周囲からは米谷のレンズ性能への拘りぶりに「それでは贅沢すぎて採算が採れない」と批判が集中したが、米谷はレンズ以外の巻き上げ機構やシャッター等には独自の工夫を盛り込んだ簡素化を徹底し、予算内で生産可能でしかも機能は損なわない合理的な設計を実現した。フィルム巻き上げをレバーやノブでなく、親指の腹で動かすダイヤル式(現在でもレンズ付きフィルムで見られる)にしたのはその最たるものであり、巻き上げ機構やフィルムカウンターに関係するギア回りを、通常のカメラよりも大幅に簡素化することができた。
米谷のこだわりは本来専門デザイナー任せになるカメラの外装デザインにまで及び、その行きがかりから、本職のデザイナーでもない米谷自身が、デザインまで自ら仕上げることになったが、撮影しやすさを重視したシンプルかつ機能的な形態となり、結果としては成功であった。
こうして完成した米谷の処女作カメラは「ペン」と名付けられた。製品名については、試作段階では「18」、「メモ」、「ミッチー」などの名称案があったが、結局桜井栄一常務の推した「ペン」に決定したという。
この初代ペンに始まる一連のペンシリーズは、廉価かつコンパクトでありながら、性能の良いズイコーレンズを装備して優れた撮影性能をも発揮、しかもハーフサイズであるため通常の35mm判カメラの2倍の枚数が撮影できる経済性も相まって、当時の大衆と専門家の双方から大歓迎され、1960年代を通じたベストセラーとなった。ペンシリーズはカメラ技術者としての米谷の出世作となると共に、市場にオリンパスの名を広め、「ペン」はハーフサイズカメラの代名詞になった。
その後、1980年代後半まで生産を続け、販売終了となった。
2009年には、かつてのペンの名称とコンセプトを引き継いだ新たなペンシリーズがデジタルカメラとして発売され、ヒット商品となった。
[編集] ペンおよびペンSシリーズ
- ペン(1959年) - Dズイコー2.8cmF3.5付。シャッターはコパル製#000、2枚羽根でBのほか1/25-1/200の4速。当初は原価計算上、オリンパス本体で製造することが出来ず、三光商事という別会社を立ち上げて発売にこぎつけた。シャッターボタンが長方形で横長なのが特徴で、初期のモデルは横方向にスジが入っているが、のちのものは縦方向に筋が入っている。また最初期にはファインダー窓にプラスチックが用いられたものがある。
- ペンS(1960年) - Dズイコー3cmF2.8付。シャッターはコパル製5枚羽根でBのほか1/8-1/250の6速。
- ペンS3.5(1965年)-Dズイコー2.8cmF3.5付。シャッターはペンSと同じ。
[編集] ペンDシリーズ
ペンシリーズ最上位シリーズ。
- ペンD(1962年) - F1.9の高性能大口径レンズ、1/500秒シャッター、セレン光電池式LV値直読内蔵露出計。
- ペンD2(1964年) - ペンDの露出計の素子をCdSに変更。Fズイコー32mmF1.9。
- ペンD3(1965年) - Fズイコー32mmF1.7にグレードアップ。
[編集] ペンEEシリーズ
- ペンEE(1961年) - レンズは28mmF3.5、固定焦点、シャッタースピード1/60秒固定、絞りを自動調整、と機能を限定したカメラ。途中からシャッター速度が1/30秒と1/250秒の2速となった。
- ペンEE-2(1968年) - ペンEEにホットシュー追加、裏蓋、カウンターの改善。
- ペンEE-3(1973年) - ボディの樹脂部分及び張革がEE-2までの灰色から黒色に変更され、フラッシュ連動機構についてもガイドナンバー14(ISO/ASA100)におけるフラッシュマチック機構追加。レンズはDズイコー28mmF3.5。
下述のとおり最後に登場したペンEFの生産終了後も継続生産され、ペンシリーズの最終生産型となった。 - ペンEES(1962年) - レンズは30mmF2.8となり、シャッター速度1/30秒と1/250秒の2速。3点ゾーンフォーカス。
- ペンラピッドEES(1965年)(日本国内では発売されず)
- ペンEED(1967年) - シャッター羽根が絞りも兼用するプログラムシャッター搭載。レンズはFズイコー32mmF1.7。ペンD3のレンズとは別設計。
- ペンEES-2(1968年) - ペンEESのフィルムカウンターを自動復元式に変更。ASA400の高感度フィルム使用可能。ホットシュー、裏蓋は蝶番式になった。
- ペンEF(1981年) - ペンEE-3のスペックに外光式オートフラッシュを一体化したモデル(オートフラッシュ一体化によりフラッシュマチック機構は廃止)。ペンシリーズの新製品のうちで最後のものであるが生産・販売はEE-3の方がより遅くまで行われた。
[編集] ペン ワイド
焦点距離25mm(ライカ判換算35mm)の広角レンズを使用したモデル。
- ペンW(1964年) - Eズイコー25mmF2.8。シャッタースピードB・1/8〜1/250。ボディカラーは黒。
[編集] ペンEM
- ペンEM(1965年) - 電子シャッターは明るさに応じて30秒〜1/500秒までカバー。自動巻上、自動巻戻。
[編集] ペンFシリーズ
詳細は「オリンパス・ペンF」を参照
1963年より発売開始した、一眼レフカメラのシリーズ。
[編集] デジタルカメラ・シリーズ
[編集] 概要
新しい方向性の小型デジタル一眼システムを目標に、フィルムカメラ時代の旧ペンシリーズ同様のコンセプトで開発され、同じくペンの名称が与えられシリーズの後継とされた。2009年7月3日に、第一弾としてペン E-P1が発売された。
同シリーズの機種は、レンズ交換式のミラーレス一眼カメラである。マイクロフォーサーズシステム規格を採用し、交換レンズ群としてM.ズイコーデジタルレンズシリーズを展開している。同社は同タイプのカメラをマイクロ一眼カメラと呼称している。
[編集] ペン ライト
ペンの派生シリーズ。
ユーザーインターフェイスがカメラ初心者向けに簡略化され、機能を一部省略する代わりに、ボディのコンパクト化と低価格化を実現したモデル。単なる簡素化ではなく、E-P1/P2には無かったフラッシュや可動式液晶ディスプレイが搭載されるなど機能の差別化も図られている[2]。
一眼レフカメラの使用を躊躇していたコンパクトデジタルカメラユーザーをターゲットとし、新規顧客の獲得を狙った[3]。
2010年3月5日に第一弾としてペン ライト E-PL1が発売された[4]。
[編集] ペン ミニ
ペンの派生シリーズ。
上記ペン ライトのコンセプトを推し進めた機能簡略版ともいえるもので、より初心者向けのユーザーインターフェイスを搭載したモデル。ボタン数や機能の削減により、ボディのコンパクト化や低価格化が図られている。[5]
[編集] ラインナップ
- ペン ミニ
[編集] 脚注
- ^ 公式サイトやパンフレットでも、デジタルカメラのシリーズのロゴには「Since 1959」との記載されているものがある[1]
- ^ OLYMPUS PEN Lite E-PL1
- ^ OLYMPUS PEN Lite E-PL1
- ^ OLYMPUS PEN Lite E-PL1
- ^ OLYMPUS PEN mini E-PM1