オリョール (国境警備艦)

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ユーリイ・アンドローポフ
イーメニXXVIIスエーズダKPSS
オリョール
1992年9月22日、ヴラジヴォストークにてアメリカ沿岸警備隊の警備艇と並んだオリョール(最手前)
艦歴
ユーリイ・アンドローポフ
Юрий Андропов
起工 1983年9月26日 ザリーフ造船所
進水 1985年11月2日
所属 ソ連国家保安委員会
イーメニXXVIIスエーズダKPSS
Имени XXVII съезда КПСС
改称 1986年3月7日
竣工 1986年9月30日
所属 ソ連国家保安委員会
ロシア連邦保安庁
オリョール
Орел
改称 1991年12月1日
所属 ロシア連邦保安庁
要目
艦種 国境警備艦
艦型 11351号計画「ネレーイ」型
工場番号 203
排水量 最大排水量 3774 t
満載排水量 3642 t
通常排水量 3458 t
基準排水量 3274 t
全長 122.98 m
全幅 14.2 m
喫水 4.8 m
機関 COGAG2 基 20000 馬力
COGAG2 基 6000 馬力
推進 2推進
速力 最大速度 31.04 kn
巡航速度 14.05 kn
航続距離 3636 /14.05 kn
乗員 198 名
武装 ZIF-122「オサーMA2」艦対空ミサイル連装発射機 1 基(9M33Mミサイル20 発)
100 mm単装両用AK-100 1 基
30 mm6砲身機関砲AK-630M 2 基
533 mm4連装魚雷発射管UTA-53-1135 2 基(SET65または53-65K魚雷を使用)
12連装対潜ロケット弾発射機RBU-6000「スメールチ2」 2 基(RGB-60ロケット96 発)
電子戦装備 各種レーダーソナー
搭載機 Ka-27PS 1 機

オリョール(ロシア語:Орёлアリョール)は、ソ連で建造されたロシア連邦国境警備艦(пограничный сторожевой корабль)である。艦の規模から、しばしばフリゲートに分類される。艦名は、ロシア連邦の都市オリョールに因む。

概要[編集]

来歴[編集]

オリョールは、11351号計画「ネレーイ」型国境警備艦の3 番艦として計画された。当初の艦名は第4代ソ連国家保安委員会議長に因んだユーリイ・アンドローポフ(Юрий Андроповユーリイ・アンドローパフ)であった。この新型警備艦は極東方面へ集中配備することが予定され、ユーリイ・アンドローポフも1984年1月11日付けでソ連国家保安委員会(KGB)国境軍海上部への配属が決定された。1983年9月26日にはケルチB・Ye・ブートマ記念ザリーフ造船所第203工場で起工、1985年11月2日には進水した。1986年5月7日にはイーメニXXVIIスエーズダKPSS(Имени XXVII съезда КПССイーミェニ・ドヴァーッツァチ・スィヂモーヴァ・スイェーズダ・カーペーエーセース)に改称された。これは、ロシア語で「第27回ソ連共産党大会記念」という意味の名称であった。イーメニXXVIIスエーズダKPSSは、この年9月30日には竣工した。

1987年2月10日にはセヴァストーポリを出航、アフリカ大陸沿岸を一周してソ連の極東岸を目指した。ポートサイドアデンカムラン湾ヴラジヴォストークを経由し、3月25日にはナホトカで実働状態に入った。国境や200海里排他的経済水域の警備をその任務とし、場合によっては国境を侵した潜水艦の撃滅や航行船舶の護衛、上陸部隊の安全の確保を行うものとされた。特に、日本海千島列島(クリル列島)における漁船の違法操業の取締りが目下の主要任務となった。

1991年8月24日ソ連が崩壊すると、イーメニXXVIIスエーズダKPSSは他の艦艇とともにロシア連邦の海上国境警備隊に引き継がれた。1991年12月1日には、共産主義的な名称を嫌いオリョールと改称された。これは、ロシア連邦の都市に因んだ名称であったが、代々戦艦などに用いられてきた由緒ある名称であった。国の経済の悪化から11351型国境警備艦の活動はあまり積極なものとはなり得ず、多くの艦は退役した。2007年現在、稼動状態にあるのはわずかにオリョールと7番艦ヴォロフスキーの2 隻に過ぎない。なお、オリョールは2001年12月にナホトカからペトロパーヴロフスク=カムチャーツキイに異動している。また、艦長セルゲイ・チルキンである。

要綱[編集]

オリョールは、武装としては、短射程艦対空ミサイル・コンプレックスや100 mm両用、30 mm多砲身機関砲(近接防禦火器システム)を装備した。レーダーとしてはまず、従来のMR-310U「アンガラー」にかえて当時最新型の3次元レーダーMR-760「フレガートMA」が本艦より採用された。対空捜索レーダーとしては、MR-212/201「ヴァイガーチU」、「ヴォールガ」、「キヴァーチ」が搭載された。これに加え、火器管制レーダーとして対空火器管制用のMPZ-301「バーザ」、主砲管制用のMR-114「バールス」、近接防禦火器システム用のMP-123「ヴィーンペル」電子戦装備としてMP-401S「スタールトS」やPK-16が搭載された。水中音響探知システムとしては、MGK-335S「プラーチナS」と可変追跡装置MGK-345「ブローンザ」、水中通信システムMG-26およびMGS-407Kが搭載された。この他、航法機械、各種データー処理機器及び指揮・通信設備、電子戦用設備を搭載していた。また、後甲板にはKa-27などのヘリコプターを搭載するための飛行甲板格納庫が備えていた。

ガスタービン動力のエンジンは、30 kn以上の速力と、速力14 knにおける4000 の航続力とを保障していた。また、外部からの補給なしに30日間行動を続けることが可能であるとされている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]