オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ

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オリオール・パーク・アット・
カムデン・ヤーズ
Oriole Park at Camden Yards
オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ
施設データ
所在地 333 West Camden Street
Baltimore, Maryland 21201
起工 1989年6月28日
開場 1992年4月6日
所有者 Maryland Stadium Authority
グラウンド 天然芝
(Maryland Bluegrass)
建設費 1億1000万ドル
設計者 HOK Sport
建設者 Barton Malow / Sverdrup
DanobeConstruction
使用チーム • 開催試合
ボルチモア・オリオールズMLB)(1992年 - 現在)
収容能力
45,971人
グラウンドデータ
球場規模 左翼 - 337 ft (約102.7 m)
左中間 - 368 ft (約112.2 m)
中堅 - 406 ft (約123.7 m)
右中間 - 375 ft (約114.3 m)
右翼 - 320 ft (約97.5 m)
バックネット - 57 ft (約17.4 m)
フェンス 右翼 - 25 ft (約7.6 m)
その他 - 7 ft (約2.1 m)

オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズOriole Park at Camden Yards)は、アメリカメリーランド州ボルチモアにある野球場MLBボルチモア・オリオールズのホーム球場である。

エベッツ・フィールドをモデルにしたこの球場は、レンガと鉄骨を組み合わせた外観、左右非対称のフィールドなど、新古典主義を初めて取り入れた球場として知られる。建設年のアーバン・デザイン・アウォードを受賞するほど高い評価を受けたこの球場は、21世紀の「フィールド・オブ・ドリームス[1]ともいわれ、その後の球場建築に大きな影響を与えた。また、マーケティングの面でも画期的な試みを行った(野球場#野球専用球場・ボールパーク(ball park)参照)。

スタジアム名の由来[編集]

オリオールズの本拠地であることがわかりやすい「オリオール・パーク」、ボルチモアで生まれたベーブ・ルースにちなんだ「ベーブ・ルース・スタジアム」、建設地に以前あった操車場の名前からとった「カムデン・ヤーズ」、前の本拠地球場と同じ「メモリアル・スタジアム」などが候補に挙がった。球団オーナーのエリ・ジェイコブスは「オリオール・パーク」を、メリーランド州知事のウィリアム・ドナルド・シェーファーは「カムデン・ヤーズ」をそれぞれ推し、結果的に妥協するかたちで両案を組み合わせることになった。

フィールドの特徴[編集]

  • 右中間までが比較的遠く、高さ25フィート(約7.6メートル)のフェンスもあるため、左打者には本塁打が出にくい。
  • 夏場には風の影響で打球がレフト方向へ飛びやすくなり、右打者にはやや有利である。
  • 内野の芝は長めにカットされている。球足が遅くなるので内野手には肩の強さが必須。

設備、アトラクション、演出[編集]

  • 倉庫:外野右翼席後方にレンガ造りの倉庫がそびえ立っている。19世紀の終わりに建てられたこの倉庫は、その名を「Baltimore & Ohio Warehouse」といい、米国東海岸では最長となる1016フィート(約310メートル)の長さを誇る。球場からは独立した建物であるが、屋根の上に照明灯が設置されている。建物内部には球団事務所のほか、カフェテリア、スポーツバー、ギフトショップなどが入居している。
球場はこの倉庫と調和するデザインが採用された。
  • ユートウ・ストリート:球場と倉庫の間の舗道。殿堂入り選手のレリーフ永久欠番選手の銅像が飾られている。また、この舗道にホームランを打ち込んだ選手は、名前や飛距離などが刻み込まれた金属板が打球の落下地点に埋め込まれ、その栄誉に敬意を表される。
  • 外野の色違いの席:スタンドは濃緑色に統一されているが、外野席には色違いの席が二つある。赤い席は1993年にカル・リプケンが放った遊撃手史上最多の278本目のホームランの落下地点、オレンジ色の席は1996年9月6日にエディー・マレーが放った通算500号ホームランの落下地点である。
  • ベーブ・ルース:ルースの生家は球場からわずか2ブロックしか離れていない場所にあり、現在は「ベーブ・ルース博物館」として人気を博している。また、バーテンダーだった彼の父が働いていたバーの跡地は球場のセンター付近にあったとされ、現在は近くの広場にルースの銅像が建っている。

新古典主義の先駆け[編集]

カムデン・ヤーズに隣接する駅。ボルチモア・ライトレールMARCトレインが通っている

1960年代以降に建設された球場はアメフトとの共用型で「多目的スタジアム」と呼ばれるものが主流だった。建設費の節約が主な理由であるが、アメフトには最適でも野球には不向きであった。その理由は、

  1. 急勾配でフィールドを俯瞰する高いスタンド:ロングパスやランなど常にフィールドを広く使うアメフトの観戦には最適だが、投手と打者とのマウンド間の勝負が基本となる野球の観戦には向いていない。
  2. フィールドの形状:フィールドをアメフト用の長方形に変えるためには移動式スタンドが必要だったが、これは足場が不安定なため観客には不評であった。また、移動式スタンドを設置しないで野球とアメフト両用にするとファウルグラウンドが広くなってしまい、プレーの臨場感に欠ける。
  3. 人工芝:球足の速さやバウンドの強さが天然芝のフィールドと大きく異なり、「野球の質が本来あるべき姿からかけ離れてしまった」との批判が出ていた。選手の足腰への負担が増え、スライディングの際にやけどを負ってしまうことも問題だった。

しかし1992年にオープンしたカムデン・ヤーズは、当時のオリオールズ副社長ジョー・フォスが「街とチームの歴史や伝統を生かしつつ、今のファンが見たこともないようなボールパークを作りたかった」 と語った通りの斬新な球場だった。特徴は、

  1. レンガと鉄骨を組み合わせた外観:古き良き伝統と現代の芸術が見事に調和し、街にとけ込むようなデザインとなっていた。
  2. 左右非対称のフィールド:野球場のフィールドが左右非対称なのは、街の中心部の限りある空き地に野球場が建てられていた時代の名残である。カムデン・ヤーズはそれを復活させた。
  3. 他球場の途中経過・結果を表示する外野フェンス:さながらフェンウェイ・パークのグリーンモンスターに設置されたスコアボードのようである。
  4. 天然芝:管理・維持費用がかさむが、見た目の美しさや人工芝のデメリットの解消がそれを補ってあまりある。
  5. 野球専用球場:ファウルグラウンドが狭くなり、観客がグラウンドとの隔絶を感じなくなり、臨場感も増した。

レトロ回帰」をコンセプトに以上の特徴を兼ね備えたカムデンヤーズは野球ファンに大受けし、オリオールズの観客動員は前年比100万人増を記録した。その後、この新古典主義の球場はクリーブランドデンバーにも建設され、やはりインディアンスロッキーズの観客は大幅増。以後、「球場を建てれば客が来る」と言わんばかりの新球場建設ラッシュとなった。また、日本のMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島のコンセプトやデザインにも影響を与えた。

主要な出来事[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『2007 MLB30球団選手名鑑+球場ガイド』 20ページ ISBN 9784583614540


外部リンク[編集]

前本拠地:
メモリアル・スタジアム
1954 - 1991
ボルチモア・オリオールズの本拠地
1992 - 現在
次本拠地:
n/a
-
先代:
ジャック・マーフィー・スタジアム
MLBオールスターゲーム開催場
第64回(1993年
次代:
スリー・リバース・スタジアム