オオスズメバチ

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オオスズメバチ
Vespa mandarinia.jpg
オオスズメバチ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ハチ目(膜翅目) Hymenoptera
亜目 : ハチ亜目(細腰亜目) Apocrita
上科 : スズメバチ上科 Vespoidea
: スズメバチ科 Vespidae
亜科 : スズメバチ亜科 Vespinae
: スズメバチ属 Vespa
: オオスズメバチ V. mandarinia
学名
Vespa mandarinia
(Smith, 1852)
和名
オオスズメバチ
英名
Asian giant hornet
Japanese giant hornet

オオスズメバチ(大雀蜂、学名:Vespa mandarinia)は、ハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科スズメバチ属の昆虫の一種。


分布[編集]

東アジア、日本(北海道から九州、南限は屋久島、種子島近辺)

亜種[編集]

  • Vespa mandarinia mandarinia - 基亜種。
  • Vespa mandarinia japonica - 日本の北海道から九州に分布しており、南限は屋久島、種子島近辺。英名はJapanese giant hornet

形態[編集]

体長は女王バチが40-55mm、働きバチが27-40mm、雄バチが 27-45mm[1]。頭部はオレンジ色、胸部は黒色、腹部は黄色と黒色の縞模様で、羽は茶色。雄バチは毒針(産卵管)を持たない。

生態[編集]

以前は標準和名として『オオスズメバチ』の他に単に『スズメバチ』を用いることも多かった。

木の根元などの土中、樹洞などの閉鎖空間に巣を作る。巣は枯れ木などから集めた繊維を唾液のタンパク質で固め和紙のようにし、これを使用し六角形の管を作っていく。この管が多数集まった巣盤を数段つらねる。

日本に生息するハチ類の中で最も強力な毒を持ち、かつ攻撃性も高い非常に危険な種である。オオスズメバチ日本亜種の半数致死量(LD50)は4.1mg/kgである[2]。本種の攻撃方法は、毒針の他、強力な大顎で相手を噛むことで捕食対象の身体を抉る。また毒液中にはアルコールの一種からなる警報フェロモンが含まれており[3]、巣の危機を仲間に伝える役割も果たしている。時速約40kmで飛翔することができ、狩りをする時は一日約100kmもの距離を移動することができる[4]

夏季に幼虫に与えられる餌は幅広く、コガネムシゴミムシ等の小、中型甲虫類、他種のカメムシ等の半翅目らの鱗翅目、あるいはスズメガカミキリムシの幼虫など大型のイモムシが頻繁に捕食される。これらの昆虫が減少し、また大量の雄蜂と新女王蜂を養育しなければならない秋口には本種の攻撃性が高まり、スズメバチ類としては例外的に集団でミツバチキイロスズメバチといった巨大なコロニーを形成する社会性の蜂の巣を襲撃することで需要を満たす。これらの巣の働き蜂を全滅あるいは逃走させた後は、殺戮した働き蜂の筋肉に富む胸部も幼虫の餌とするが、大量の死骸は処理しきる前に腐敗が始まり餌に適さなくなるため、主に占領した巣の中から時間をかけて大量の生きた蛹や幼虫を噛み砕きペースト状にした後に肉団子状にして運び出す。

より大型の巣を作り、多数の働き蜂を擁するキイロスズメバチの巣を襲撃する場合がある。この場合、オオスズメバチ側にも大きな被害が出るケースが多いものの、相手のコロニー自体が巨大なため、巣の占領に成功すれば損害を補填できる大量の幼虫やさなぎを収穫できる。しかしチャイロスズメバチの巣を襲撃した場合に、チャイロスズメバチは他のスズメバチ類に比べて強靭な外骨格をもつため、大顎や毒針による攻撃が必ずしも有効に機能せず、逆に撃退されることもある。

樹液を吸うオオスズメバチ

また、クヌギなどの樹液に集まり樹液を採取する。

本種の天敵にはキイロスズメバチやクロスズメバチ類と同様、ヒトの他に哺乳類のクマ、ハチクマ等の野鳥が挙げられる。本種を捕食する昆虫にはオニヤンマオオカマキリ等が挙げられるが、これらについては捕食した、捕食された双方の記録が存在する。なお捕食関係ではないが、夏場の樹液に集まる際、小型の甲虫(カナブン、コクワガタ等)には強気で対応するが、大型の甲虫(カブトムシ、大型クワガタムシ等)に対しては、強力な顎と針をもつ本種でも抵抗できず餌場を独占されるケースが多い。特にカブトムシが全盛となる7-8月頃にこの風景はよく見受けられるため、この時期の本種はカブトムシ等が活動しない昼間や朝方を狙って樹液に来るパターンが多くなる[5]。また大型甲虫以外に本種を追い立てる昆虫に、オオムラサキがある。オオムラサキのオスの気性は激しく、樹液を争う際に羽を広げて本種を追い立てることが知られている。


本種の腹部に寄生する寄生昆虫のネジレバネの一種があげられる。

人との関わり[編集]

養蜂における影響[編集]

日本産亜種であるニホンミツバチを含むトウヨウミツバチ(Apis cerana)の巣を襲撃した場合、集団攻撃前に撃退されなければ、巣を占拠できる。集団攻撃前の撃退は、オオスズメバチの働き蜂が単独で偵察している段階、つまりオオスズメバチが集合フェロモンにより同じ巣の働き蜂を集結させる前の段階で、ミツバチが集団で敵であるオオスズメバチを押し包む行動によって蜂球が作られ、その内部はオオスズメバチの致死温度(44-46℃)に近い46℃にもなり、かつ蜂球内の二酸化炭素濃度が約3%ほどになり、オオスズメバチの致死温度を下げることにより、蒸し殺される[6]

この種に対抗するすべをほとんど持たないセイヨウミツバチA. mellifera)の場合は攻防の関係は一方的で、養蜂家による庇護がなければ高確率での全滅を余儀なくされる(数十匹ほどの本種が4万匹のセイヨウミツバチを2時間ほどで殲滅できるという説がある)[7]。このことが、飼育群からの分蜂による野生化が毎年あちこちで発生しているにもかかわらず、セイヨウミツバチが日本で勢力拡大するのを防ぐ要因になっている。実際、オオスズメバチの生息しない小笠原諸島ではセイヨウミツバチの野生化群が増加し、在来のハナバチ類を圧迫して減少させていることが確認されており、これらのハナバチ類と共進化して受粉を依存している固有植物への悪影響が懸念されている。

食用[編集]

熊本県球磨地方[8]宮崎県高千穂のように、地方によっては幼虫やさなぎ、成虫を珍味として食す習慣がある。また、成虫をはちみつ焼酎につけ込んだものも見られる。成虫の場合、毒針を取り除く。

また、本種そのものを食すわけではないが、本種の幼虫が成虫に与える餌の成分を参考にして作られた栄養ドリンクやサプリメントが、日本をはじめとするアジアやヨーロッパで販売されている。

参考文献・脚注[編集]

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  1. ^ オオスズメバチ 、 森林総合研究所、2010年4月18日閲覧
  2. ^ HORNET VENOMS:LETHALITIES AND LETHAL CAPACITIES, Justin O. Schmidt et al, 1986
  3. ^ Insect signalling: Components of giant hornet alarm pheromone(オオスズメバチの警報フェロモン)、 Nature、 2003
  4. ^ Brian Handwerk, "Hornets From Hell" Offer Real-Life Fright, National Geographic News(October 25, 2002)、2010年4月18日閲覧
  5. ^ 本種は完全な昼行性ではなく、夜間にも多く活動する。
  6. ^ ニホンミツバチ、CO2と熱で天敵撃退、京都新聞ウェブニュース(2009年8月13日9((木))、2010年4月18日閲覧
  7. ^ オオスズメバチの「警報フェロモン」の成分を突き止めた、小野正人、MATSUNAGA Waki、環境goo、2010/04/17閲覧
  8. ^ ススメバチの子(すずめばちのこ)球磨郡、熊本県地域振興部文化企画課博物館プロジェクト班、2010年4月18日閲覧

関連項目[編集]