エヴェリット・ロジャース

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エヴェリット・ロジャース(Everett M. Rogers, 1931年3月6日 – 2004年10月21日)はアメリカのコミュニケーション学者、社会学者。米国ニューメキシコ大学(University of New Mexico)コミュニケーション・ジャーナリズム学科名誉特別教授(Distinguished Professor Emeritus)。

功績[編集]

イノベーションを社会的に解説した普及学(Diffusion of Innovation)を確立したことで世界的に著名。開発コミュニケーション論(Development Communication)、国際コミュニケーション論(International Communication)、異文化コミュニケーション論(Intercultural Communication)に関する研究でも知られる。著書、論文多数。 『Diffusion of Innovation』により、新しい概念や商品、文化などが普及するプロセスを分析し、「イノベーター」「アーリーアドプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」などの層を定義することに成功しており、その後多くの著書が引用している。[1][2][3]

略歴[編集]

アイオワ州キャロル市に生まれ、1957年アイオワ州立大学にて博士号(社会学)を取得。オハイオ州立大学(1957年-1963年)、ミシガン州立大学(1964年-1973年)、ミシガン大学(1973年-1975年)などで教鞭をとる。

1962年に出版した『Diffusion of Innovation』(初版)は大きな反響を呼んだ。2003年に第5版が出版されるロングセラーとなるこの著作は、15カ国語に翻訳され数多くの学術賞を受賞し、1990年にはThe Institute for Scientific Information によって「Citation Classic」の指定を受ける。7000を超える出版物に引用され、社会科学の書籍としては世界で最も引用されている本の一冊である。

1975年米国コミュニケーション学の創始者と言われるウィルバー・シュラム(Wilbur Schramm)の後任として、スタンフォード大学ジャネット・M・ペック・国際コミュニケーション特別教授(Janet M. Peck Professor of International Communication)及び同大学コミュニケーション研究所(Institute for Communication Research)国際コミュニケーション・プログラム主任に就任した。

1985年より南カリフォルニア大学コミュニケーション学部ウォルター・H・アネンバーグ特別教授(Walter H. Annenberg Professor)及び同大学大学院コミュニケーション学研究科長を務める。スタンフォード大学より招致するため、ウォルター・H・アネンバーグがロジャーズのために多額の寄付をして特別教授のポストを用意した。

1993年コミュニケーション・ジャーナリズム学科長としてニューメキシコ大学に着任し、同大学院コミュニケーション学研究科博士課程の設立に尽力した。晩年は、イノベーション理論構築や普及過程の事例研究に加えて、米国のコミュニケーション学の歴史や国際・異文化コミュニケーション論の発達史などの著作を出版した。

ジョンズ・ホプキンズ大学パリ大学、シンガポールの南洋理工大学(Nanyang Technological University)などでも客員教授として講義した。また、国際コミュニケーション学会(International Communication Association)会長(1980年-1981年)なども歴任した。

著書[編集]

  • Diffusion of Innovations, 5th Edition, Free Press, 2003
三籐利雄訳『イノベーションの普及』(翔泳社, 2007年)
青池愼一・宇野善康監訳『イノベーション普及学』(産能大学出版部, 1990年)
藤竹暁訳『技術革新の普及過程』(培風館, 1966年)
  • Communication of Innovations: A Cross-Cultural Approach, Free Press, 1971
宇野善康監訳『イノベーション普及学入門』(産能大学出版部, 1981年)
  • Intercultural Communication, Waveland Press, 1999
  • A History of Communication Study: A Biographical Approach, Free Press, 1994
  • Communication Technology: The New Media in Society, Free Press, 1986
安田寿明訳『コミュニケーションの科学―マルチメディア社会の基礎理論』(共立出版, 1992年)
  • Silicon Valley Fever: Growth of High-Technology Culture, Basic Books, 1984
安田寿明・アキコ S.ドッカー訳『シリコン・バレー・フィーバー―日本がめざす高度技術化都市』(講談社, 1984年)
  • Communication Networks: Toward a New Paradigm for Research, Free Press, 1981
  • Communication and Development: Critical Perspectives, Sage Publications, 1976
  • Communication in Organizations, Free Press, 1976
宇野善康・浜田とも子訳『組織コミュニケーション学入門―心理学的アプローチからシステム論的アプローチへ』(ブレーン出版, 1985年)
  • Entertainment-Education: A Communication Strategy for Social Change, Lawrence Erlbaum Associates, 1999
河村洋子訳『エンターテイメント・エデュケーション―社会変化のためのコミュニケーション戦略』(成文堂, 2011年)
  • Combating AIDS: Communication Strategies in Action, Sage Publications, 2003
花木亨・花木由子訳『エイズをめぐる偏見との闘い―世界各地のコミュニケーション政策』(明石書店, 2011年)
  • The Fourteenth Paw: Growing up on an Iowa Farm in the 1930s—A Memoir, Asian Media Information and Communication Center, 2008

リンク[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ ジェフリー・ムーア 『キャズム』
  2. ^ イノベーター理論”. 2012年3月3日閲覧。
  3. ^ Tech-On! 「モジュラー化の先にあるもの」”. 2012年3月3日閲覧。