エピペン
エピペン(Epinephrine autoinjector)とは、ハチ刺傷、食物アレルギーなどによるアナフィラキシーに対する緊急補助治療に使用される医薬品である。アナフィラキシーを起こす可能性の高い患者が自宅に常備することで、アナフィラキシー発症の際に医療機関へ搬送されるまでの症状悪化防止に役立っている。
日本における輸入販売元はファイザー#日本法人。
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適応 [編集]
アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限るとされるが、蜂毒(Bee venom、アピトキシン、Apitoxin)、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療として適応がある。
成分 [編集]
アドレナリン(エピネフリン)。現在0.15 mg製剤と0.3 mg製剤が流通している。アドレナリンには気管支を広げる作用や心臓の機能を増強して血圧を上昇させてショック症状を改善する作用があり、アナフィラキシーショックに対して有効である。
用法 [編集]
患者やその家族が迅速に使えるようにということで発売された緊急注射用のキットである。アナフィラキシーショックが出たら、太ももの前外側へ筋注する。緊急時は衣服の上からでもよい。また1本のエピペンは1回分のみで、たとえ注射液が残ってもそれは使えない。使用量は体重1 kgあたり0.01 mgである。
アナフィラキシーが起こった場合、最良の条件でも救急車の到着と病院への搬送を待てない場合が多い。
あくまで緊急用であり、効果は10-15分しか続かず、注射後にそのまま放置すれば症状がぶり返すことが考えられる。
本人用のエピペンを保健室・職員室などに保管することはせず、カバンやランドセルなどに入れて持ち歩くこととされる。
使用者は患者本人(未成年の場合は説明済みの保護者)であるが、必要に応じて救急救命士、保育士、教職員も使用可能である[1][2]。
食物アレルギーによるアナフィラキシーが発生した場合の対応は、「食物アレルギ一の診療の手引2011」[3]によれば,症状を総合的に判断して臨床的重症度グレード3(咽頭喉頭の絞扼感)、グレード4 (呼吸困難、チアノーゼ)以上の症状があった場合は、エピペンを打つタイミングであるとしている[4]。
昭和大学医学部の今井孝成講師[5]はエピペンについて、「呼吸困難などの重い症状が出たら迅速に注射すべきだ。副作用は小さいので、迷ったら打て、と言いたい」とする[6][7]。
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- 症状を一般人(医学的訓練を受けていない養護教諭を含む)が判断するのは、きわめて難しい[8]。思春期女児の訴えを無視し、(教職員に権利・義務があることも知られていない)痛い注射をする決断も、教員には難しい。
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1本15,000円ほどするが、2011年9月から健康保険適用になった。ただし処方可能な施設は限られている。
平成23年マイラン製薬の「エピペン」が保険適用になり、薬価は0.15 mg規格が8,112円、0.3 mg規格が1万0,950円である。
法的根拠 [編集]
学校におかれては、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」の「第2章疾患各論 4.食物アレルギー・アナフィラキシー」(P. 67)にあるように、
- i.投与のタイミングとしては、アナフィラキシーショック症状が進行する前の初期症状(呼吸困難などの呼吸器の症状が出現したとき)のうちに注射するのが効果的であるとされていること、
- ii.アナフィラキシーの進行は一般的に急速であり、症状によっては児童生徒が自己注射できない場合も考えられること、
- iii.アナフィラキシーショックで生命が危険な状態にある児童生徒に対し、救命の現場に居合わせた教職員が、アドレナリン自己注射薬を自ら注射できない本人に代わって注射することは、反復継続する意図がないものと認められるため、医師法違反にならないと考えられること、
- から、適切な対応を行うこと。このことについては、別添3のとおり厚生労働省との間で確認がなされていること。
- 別添3
- 21ス学健第9号 平成21年7月6日
アナフィラキシーショックで生命が危険な状態にある児童生徒に対し、救命の現場に居合わせた教職員が、アドレナリン自己注射薬を自ら注射できない本人に代わって注射することは、反復継続する意図がないものと認められるため、医師法第17条によって禁止されている医師の免許を有しない者による医業に当たらず、医師法違反にならないと解してよろしいか。
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- 医政医発第0707第2号 平成21年7月7日
文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課長 殿 厚生労働省医政局医事課長
医師法第17条の解釈について(回答) 平成21年7月6日付21ス学健第9号にて照会のありました標記の件については、貴見のとおりと思料します。
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- 医師法第17条「医師でなければ、医業をなしてはならない。」
引用 [編集]
- ^ 『アナフィラキシーショックを起こし、エピペンを自ら注射できない状況にある児童生徒等に代わり、その場に居合わせた教職員がエピペンを注射することは、ガイドライン(「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン』日本学校保健会 2010年)67ページにも記載されているように、医行為を反復継続する意図がないものと認められるため、医師法違反にはならないと考えられます。同時に、人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められれば、刑法や民法等の規定により、その責任は問われないものと考えられます。」「学校保健」学校のアレルギー疾患に対する取り組みQ&A A12
- ^ 財団法人日本学校保健会「食物アレルギーによるアナフィラキシー学校対応マニュアル」など関連情報はリンク切れ
- ^ 食物アレルギ一の診療の手引2011」(食物アレルギ一の発症要因の解明および耐性化に関する研究(研究代表者海老澤元宏))
- ^ 『調布市立学校児童死亡事故検証結果報告書』平成25年3月
- ^ 日本小児アレルギー学会評議員、厚生労働科学研究「食物アレルギーの栄養指導の手引き2008」作成委員長などリウマチ・アレルギーシンポTOKYO
- ^ 2012年12月20日調布市立富士見台小学校でのチーズアレルギー死亡事故で、小学校5年の女児はエピペンを持っていたが、体調不良を訴えたときに「違う、打たないで」と担任に訴えたために打たなかった。本人はぜんそくの発作だと思ったらしい。症状が悪化したときに養護教諭もいたが決断できなかった。立てなくなって10分後に校長が打ったが間に合わず、救急車到着時には心肺停止状態であった。
- ^ 自己注射薬、迷ったら打て…アレルギー女児死亡2013年1月27日15時22分 読売新聞
- ^ 「チアノーゼ」という用語も、症状を見たことがある人は一般人でもすぐわかるが、普通は言葉を知らないし、文章や写真の説明では自信が持てない。「呼吸困難」も同様であり、「とても息苦しい」との区別は困難である。