エスペラントアルファベット

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エスペラントアルファベットエスペラント: Esperanta Alfabeto)は、エスペラントを書き表すために使われる字母で、ラテンアルファベットからq, w, x, yを除いた22文字に、サーカムフレックスの付いた5文字(ĉ, ĝ, ĥ, ĵ, ŝ)および、ブレーヴェの付いた1文字(ŭ)を加えた28文字からなる。

文字と発音[編集]

母音字はその発音、子音字はその子音に-oをつけて発音する。
なお、q, w, x, yは人名や外来語にしか使われない。

大文字 小文字 文字の名前 音価 備考 
A a a アー /a/
B b bo ボー /b/
C c co ツォー /ts/ 英語itsのts、独語Zürichのzの音
Ĉ ĉ ĉo チョー /ʧ/ 英語chatのch、独語Deutschのtschの音
D d do ドー /d/
E e e エー /e/
F f fo フォー /f/
G g go ゴー /g/
Ĝ ĝ ĝo ヂョー /ʤ/ 英語gentlemanのgの音
H h ho ホー /h/
Ĥ ĥ ĥo ッホー /x/ 喉の奥から強く息を出す「ハ」音。独語auchのchの音
I i i イー /i/
J j jo ヨー /j/ 英語youngのyの音
Ĵ ĵ ĵo ジョー /ʒ/ 仏語genreのg、英語visionのsの音
K k ko コー /k/
L l lo ロー /l/
M m mo モー /m/
N n no ノー /n/
O o o オー /o/
P p po ポー /p/
R r ro ロー /ɾ/ 巻き舌音だが、話者の母語によって口蓋垂音等になることがある。
S s so ソー /s/
Ŝ ŝ ŝo ショー /ʃ/ 英語Englishのsh、独語Englischのschの音
T t to トー /t/
U u u ウー /u/
Ŭ ŭ ŭo ウォー /w/ 英語willのwの音
V v vo ヴォー /v/ 英語volleyのvの音
Z z zo ゾー /z/

発音と綴り[編集]

エスペラントの音節は、0個以上の子音母音の組み合わせからなる。発音に対する綴りは、子音と母音が一対一の場合は日本語ローマ字綴りに近い。1つの文字が1つの音に対応するいわゆる「1字1音」(unu litero, unu sono)の原則を貫いており、発音しない文字は無い(もちろん、これは音素(音韻)上のことであり、現実の発音が綴りと完全に一致するとは限らない)。

母音[編集]

5つしか母音が無いため、区別ができる範囲で母音の変化はかなり許容されている。

前舌 後舌
[i] [u]
[e] [o]
[a]
  • 母音(vokalo)はa, e, i, o, uの5つで日本語と同じである。
  • uは日本語の「う」よりはっきりと発音する方が良い。
  • "i"の後に他の母音があるとき、多少渡り音が入って"ij"のように聞こえることがある。
    • mia (ミーア)→ mija (ミーヤ)
  • 同じ母音が連続した場合、長音とせずに分けて読む(つまり、二つの別音節として読む)のが普通である。ただし、日本語の長音の転写時に同じ母音を連続させることはよく行われる。
    • scii (スツィーイ)
    • ĉeesti (チェエースティ)

子音[編集]

両唇 唇歯 歯茎 後部歯茎 硬口蓋 軟口蓋 口蓋垂
閉鎖音 [p] [b]   [t] [d]     [k] [g]  
鼻音   [m]     [n]        
はじき音       [ɾ]        
摩擦音   [f] [v] [s] [z] [ʃ] [ʒ]   [x]   [h]  
破擦音     [ʦ]   [ʧ] [ʤ]      
側面音       [l]        
接近音           [j]    
  • 子音 (konsonanto) はb, c, ĉ, d, f, g, ĝ, h, ĥ, j, ĵ, k, l, m, n, p, r, s, ŝ, t, ŭ, v, zで表す。
  • 後の子音の影響を受けて同化 (asimiliĝo) して発音されることがある。
    • 有声音のすぐ前にある無声音の有声化。ekzemple(エクゼンプレ)
    • 無声音のすぐ前にある有声音の無声化。subteni(スブテーニ)
  • 破擦音/dz/は原則としてないが、"edzo"(夫)などが少数ある。"edzo"をどう発音すれば良いのかはよく議論の対象にされるが、破擦音/dz/とみなし「エーヅォ」、「エッヅォ」などと読まれることが多い。
  • 口蓋化する綴りはほとんど無いが、愛称を表す接尾辞-njo-ĉjo、間投詞tju!などには見られる。プラ-エスペラント時代にはnacjes, familjeなどが普通に見られた。日本語の拗音の転写時にも見られる。
  • 同じ子音の連続は、原則として別々に発音される。ただし、破裂音の連続時には日本語の促音のように聞こえることがある。
    • ekkoni (エクコーニ、またはエッコーニ)
  • j の後に i が来る単語が少数ながら存在する。jidoイディッシュ語)とido(子孫)はどちらも「イード」と発音されてしまう。区別のため ji摩擦音気味に発音することがある。

エリジオン[編集]

詩文などでは名詞語尾-oや、母音で終わる前置詞の後ろにある定冠詞の母音aを省略し、アポストロフィーに換えるエリジオン(Elizio)が行われる。詳しくはアポストロフィー#音と文字の省略を表すアポストロフィーを参照。

頭字語[編集]

頭字語(Akronimo)は原則として、文字の名前を一文字ずつ読む。母音はそのまま、子音はoを付けて読むことになる。

  • UEA (ウーエーアー)
  • ktp (コートーポー) 「~など、et cetera」

ただし、綴りによっては一つの単語として読むことができる場合もある。

エスペラントにない文字の発音[編集]

アカデミーオ・デ・エスペラントは1989年に、エスペラントで使用されないq, w, x, yの4文字について、読み方がわからない場合に推奨される読み方を発表した。[1] これらは、エス文中でつづりはわかるが発音がわからない外来語の名前を読むときに役立つだろう。

  • qは単独ではkの音。qukvのようにする。
  • wドイツ語ポーランド語オランダ語の場合は"v"の発音。それ以外は"ŭ"の発音。
  • xks
  • yは前後に母音がない場合は"i"の発音。それ以外は"j"とする。