エアバス ベルーガ

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A300-600ST ベルーガ

エアバス ベルーガ (Airbus A300-600ST Super Transporter, Beluga) は、エアバスA300をベースに開発した貨物機ベルーガとはシロイルカの意味。大きな航空機部品を輸送する巨大な貨物室を持っているため、特徴的な外見を持っている。5機が生産され、全機がエアバス社の関連企業SATIC (Special Aircraft Transport International Company) により運航されている。

概要[編集]

ドイツのハンブルク上空を飛行するベルーガ(2007年)

エアバス社は、ヨーロッパ各国の航空機メーカーのコンソーシアムであるという政治的な理由から、ヨーロッパ各地に部品工場を保有している。その結果、最終組み立てのための機体部品の輸送が課題であった。大型の機体部品の輸送はボーイング社の輸送機C-97を改造したスーパーグッピーを用いていたが、機体の老朽化により維持費が増大したため、その更新とより大きな容積が求められ、開発が始まった。

非常に特殊な構造、また運用においても特別なノウハウが必要とされるため、ベルーガの開発とその後の運用のためにアエロスパシアル社とDASA社(現EADS)の合弁会社SATICが立ち上げられた。1991年よりエアバスA300-600Rを母体に開発がスタートし、1992年9月に製造が始まった。1994年9月13日に初飛行を行い、335時間の試験飛行を経て1995年より就航した。

エアバスA300の胴体床下貨物室より上を取り払い、より大きな直径の円筒形の貨物室を設けているのが最大の特徴。貨物室は与圧されていないが、直径7.26m長さ約37mの収容スペースが確保されている。上方に開く貨物扉が胴体前部の上部にあり、その前方下の操縦席を含む機首部分は貨物の出し入れの障害にならないように原型よりも低い位置に移されている。垂直安定性確保のために、垂直尾翼前方にフィンが追加されているほか、水平尾翼翼端に垂直安定板が増設されている。

SATICによる運用が開始されている。全部で5機が生産され、ヨーロッパ各地の工場で生産されたエアバス旅客機の胴体や主翼などの大物部品を、トゥールーズハンブルクにある工場の最終組み立てラインへ輸送することを通常の任務としている。この通常運航のほか、エアバス外のアウトサイズ貨物の輸送にもチャーターされることがあり、1999年にはドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」を輸送するため成田国際空港に飛来した実績もある。

2006年5月には国際宇宙ステーションヨーロッパ実験棟コロンバスブレーメン - ケネディ宇宙センター間の運搬にも利用された。

要目[編集]

ブレーメン国際空港でコロンバスを搭載するベルーガ(2006年)

出典:Airbus S.A.S.[1]

  • 全長:56.16 m
  • 全幅:44.84 m
  • 全高:17.34 m
  • エンジン:GE CF6-80C2A8 ターボファンエンジン(推力:26.7t)2基
  • 最大離陸重量:155 t
  • 最大積載量:45.5 t
  • 貨物室床面積:約100 m²
  • 貨物室容量:約14,000 m³

出典[編集]

  1. ^ Airbus Aircraft Families - Beluga - Specifications”. Airbus S.A.S.. 2009年5月18日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

Airbus Transport International(英語)