ウラン・鉛年代測定法

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ウラン・鉛年代測定法とは、天然に存在する放射性物質の1つであるウラン(U)の原子核崩壊して、それが最終的に(Pb)の原子核に変化することを利用することで、試料(分析対象物)がどのくらい昔に形成されたものであるかを調べる手法である。ウランは、核分裂などが起こった時などの特殊な場合を除いて、いずれ安定して存在可能なに変化する。放射性物質は、その核種によって半減期が決まっているので、試料が形成された、おおよその年代を知ることができるのである。したがって、このウラン・鉛年代測定法は、原子核崩壊による核種変化を利用した放射年代測定の手法の1つであるとも言える。なお、ウラン・鉛年代測定法は、ウラン-鉛法などと表記される場合もあるが、本稿ではウラン・鉛年代測定法という表記に統一する 。

概要[編集]

ウラン・鉛年代測定法は、だいたい100万年以上の時間が経過しているウランを含有した試料に用いられ(たとえ地球の歴史に等しい45億年以上が経過しているウランを含有した試料にも用いることができ)、誤差0.1%〜1%程度の精度で年代測定が可能である [1] 。 地球の年齢がおおよそ45億歳であると人類が知ったのも、このウラン・鉛年代測定法の理論が確立されたからに他ならない。(無論、現在では他の方法も地球の年齢を調べるために使えるが、当時は、このウラン・鉛年代測定法を用いて調べるしかなかった。)

ウランは全ての同位体が放射性核種であり、地球上では安定して存在し続けられない元素であることが知られている。しかし、ウランの同位体の中には半減期が長い(寿命が長い)同位体も存在する。特に長いのは、238U(半減期は約44億6800万年)と、235U(半減期は約7億380万年)である [2] 。 このように半減期の長い放射性核種は、現在の地球にも天然の放射性物質として存在している。ウランの場合、現在の地球に天然に存在しているのは、238U(現在の地球ではウランの約99.274%を占めている)、235U(現在の地球ではウランの約0.7204%を占めている)、234U(現在の地球ではウランの約0.0054%を占めている)の3種の同位体である [3] 。 ただし、このうち234Uは、238Uが206Pbに変化する過程(ウラン系列)に現れる同位体なので、このウラン・鉛年代測定法においては重要ではない。ウラン・鉛年代測定法で重要なウランの同位体は、238U、235Uだけである。

さて、238Uは、ある決まった期間で一定の割合が、α崩壊β崩壊を繰り返して、最終的に206Pbに変化する。なお、この間のα崩壊の回数は8回、β崩壊の回数は6回である [4] 。 (詳細はウラン系列の記事を参照のこと。) これに対して235Uは、同じくある決まった期間で一定の割合が、α崩壊やβ崩壊を繰り返すものの、最終的に207Pbに変化する。なお、この間のα崩壊の回数は7回、β崩壊の回数は4回である [4] 。 (詳細はアクチニウム系列の記事を参照のこと。) 通常、ウラン・鉛年代測定法は、238Uをスタートとするウラン系列と、235Uをスタートとするアクチニウム系列とを組み合わせて年代測定を行う。

ところで、238Uが206Pbに変化する時間の約10倍の時間、半減期約475億年でβ崩壊する天然の放射性物質87Rbも放射年代測定に利用される。87Rbは、1回β崩壊すると安定核種である87Srとなるため、この2つの核種の存在比を見ることで年代測定を行うのである。 (詳細は、ルビジウム・ストロンチウム年代測定法英語版を参照。) このルビジウム・ストロンチウム年代測定法と、238Uが206Pbに変化するウラン系列とを組み合わせて(235Uが207Pbに変化するアクチニウム系列は用いずに)、年代測定を行う場合もある。ただいずれにしても、ウラン・鉛年代測定法での年代決定は、結局のところ、鉛の同位体の存在比を分析することによって行われる。

ウラン・鉛年代測定法を用いる対象[編集]

ウラン・鉛年代測定法は、ジルコン(ZrSiO4)を含んだ鉱石に対して試みるのが普通である。(ただし、ジルコン以外にも、モナズ石(リン酸塩鉱物の1種)、チタン石(クサビ石)(CaTiOSiO4)、バッデリ石(ZrO2)に対しても試みられる。)ジルコンは、結晶中にウランやトリウムを含有しやすいという性質がある反面、結晶中に鉛は非常に含有されにくいという性質も持っている。したがって、結晶になった後のジルコンの中に含有されている鉛は、ジルコンが冷え固まる時に結晶中に取り込まれたウランやトリウムが崩壊した結果生じたものであると見なすことができる。このため、ジルコンはウラン・鉛年代測定法を試みるのには都合の良い試料なのである。(他にも、ジルコンに含有された天然の放射性物質の崩壊に伴って、ジルコンの結晶格子に傷が発生することも、正確な年代測定に役立つので好都合。)

なお、ウラン・鉛年代測定法を、炭酸塩鉱物方解石アラレ石など)に用いる場合もある。ただし、通常の炭酸塩鉱物にウラン・鉛年代測定法を用いても、火成岩変成岩に含まれる鉱物にウラン・鉛年代測定法を用いた時に比べて、どうしても年代測定の正確性は劣ってしまうという欠点が存在する。

詳細[編集]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ Parrish, Randall R.; Noble, Stephen R., 2003. "Zircon U-Th-Pb Geochronology by Isotope Dilution ? Thermal Ionization Mass Spectrometry (ID-TIMS). In Zircon (eds. J. Hanchar and P. Hoskin)." Reviews in Mineralogy and Geochemistry, Mineralogical Society of America. 183-213
  2. ^ 国立天文台 編 『理科年表(2008年版、文庫サイズ)』 p.466 ISBN 978-4-621-07902-7
  3. ^ 国立天文台 編 『理科年表(2008年版、文庫サイズ)』 p.456、p.460 ISBN 978-4-621-07902-7
  4. ^ a b Romer, R.L. 2003. Alpha-recoil in U-Pb geochronology: Effective sample size matters. Contributions to Mineralogy and Petrology 145, (4): 481-491