ウイングガンダム

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ウイングガンダム (Wing Gundam) は、テレビアニメ新機動戦記ガンダムW』に登場する架空の兵器

鳥のような航空機に変形する可変ガンダムタイプMS(モビルスーツ)。作中前半にて主人公ヒイロ・ユイが搭乗する。敵組織であるOZ(オズ)からは「ガンダム01(ガンダムゼロワン)」のコードネームで呼ばれる。

メカニックデザイン大河原邦男が担当。また、後に発表されたOVAおよび劇場用アニメ新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』に合わせ、カトキハジメの手により新たにデザインが描き起された(詳細は後述)。


機体解説[編集]

諸元
ウイングガンダム
Wing Gundam
型式番号 XXXG-01W
開発 ドクターJ
頭頂高 16.3m
重量 7.1t
装甲材質 ガンダニュウム合金
武装 バスターライフル
ビームサーベル×1
バルカン×2(TV版のみ)
マシンキャノン×2
シールド
搭乗者 ヒイロ・ユイ
トロワ・バートン
レディ・アン

ウイングガンダムゼロの開発スタッフの1人であるドクターJが、ゼロの設計データを元に故郷のL1コロニー群にて完成させた機体。地球圏統一連合に対する一大テロ作戦「オペレーション・メテオ」発動と同時に地球に降下した。パイロットはドクターJに見出され、幼少より特殊工作員としての英才教育を叩き込まれた少年ヒイロ・ユイが務める。

本機は原型機ウイングゼロの設計思想を最も強く受け継いだ機体であり[1]、その外見や高速飛行形態「バード形態」への変形機構を初め、ウイングガンダムゼロを模倣した機能と装備を持つ。ただし、兵器としては過剰な性能を持つ同機の反省から、バスターライフルの弾数制限やゼロシステムの撤去など、その機能には大きく制約が掛けられている。それでも、OZの機体を上回る水準は維持されており、地球に降下した5機のガンダムの中では最も汎用性に優れた機体となった[1]

本機の機動性の大半は、バックパックに接続された一対のウイングユニットに集約されている[1]。このユニットは単純に揚力を発生させるのみならず、翼の分割されたパーツを可動・変化させることで機体の空力特性を適宜変化させ、失速から極超音速飛行までに至るあらゆる速度域に対応することができる[1]。宇宙空間においても、質量移動(AMBAC)や内蔵されたバーニアスラスターを併用した高い姿勢制御能力を発揮する。さらにバード形態に変形し、機動力と行動範囲を上昇させることで、他のガンダムよりも上の作戦行動が可能[1]。コクピットは球体形状となっており、頭部のメインカメラと連動して回転し、機体が見たものをパイロットもそのまま見ることになる。なおバード形態では頭部が収納されるため、常時水平に固定される。

アビリティレベル

リーオーをオールレベル100として換算)

  • ファイティングアビリティ:レベル130
  • ウエポンズアビリティ:レベル140
  • スピードアビリティ:レベル150
  • パワーアビリティ:レベル120
  • アーマードアビリティ:レベル130

Endless Waltz版[編集]

劇場作品『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』公開時に、OVAでカトキハジメによってリファインされたEW版ウイングガンダムゼロから逆算して、テレビ版ウイングをリファインした機体。大河原デザインのテレビ版に対し、初期はカトキ本人のイニシャルを取って「Ver.Ka.」、もしくは「アーリータイプ」とも呼ばれていたが、漫画『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』で当デザインの機体が登場することなどをきっかけとして、EW版と呼称されるようになった。

本体形状はEW版ウイングガンダムゼロとほぼ同一のもの。背部ウイングはより大型かつ複雑なパーツ構成を持ち、カラーリングは鮮やかな原色系のトリコロールになり、武装も大幅なデザイン変更がなされている。可変機構もテレビ版と一部異なるが、Endless Waltz版ウイングガンダムゼロは可変機構をもたないため、本機のそれはドクターJオリジナルということになる。

リファインされた機体は上記の様に、プラモデルマスターグレードシリーズで「ウイングガンダム(Ver.Ka)」、また完成品フィギュアとしてガンダムフィックスフィギュレーションシリーズで「ウイングガンダム・アーリータイプ」という商品名で発売されている(一部媒体ではウイングガンダムカスタムという呼称も用いられた)。本来ウイングガンダムとウイングガンダムゼロは別の機体であるため、同商品以後はアーリータイプと呼称されたことはない。

PS2用ゲーム「第2次スーパーロボット大戦α」では、一定の条件を満たすことで入手可能な隠しユニットとして登場する。

バード形態[編集]

高速移動用の巡航形態。基本的な変形パターンはウイングゼロに準じる。頭部・下半身を180度回転させ[2]、両膝はクランク状に収縮。両腕は肩アーマーを畳み、手首収納と同時にランディングクローを展開、肘角度も直角に曲げられる。背部のウイングを展開し、シールド、バスターライフルを背部ジョイントにマウントして変形を完了する。バスターライフル無しでも行動可能。 EW版では腰は旋回せず、膝の折り畳み方向もテレビ版と逆になっている。

変形後は尖った機首、鉤爪状のランディングクローなど、まさに鳥を髣髴とさせるシルエットを形成する。この形態では単体での大気圏突入が可能となり、OZのMSはもちろん、他のガンダムも寄せ付けない行動領域を持つ。

武装[編集]

バスターライフル
ウイングガンダムゼロのツインバスターライフルを基に開発された携帯ビーム砲。オリジナルのツインバスターライフルは機体本体からエネルギーを供給する方式を採用しているが、本兵装の場合は、エネルギーを物質化寸前まで縮退化させて詰め込んだ専用カートリッジを銃身に3つ装着しており[1]最大出力で発射した場合弾数は3発[3][4][5]。出力もツインバスターライフルの半分以下に抑えられている。それでも、最大出力で発射されるビームのエネルギーは中規模都市の1日の消費量にも相当し(30万人都市と仮定すると24時間で7200MWに達する。)、射軸を中心とした周辺の大気を一瞬にして電離(イオン化)させ、半径150mに及ぶ激烈なプラズマ過流と数十Kmに及ぶ灼熱の奔流を巻き起こすほどの威力を持つ[1]。また、このビーム自体が複合的な層を持ち、高速で貫通力の高いビーム帯を中心に、低速で破壊力の強い粒子束が更に貫通する[1]。バード形態を併用した本機の機動性と合わせれば、戦略兵器としての運用も不可能ではない[1]。またエネルギー経路がカートリッジで完結しているため、規格の異なる別の機体でも使用可能な利点を持つ。
なおマスターグレード「ウイングガンダム」では下腕部のランディングクローを使い、バスターライフルの保持を補佐する新解釈が取られている。
EW版では機体の身長並に長大化され、銃尻にはバード形態時に頭部を覆うフェアリングパーツが追加されている。同時に、片腕に3発、左右合わせて6発分の予備カートリッジを収めた専用ラックを懸架する。
ビームサーベル
シールドに1基格納された接近戦用武装。耐久性に優れたガンダニュウム合金製部材の採用により、水中でも一切減衰しないほどの高出力を発生させる。抜刀時はシールドが中折れしグリップが露出する。
EW版ではシールドの中折れギミックが省略され、裏面に格納される。
バルカン
頭部に2基内蔵された機関砲。対MS用としては非力で、威嚇・牽制や対人戦が主な用途である。
EW版には装備されていない。
マシンキャノン
両肩に2基内蔵された機関砲。頭部バルカンよりも大口径で、ガンダニュウム合金製以外のMSであれば破壊可能な威力を持つ。
シールド
バード形態時の機首を兼ねるガンダニュウム合金製シールド。それ自体の強度に加え、表面に施された特殊コーティングによって実弾、ビームを問わず堅固な守備力を有する。バード形態時は先端にバスターライフルを接続する。先端部は鋭利で、そのまま打突武器としても使用される。TV版では先端部にセンサーが設けられていたが、EW版では省略されている。

劇中での活躍[編集]

第一話で大気圏突入中の戦闘によりエアリーズ2機撃破するも、この機体の強さを認めたゼクス・マーキスの機転により海溝に沈められた。ヒイロはサルベージされてOZに利用されないための破壊を試みるも失敗、結局デュオ・マックスウェルやハワードらの助力によりヒイロの手に戻り、共に各地を転戦。シベリアでの戦闘で一度自爆するが、ヒイロとの決着を望んだゼクスの意向により、自爆したウイングガンダムに構造のよく似たトールギスの予備パーツを組み込み、技術者達の努力の結果、ほぼ完璧な形で一度修復される(自爆時の損傷が酷くレストアに近い)。

南極での戦闘にてトロワ・バートンが搭乗し、南極の基地に差し向けられるロームフェラ財団のMS部隊襲撃に備えていたこともある。

その後、ヒイロは宇宙に上がる際に目立ち過ぎるという理由から本機を海底に遺棄したが、サリィ・ポォによって回収され、地球帰還後のサンクキングダムにおける戦闘で再び搭乗している。直後のルクセンブルク戦で損傷放棄されたが後に回収され、MO-II決戦時にはそれまで意識不明だったレディ・アンがウイングガンダムに乗り宇宙へ飛び出す。リーブラの主砲の射線上に立ちはだかっていたトレーズトールギスIIを庇い大破。本機はこの時点で完全に放棄されている。

なお、劇中では一貫して「ガンダム01」と呼ばれており「ウイングガンダム」と劇中で呼称されたのは前述したトールギスIIを庇う際にトレーズが一言発しただけで、パイロットであったヒイロでさえ呼称したことはなかった[6]。また、ヒイロは機体を乗り捨てることが多いため、主人公機にもかかわらず、劇中でヒイロが搭乗した回数はそれほど多くはない。さらに後半ではヒイロがウイングガンダムゼロを乗機としたこともあり、初期のガンダム5機の中で唯一、改修が施されなかった。

ウイングガンダム Endless Waltz バージョン[編集]

書籍『新機動戦記ガンダムW エンドレスワルツ 最強プレイングブック』の表紙および Chapter 2 に登場。Chapter 3 である『新機動戦記ガンダムW〜ティエルの衝動〜』には登場しない。デザインは石垣純哉。「Endless Waltz バージョン」という名前になっているのは当時ウイングガンダムのEndless Waltz版がデザインされていなかったため。AC195年、OZの地上基地を強襲した謎の機体とされている。

白雪姫(スノーホワイト)[編集]

小説『新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop』に登場する機体。ガンダムタイプのMSだが、全身をステルス性の特殊マントで包まれているため、ゼロシステムが搭載されている以外の機体の詳細は現時点では不明。武装はビームサーベルと、ウイングと同様のカートリッジ方式のバスターライフルを装備しており、最大出力で発射した時の弾数は3発。さらに予備のカートリッジが3発用意されている。パイロットはかつてウイングガンダムに搭乗したヒイロ・ユイが務める。

備考[編集]

本機の元デザインは、前作の『機動武闘伝Gガンダム』にて、大河原邦男が提出した複数の主役機のデザイン案の内、不採用となった没デザインの流用である。一瞬ではあるが『機動武闘伝Gガンダム』最終回の終盤、デビルガンダムの迎撃のため出撃した「ガンダム連合」の中に本機の姿が確認できる(ただしカラーリングが異なる)。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i プラモデル「ウイングガンダム」組立説明書, 1/100スケールモデル マスターグレード, バンダイ 
  2. ^ テレビ版第1話にて、リーオーからの砲撃が機体の右側に当たったのにヒイロが「推進システム異常」と言っているのは、推進器を内蔵する両脚の位置が左右逆転しているためである。
  3. ^ XXXG-01W ウイングガンダム”. 『新機動戦記ガンダムW』公式ホームページ. サンライズ. 2011年1月4日閲覧。
  4. ^ プラモデル「ウイングガンダム(旧キット)」組立説明書, 1/144スケールモデル / 1/100スケールモデル ハイグレード, バンダイ 
  5. ^ 実際に劇中30話で最大出力ではPDを展開したビルゴの大隊を一撃で消滅させ、33話後半でも一部隊程を消滅させており、33話前半の低出力ではPDを展開したビルゴを仰け反らせる程度だった。その他の多数のエピソードでも小規模の射撃が確認できる。
  6. ^ 次回予告などでは呼称されていた。

関連項目[編集]