インド門 (ムンバイ)

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インド門 (ムンバイ)
英語: Gateway of India
マラーティー語: भारताचे प्रवेशद्वार
港から臨むインド門、2003年
旧名称 ギルバート
別名 ゲートウェイ・オブ・インディア
概要
建築様式 インド・サラセン様式 (Indo-Saracenic Revival architecture
所在地 インドの旗ムンバイインド(ボンベイ)
座標 北緯18度55分18.609秒 東経72度50分4.937秒 / 北緯18.92183583度 東経72.83470472度 / 18.92183583; 72.83470472
標高 10 m (33 ft)
着工 31 March 1911年3月31日
完成 1924年
落成 December 1924年12月4日
建築費 210万 (1911年)
高さ 26 m (85 ft)
技術的詳細
15メートル (49 ft)
建設関係者
クライアント イギリス領インド帝国
所有者 インド考古調査局
建築家 ジョージ・ウィテット (George Wittet
建設会社 ガモン・インディア (Gammon India[1]
改築関係者
建築家 ジョージ・ウィテット

ムンバイのインド門(インドもん、: Gateway of Indiaマラーティー語: भारताचे प्रवेशद्वार)とは、イギリス領インド帝国の時代にインドムンバイ(旧ボンベイ)に建てられた記念建造物である[2]。南ムンバイ (South Mumbaiアポロ・バンダル (Apollo Bunderアラビア海を臨む海岸地区に位置する[3][4]。この建物は高さ26 m (85 ft)の玄武岩のアーチであり、ムンバイ港 (Mumbai Harbour海岸線沿いのチャトラパティ・シヴァージー・マーグの終端に位置する[5]。この場所は漁村で使われた粗末な桟橋であったが、後に改装されてイギリス人総督や他の著名人の上陸地として使用された。昔は、船でムンバイに到着する旅行者が最初に目にする建造物であった[6][7]。インド門はムンバイのタージ・マハルとも称され[8]、市内で一番の観光地である。[9]

この建物は、ジョージ5世メアリー王妃が1911年に訪れたとき、アポロ・バンダルに上陸したことを記念して建立された。インド・サラセン様式 (Indo-Saracenic Revival architectureで建設され、礎石は1911年3月31日に敷かれた。ジョージ・ウィテット (George Wittetの最終設計は1914年に認可され、この記念建造物の建設は1924年に完了した。インド門は後に副王およびボンベイ知事 (Governors of Bombayのインドへの儀式的入口となり[10]、インドへの入国を許可する役割を果たした。[11]

この歴史的建造物は、21世紀はじめ (History of Mumbai during the 21st centuryから3回のテロ攻撃を受けている。2003年に2回あり、2008年のムンバイ同時多発テロで銃で武装した4人のテロリストがタージマハル・ホテルを攻撃した際には上陸地点であった。

歴史[編集]

「MCMXI(1911年)12月2日にインド皇帝ジョージ5世と王妃メアリーの上陸を記念して建設した(Erected to commemorate the landing in India of their Imperial Majesties King George V and Queen Mary on the Second of December MCMXI)」と刻される。

インド門は、1911年12月のデリー・ダルバール (Delhi Durbar(国民会議)開催前にジョージ5世メアリー王妃がムンバイに訪れたことを記念して建立された。しかし、建設は1915年から始まったため、実際に目にしたのは厚紙で作った建物の模型だけであった [12]。礎石はジョージ・シデナム・クラーク (George Sydenham Clarkeボンベイ知事により1911年3月31日に敷かれ、ジョージ・ウィテット (George Wittetの最終設計は1913年3月31日に認可された。インド門は黄色い玄武岩とコンクリートで作られた[13]。1915年から1919年にかけて、インド門が建つアポロ・バンダル(港湾)の造成が行われ、新しい海岸壁が作られた。造成は1920年に完成し、建設は1924年に竣工した[14]。インド門は1924年12月4日に、副王を務めていた初代レディング伯爵ルーファス・アイザックスにより開門された[6]

インド独立 (Indian independence movementに伴いインドから帰還する最後のイギリス軍、サマセット軽歩兵連隊 (Somerset Light Infantry第1大隊が1948年2月28日の帰還式でインド門を通り、イギリスによる統治の終焉を示した。[6][15]

設計および構造[編集]

建築士のジョージ・ウィテット (George Wittetは、古代ローマの凱旋門と16世紀のグジャラート州建築物の要素を組み合わせた[16]。その設計はヒンドゥー教徒ムスリムの建築様式の組合わであり、アーチはムスリムの様式であり装飾はヒンドゥー教徒の様式である[17]。インド門は黄色い玄武岩鉄筋コンクリートで作られた[12]。玄武岩は地元で採掘し、有孔スクリーンはグワーリヤルから購入した[18]。インド門は、アポロ・バンダル (Apollo Bunder突端からムンバイ港 (Mumbai Harbourを臨む。[19]

中央のドームは幅15メートル (49 ft) であり、最高点は地上25メートル (82 ft)である [20]。港湾地区全体は、海岸通りが街の中心部へ緩やかにまっすぐ延びるように再編成された。門の両端には、600人を収容できる大きなホールがある[12]。建築費は210万インド・ルピー(3万2000ドル)であり、主にインド政府 (Government of Indiaが負担した。資金不足のため上陸路は作られず、インド門は沿道の終端に位置している。[6][20]

歴史的意義[編集]

インド門は副王およびボンベイ知事のインドへの上陸地点として使用された。1911年にジョージ5世を迎えるため建設され、その後は英領インドとイギリス帝国の重大な行事のために使用されたが、現在はイギリスによるインド国民への植民地政策と制圧の「歴史的遺産」である[11]タージマハル・ホテルのすぐ隣に建てられており[21]、インド門はインドに初めて訪れたイギリス人のための、イギリス帝国の「権力と威厳」の象徴であった。[3]

国内外の観光客、歴史的建造物を背景に地元の写真家などの群衆が見られる。

インド門の反対側にはチャトラパティ・シヴァージーの像が建つ。シヴァージは17世紀にゲリラ戦を駆使してサリアドリ山岳地域にマラーター王国を建国し[22]、マラータ族 (Marathaの「誇りと勇気」の象徴である[23]。この像の除幕式は1961年1月26日のインド共和国記念日に行われた[24][25]。この地域にはもう1つ、スワーミー・ヴィヴェーカーナンダの像も建てられている。[26]

門には5つの桟橋がある[27]。1番桟橋はバーバー原子力研究センター (Bhabha Atomic Research Centre専用で、2番、3番が商用フェリー業務で使われ、第4は閉鎖で第5はロイヤル・ボンベイ・ヨットクラブ専用である。

インド門には多数の観光客が訪れる。

2008年のムンバイ同時多発テロ後、すべての桟橋を閉鎖して近隣のラジオクラブ (Bombay Presidency Radio Club付近に2つの新しい桟橋を作り直すことが提案された[28]。第2、第3桟橋はフェリーで50分で行くエレファンタ石窟群ツアーの出発地点である[21][29]。インド門からの他のフェリー経路には、アリバーグ (Alibagとマンダバ (Mandwa行きがある。これらのフェリーは人気があるため定員以上に乗客を運ぶと言われている、[30]

インド門は主要な観光地であり、地元の人々や大きな風船売り、写真家に人気の集会スポットである[19]。マハーラーシュトラ州観光局 (MTDCは23年の歴史を持つ「エレファンタ・フェスティバル(Elephanta Festival of music and dance)」会場を、その収容能力によりインド門への変更を2012年に決定した。エレファンタ石窟群の700から800人に対し、インド門で2000から2500人集まることができる。[31][32]

テロ攻撃[編集]

2003年にタクシーに仕掛けられた爆弾がインド門近くで爆発した[9]。インド門は、2003年8月の爆弾テロ (25 August 2003 Mumbai bombingsの標的であり、銃で武装した4人のテロリストがタージマハル・ホテルを攻撃した2008年11月のテロでのテロリストの上陸地点であった[33]。2008年のテロ攻撃後、この地域での公共の移動は制限された。[34]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Which company built the Gateway of India?”. Rediff.com (2007年5月4日). 2012年4月30日閲覧。
  2. ^ National Portal Content Management Team. “National Portal of India, Monuments”. National Informatics Centre (NIC). 2012年4月23日閲覧。
  3. ^ a b Pg no. 582
  4. ^ DNA (2012年4月24日). “Walk amid a wealth of heritage in Mumbai”. DNA India (Mumbai). http://www.dnaindia.com/mumbai/report_walk-amid-a-wealth-of-heritage-in-mumbai_1679827 2012年4月24日閲覧。 
  5. ^ Holloway, James (1964年11月29日). “Gateway of India; Colorful, Crowded Bombay Provides An Introduction to Subcontinent”. The New York Times. http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F30D14F83A5D1A728DDDA00A94D9415B848AF1D3 2012年11月26日閲覧。 (要購読契約)
  6. ^ a b c d Dwivedi, Sharada; Rahul Mehotra (1995). Bombay – The Cities Within. Mumbai: India Book House. ISBN 81-85028-80-X. 
  7. ^ Arnett, Robert (15 July 2006). India Unveiled. Atman Press. p. 166. ISBN 978-0-9652900-4-3. http://books.google.com/books?id=Tmn91va2e4UC&pg=PT166 2012年4月22日閲覧。. 
  8. ^ Duncan Forbes (1968). The heart of India. Hale. p. 76. http://books.google.com/books?id=Whq2AAAAIAAJ 2012年4月3日閲覧。. 
  9. ^ a b 2003: Bombay rocked by twin car bombs”. BBC (2003年8月25日). 2012年4月16日閲覧。
  10. ^ Chapman, Kenneth. Peace,War and Friendships. Roxana Chapman. p. 151. ISBN 978-0-9551881-0-7. http://books.google.com/books?id=lGNL0aT7EZ8C&pg=PA151 2012年4月16日閲覧。. 
  11. ^ a b Simon, Sherry; St-Pierre, Paul (27 November 2000). Changing the Terms: Translating in the Postcolonial Era. University of Ottawa Press. p. 245. ISBN 978-0-7766-0524-1. http://books.google.com/books?id=cmJ5O0ZOwqsC&pg=PA245 2012年4月22日閲覧。. 
  12. ^ a b c Mis, Melody S. (1 August 2005). How to Draw India's Sights and Symbols. Rosen Publishing. p. 42. ISBN 978-1-4042-2732-3. http://books.google.com/books?id=JsWERNisCTgC&pg=PA42 2012年4月16日閲覧。. 
  13. ^ Gateway of India”. 2013年9月8日閲覧。
  14. ^ Dwivedi, Sharada; Mehrotra, Rahul (1995). Bombay: the cities within. India Book House. ISBN 978-81-85028-80-4. http://books.google.com/books?id=RuhOAAAAMAAJ 2012年4月16日閲覧。. 
  15. ^ Bradnock, Robert; Bradnock, Roma; Ballard, Sebastian (1993). South Asian handbook. Trade & Travel. ISBN 978-0-8442-9980-8. http://books.google.com/books?id=le8uAQAAIAAJ 2012年4月30日閲覧。. 
  16. ^ Shobhna Gupta (2003). Monuments of India. Har-Anand Publications. p. 111. ISBN 978-81-241-0926-7. http://books.google.com/books?id=W4r5iLMVGkAC&pg=PA111 2012年4月3日閲覧。. 
  17. ^ Sigh, Kirpal; Mathew, Annie. Middle School Social Sciences. Frank Brothers. p. 8. ISBN 978-81-8409-103-8. http://books.google.com/books?id=RyohfLCDOUkC&pg=SL8-PA99 2012年4月16日閲覧。. 
  18. ^ Bajwa, Jagir Singh; Kaur, Ravinder (1 January 2007). Tourism Management. APH Publishing. p. 240. ISBN 978-81-313-0047-3. http://books.google.com/books?id=TVXCiwdwPxsC&pg=PA240 2012年4月16日閲覧。. 
  19. ^ a b Singh, Sarina (1 September 2009). Lonely Planet India. Lonely Planet. pp. 783–784. ISBN 978-1-74179-151-8. http://books.google.com/books?id=vK88ktao7pIC&pg=PA783 2012年4月18日閲覧。. 
  20. ^ a b Kapoor, Subodh (1 July 2002). The Indian Encyclopaedia. Cosmo Publications. p. 2554. ISBN 978-81-7755-257-7. http://books.google.com/books?id=KjlbinB5Xj8C&pg=PA2554 2012年4月22日閲覧。. 
  21. ^ a b Pippa De Bruyn; Keith Bain; David Allardice; Shonar Joshi (12 February 2010). Frommer's India. John Wiley & Sons. p. 125. ISBN 978-0-470-60264-5. http://books.google.com/books?id=HlqM2CR4vfUC&pg=PA125 2012年4月3日閲覧。. 
  22. ^ 300-feet Shivaji statue in Mumbai's Arabian Sea!”. 3 June 2008. Rediff.com. 2012年4月16日閲覧。
  23. ^ B.K. Chaturvedi. Tourist Centers of India. Diamond Pocket Books (P) Ltd.. p. 146. ISBN 978-81-7182-137-2. http://books.google.com/books?id=QrLcFkhRZPYC&pg=PA146 2012年4月3日閲覧。. 
  24. ^ Prasad, Rajendra (1984). Dr. Rajendra Prasad, Correspondence and Select Documents. Allied Publishers. p. 205. ISBN 978-81-7023-002-1. http://books.google.com/books?id=QfqUPmd1nvQC&pg=PA205 2012年4月16日閲覧。. 
  25. ^ University of Michigan (1965). The Illustrated weekly of India. Bennett, Coleman & Co., Ltd.. p. 152. http://books.google.com/books?id=YTUTAQAAMAAJ 2012年4月16日閲覧。. 
  26. ^ Kottis, George C. (30 October 2006). Follow the Wind of Your Soul. AuthorHouse. p. 101. ISBN 978-1-4259-5505-2. http://books.google.com/books?id=YfU7ccLd-h4C&pg=PA101 2012年5月19日閲覧。. 
  27. ^ Thakkar, Dharmesh (2009年1月27日). “Gateway of India jetties to move location”. NDTV. http://www.ndtv.com/convergence/ndtv/mumbaiterrorstrike/Story.aspx?ID=NEWEN20090081499&type=News 2012年4月30日閲覧。 
  28. ^ “5 jetties may be shut”. Daily News and Analysis. (2009年1月29日). http://www.dnaindia.com/mumbai/report_5-jetties-may-be-shut_1225849 2012年4月30日閲覧。 
  29. ^ DNA (2012年4月18日). “Mumbai heritage week: Revisiting a lost culture in the city of caves”. DNA India. http://www.dnaindia.com/mumbai/report_mumbai-heritage-week-revisiting-a-lost-culture-in-the-city-of-caves_1677368 2012年4月18日閲覧。 
  30. ^ “Disaster floats at gateway”. Mid Day. (2011年10月2日). http://www.mid-day.com/news/2011/oct/021011-Disaster-floats-at-gateway.htm 2012年4月30日閲覧。 
  31. ^ Tembhekar, Chittaranjan; Jaisinghani, Bella (2012年3月5日). “Elephanta festival ‘moves’ to Gateway of India”. The Times of India. http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2012-03-05/mumbai/31123371_1_elephanta-island-gateway-elephanta-festival 2012年4月30日閲覧。 
  32. ^ “Festival weaves magic”. The Indian Express. Express news service (Mumbai). (2012年3月27日). http://www.indianexpress.com/news/festival-weaves-magic/928956/ 2012年11月30日閲覧。 
  33. ^ Outlook Publishing (8 December 2008). Outlook. Outlook Publishing. p. 35. http://books.google.com/books?id=NTEEAAAAMBAJ&pg=PA35 2012年4月3日閲覧。. 
  34. ^ Clara Lewis, Times News Network (2012年3月18日). “Gateway not quite a getaway”. The Times of India. http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2012-03-18/mumbai/31207283_1_intach-alternate-plan-indian-national-trust 2012年4月4日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]