インドの鉄道

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インドの鉄道路線網

インドの鉄道(いんどのてつどう)では、インドにおける鉄道について記す。

概要[編集]

インドの鉄道は国有インド鉄道)であり、総延長は62000kmを超えて世界第5位(アメリカロシアカナダ中国に次ぐ)である。最初の路線は1853年に開業したボンベイターネー間約40kmで、日本1872年よりも早く、アジアでは初めてのものであった。建設の目的はイギリス大英帝国)が植民地内における綿花石炭紅茶の輸送を図る為であり、インド人を酷使したところもあったので、鉄道に対するインド人の反感は強かったといわれ、何度か民族運動などで破壊の対象にもされた。しかし、中にはインド人の民族資本家が引いた鉄道も存在しており、その中にはある地域が飢饉の際に他の地域から物資を輸送することで飢餓を防いだことから、「飢餓鉄道」と呼ばれる事になったものも存在したという。

インドに最初に敷設された鉄道の軌間は「広いほうが望ましい」という当時のインド総督ダルハウジー卿の意見を入れて1676mm(広軌)で建設された。その後輸送量の少ない地方の路線については、建設費削減の目的から1000mmと762mmの狭軌が採用された。(久保田博著「日本の鉄道史セミナー」25頁)なお 特殊な例として少ない輸送量と険しい地形を勘案した610mm(ナローゲージ)のダージリンヒマラヤ鉄道なども建設された。1947年のインド独立後、鉄道網はインド国鉄の所有となり、幹線は改軌によって1676mmへの統一化が進められ、現在主要都市間はほとんど直通運転が可能になった。

インドは国内航空も発達しているが、利用するのは一部の富裕層と外国人だけであり、インド国民の中長距離旅行にはもっぱら鉄道が利用される。定期列車の最上等車である「ラージダーニー・エクスプレス」のエアコン付き一等寝台のニューデリー・ムンバイ間の料金は2008年のデータでは3305ルピーで航空機1万2090ルピー(料金は地球の歩き方「インド」ダイヤモンド社、08-09 より)のほぼ1/4であるが、一般庶民が乗るエアコン無しの2等座席車の料金は一等寝台の10分の一以下である(2012年のレートは1ルピーが約1.5円)。大都市間の幹線や都市近郊は電化が進んでいるが、郊外にはディーゼル機関車も活躍している。蒸気機関車は昨今になってようやく観光用の一部を除き全廃され、日本の新幹線方式による高速鉄道を数年以内に着工に入れる構想もある(2012年現在)。また車両の更新や改善の計画として、2012年以降、垂れ流し式便所を新型のものに交換する計画がある[1]

ナローゲージ鉄道の中には、世界遺産になっているダージリン・ヒマラヤ鉄道1999年登録)・ニルギリ山岳鉄道2005年登録)・カールカー=シムラー鉄道2008年登録)といった著名なものも存在する。3者を合わせた登録名称は「インドの山岳鉄道群」である。

なお、ムンバイCST駅も歴史的な建築として2004年に世界遺産に登録されている。

輸送形態[編集]

観光列車[編集]

インド国内および世界各国の観光客向けに、2泊から一週間程度の観光ツアーをセットにした観光列車(Tourist Trains)が設定されている。特別な内装設備や給仕を提供しており、豪華列車(Luxury Trains)とも呼ばれている。料金は他の列車に比べて非常に高く設定されており、たとえば2008年の繁忙期のゴールデン・チャリオットは、7泊で98,000ルピーであった。観光列車には、以下のようなものがある。

長距離列車[編集]

優等列車用の電気機関車WAP5、最高速度160km/時

インドにおける長距離急行列車は、インド鉄道(Indian Railways)が管理運行している。インド鉄道は、"Trains at a Glance"という、長距離列車のみを掲載した時刻表を発行している。長距離急行列車は、800往復以上が設定されている。ただし、すべてが毎日運行しているわけではなく、週1便しか運行しない急行もある。

基本的には一等と二等の二等級制ではあるが、その他にも寝台車座席車か、エアコンの有無などで差があり、実質的は5~8種位のクラスがある。同じ区間でも、最下等と最上等では15~40倍くらいの運賃格差があり、インドの階級社会を物語っているといえよう。待合室も等級によってエアコンの有無などに差がある。上等車は座席指定制であり、各車両の入り口の脇に乗客の名前が載った座席表が貼りだされる。エアコン無しの二等車は自由席で常時混雑している。

主要路線は、デリーコルカタムンバイチェンナイの4大主要都市間を結ぶ路線で、優等列車も多数設定されている。

ラージダーニー急行の朝食、厨房車で調理された食事を席まで運んでくれる

優等列車としては、首都デリーと各州の主要都市を夜行で結ぶ寝台列車ラージダーニー・エクスプレス(Rajdhani Express,राजधानी एक्सप्रेस:「首都特急」の意)や、日着圏内の大都市間を走るシャターブディー・エクスプレス(Shatabdi Express,शताब्दी एक्सप्रेस:「世紀特急」の意)、そして2009年に運行を開始した、速達性を重視して目的地までノンストップで直行するドゥロント急行(Duronto Express,দুরন্ত এক্সপ্রেস)がある。ほか、急行列車として、デリーからタージ・マハルのあるアーグラーの間に観光客向け列車の「タージ・エクスプレス」(Taj Express・「タージ特急」の意)が1日1往復あり、また主要都市間を結ぶインターシティ急行リンク急行、そしてメイル(Mail・かつて速達郵便の輸送も担っていたため)やパッセンジャー(Passenger)も各線に設定されている。ラージダーニー・エクスプレスやシャターブディー・エクスプレスなどでは乗車券代金に食事やお茶のサービスも含まれる。

短距離や中距離の移動には夜行を含むバスの便も多いが、長距離の移動については航空機を除けば鉄道が最大の手段であり、予約が取りにくい状況である。また ほとんどの列車には予約不要の車両(二等座席車)が連結されているがこちらは混雑が激しい。

最近ではインターネットで予約することが可能になった。航空券と同様にEチケットが発行され、それを印刷したものが乗車券となる。乗車前の駅での手続きは一切不要で、そのまま乗車すればよい。

中距離列車[編集]

インドにおける中距離列車は、各地方鉄道が管理運行している。時刻表も、各地方鉄道が主要駅で販売している。

大都市と大都市、あるいは大都市と中小都市を連絡する。普通列車や快速列車など、さまざまな種別が設定されている。しかし、運行頻度は、近郊列車のように頻繁ではなく、少ないところでは1日2往復のものもある。

近郊電車[編集]

ムンバイ・バーンドラー(en:Bandra)駅の近郊電車

デリー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタ、ハイデラバードプネーおよびラクナウカーンプル間には通勤用の近郊電車(通勤電車)がある。近郊電車は、当地を管轄している地方鉄道によって管理運行されている。すなわち、デリーの近郊電車はインド北部鉄道、ムンバイとプネーの近郊電車はインド中部鉄道ムンバイ近郊鉄道インド西部鉄道にもまたがっている)、チェンナイの近郊電車はインド南部鉄道、コルカタの近郊電車はインド東部鉄道、ハイデラバードの近郊電車はインド中南部鉄道が管理している。ラクナウカーンプル間の近郊電車は複数の地方鉄道にまたがっている。

近郊電車は3両につき1両の動力車を持つ動力分散方式で、通常9両から12両編成で運転される。ムンバイのみ直流電化だが、それ以外は交流電化(ムンバイにも交流の区間はある)。1両あたりの定員は96人であるが、ラッシュ時乗車率は300%に達する。

運賃が安い、運転間隔が短い(通常5分から10分間隔)、渋滞の心配が無いなど利便性が高いだけに利用者も多く、慢性的に混雑している。

地下鉄[編集]

2014年現在、デリーコルカタムンバイバンガロールには地下鉄がある。またチェンナイでも建設中であるほか、計画中の都市がいくつかある。

路面電車[編集]

コルカタには路面電車トラム)が残っている。

国際列車[編集]

現在、インドの鉄道はパキスタンバングラデシュネパールの鉄道と接続している。ただし運行はそれほど密接とはいえない。今後はスリランカの鉄道と連絡船を介して接続したり、ブータンに鉄道を延ばす計画もある。

私鉄[編集]

インドの鉄道は国有が原則だが、港湾(日本でいう臨海鉄道)や鉱山などの産業用、プランテーション用といった専用鉄道には若干の私鉄もある。

路線管理[編集]

インドの鉄道の1つ、ダージリン・ヒマラヤ鉄道

インド全土に広がる鉄道網は、以下のように分割管理されている。

以下の鉄道は、公社化されている。

出典[編集]

  1. ^ “6億人が今も屋外で排泄 インドのトイレ問題(2)”. サーチナ (MSN). (2012年11月25日). http://topics.jp.msn.com/world/general/article.aspx?articleid=1533814 2012年11月26日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]