インドにおける性に関する問題

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インドにおける性に関する問題(インドにおけるせいにかんするもんだい)は、年配者、男性、支配者カーストが、若者、女性、非支配者カーストを、対等な存在ではなく、卑しい身分“目下”として処遇すること、そしてさらにはその人権を激しく制限することにその根本原因を有する。具体的な問題としては、強制結婚、名誉殺人、レイプなどである。

強制結婚[編集]

インドにおいては21世紀初頭においても、法律とは別に、両親やその他の、年配親族や男性親族による、若者や女性への強制結婚が広範囲に存在しており、それが、伝統、文化として肯定される傾向が強い。そのため、自己の意思により若者や女性が結婚の可否を決断することは難しく、それを行うためには駆け落ちなどの実力行使を余儀なくされることも少なくない。下記に述べる名誉殺人は、この駆け落ちへの“懲罰”として行われることもある。

名誉殺人[編集]

インドでは、隣国パキスタンやイラン、そして東地中海の諸国同様、宗教を問わず、法律とは別の社会慣習として、年配親族や男性親族が、結婚に関する強大な支配大権を誇っており、それに対して反対する若者や女性に対して、死刑を含む懲罰大権を有している家庭や親族共同体、地域共同体が少なくない。そのため、両親その他の年配親族、また男性親族の意にそぐわない結婚や恋愛をした、もしくはしようとしている、と両親その他の年配親族、また男性親族が判断した場合、場合によってはその判断の“証拠”が、単に若者や女性が他者に視線を向けたり、他者に立ち話をしたり、他者の近くに存在したり、周囲の噂話が立ったというだけであっても、その判断に基づき両親その他の年配親族、また男性親族が自由にその若者や女性を、秘密裏に、もしくは公衆の面前で罵倒し、暴行し、性的虐待し、そして処刑することが少なくない[1][2][3]。法律上は無論違法ではあるが、実際には公権力も、家庭、親族共同体、地域共同体の、“伝統”“文化”“自己決定権”を侵害することを恐れて、また公権力の執行者の少なくない人々もこのような価値観を共有しているため、見て見ぬふりをすることが少なくない。

レイプ[編集]

レイプはインドにおいても法律上犯罪であるが、実際には、年配者・男性・支配者カーストが、若者・女性・非支配者カーストをレイプしても、問題にされない場合が少なくない。とりわけ、非支配者カーストの女性や、男性に一人で行動していると判断された女性や、男性に女性の権利を求めるなどの行動をしていると判断された女性の場合、男性がその女性を自由にレイプしても、社会的にみて見ぬふりをする場合が少なくない。その理由としては、まず、カースト制度を擁護する議論的視点からすれば、極端な場合、非支配者カースト女性は、とりわけダリットのカーストに属する女性は、支配者カーストに属する男性に対して、何の権利も持たないし、また持つべきでない存在とみなされるため、自由にレイプすることが許可されるからである。また、後者の一人で行動していると男性が判断した女性や、女性の権利を求めるなどの行動をしていると男性が判断した女性について言えば、家父長制的なイデオロギーを擁護する議論的視点からすれば、この種の女性は、“生意気”という評価を男性から(さらにはその価値観に服従する女性からも)与えられ、また与えられるべきとされるので、このような“生意気”な女性に対する“社会的制裁”として、レイプは許可されるからである[4]

非インド人の旅行者女性に対しても、レイプが男性により行われることがある[5][6]。これは、非インド人女性はインドの“伝統”(すなわち家父長制)に逆らい、しばしば一人で行動していると、すなわち“生意気な”女性であるとレイプする男性が判断することや、そもそも旅行者であるため地の利がある男性側が、レイプをしても揉み消せる、逃げ切れると男性が判断すること、などが理由である。

参照[編集]

  1. ^ 女性を撲殺し恋人男性の首を切断、インド北部で「名誉殺人」 AFPBBNews、2013年09月20日12時23分配信、 インド、ニューデリー発信、2014年2月7日閲覧。ここでは、駆け落ちへの“懲罰”として、ある一人の女性とその恋人のある一人の男性が、その女性の両親を含むその女性の親族により殺害された。
  2. ^ インド、伝統の犠牲「名誉殺人」 家族が阻む異なる身分の恋愛産経新聞、2010年10月3日(日)7時56分配信のウェブアーカイブ、2014年2月7日閲覧。ここでは、カースト違いで、同じ村(疑似的な近親関係)にあるカップルの恋愛に対する“懲罰”として、この女性の両親により、この二人の殺害が行われた。
  3. ^ 「不実な娘許さぬ」、父親が娘を斬首・焼殺 インド AFPBBNews、2012年06月22日10時00分配信、インド、グジャラート発信、2014年2月7日閲覧。ここでは、ラジャスタン州で、ある一人の男性が、その娘であるある一人の女性を、その不倫に対する“懲罰”として殺害したことと、グジャラート州で、別のある一人の男性が、その娘であるある一人の女性を、その駆け落ちへの“懲罰”として焼き殺したことが記述されている。また、「こうした名誉殺人は伝統的な正義として通報されない場合も多く、警察や地元政治家も見て見ぬふりをしているのが実情」であるとも記述されている。
  4. ^ 恋人と密会した女性に「集団レイプの刑」、インド村議会 AFPBBNews、2014年01月23日18時10分配信、 インド、コルカタ発信、2014年2月7日閲覧。ここでは、村の議会による、この村のある一人の女性の他の村のある一人の男性との恋愛への“刑罰”として、この村の12人のある男性によるこの女性へのレイプが行われた。
  5. ^ デンマーク女性集団レイプ事件、容疑者2人を拘束 インド首都 AFPBBNews、2014年01月16日10時01分配信、インド、ニューデリー発信、2014年2月7日閲覧。
  6. ^ タクシー車内で子連れポーランド女性レイプ被害、インドAFPBBNews、2014年01月06日14時05分配信、インド、ニューデリー発信、2014年2月7日閲覧。

関連項目[編集]