インデペンデント・スクール

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インデペンデント・スクール(Independent school)とは、私立学校の一種。運営のための財源を地方自治体に(厳密には宗教団体にも)頼らず、授業料寄付、時には寄付の投資利子で補っている。インデペンデント・スクールとは文字通りの「独立している学校」という意味である。

各地域における定義[編集]

カナダアメリカ合衆国においては、インデペンデント・スクールと私立学校はしばしば同義語として扱われて来た。しかしインデペンデント・スクール自身は単なる私立学校と称されるよりも、インデペンデントという名称を好むようになってきている。特定の宗教と関係のある学校もインデペンデントに含まれることもあるが、厳密には特定の宗教に帰属する学校は含まず、なおかつ外部のどのような団体にも金銭面で依存していない学校を指す。

イングランドウェールズ北アイルランドにおける名門インデペンデント・スクールは、メジャーあるいはマイナーな パブリックスクールを指す。インデペンデント・スクール校長会議 ( Headmasters' and Headmistresses' Conference)によって、どの学校がパブリック・スクールの名称にふさわしいかを決めるが、その中にはインデペンデントに分類されるグラマー・スクールも含まれる。

スコットランドにおいては、北米同様、国家財政に頼っていない学校はすべて私立校またはインデペンデント・スクールと呼ばれる。オーストラリアでもインデペンデントと私立は混同して用いられる。かつてはインデペンデント・スクールとは教会が運営する名門校であることが多かったが、1980年代以降は「ふつうの」オーストラリア人を対象にした授業料の安い、中には宗教団体にまったく関係のない学校も増えてきている。カトリック系の学校は、授業料が低めのことが多く、オーストラリアにおけるインデペンデント・スクールのうちでかなりの割合を占め、多種多様のインデペンデント・スクールの中でも「カトリック系」という1つの分類ができている。

独立がもたらす4つの基本的な自由[編集]

指導面や財政面において独立しているとことは、以下の4つの基本的な自由を手に入れることができる。

  1. 政府や宗教の教区や管区の影響なしに学校方針を決定できる自由。
  2. インデペンデント・スクールに在籍することは権利ではなく特権であり、学校方針で対象としている生徒のみを入学させ継続して在学(不適合者は退学)させられる自由。
  3. 一般校では教職員の学位や免状に関して政府や組合が規定するのに対し、インデペンデント・スクールは独自の条件下で優秀と認めた者を雇用できる自由。
  4. 政府や外部組織による特定の教育計画、教科書、達成を測る手段を用いる必要はなく、学校自身が最適であると考えるカリキュラムや教育計画を公的に明白にできる自由。

上記の概念に含まれる自由と責任こそがインデペンデント・スクールの最大の強みであり、教育モデルとして最も貢献できる点である。

アメリカにおけるインデペンデント・スクール[編集]

アメリカ合衆国においてインデペンデント・スクールに通う者は、全体から見れば微々たるもの(就学人口の一割が私立に通うが、そのさらに一割、つまり全就学人口の1%少し)である。

発祥[編集]

ニューハンプシャー州は名門私立大学であるダートマス大学の設立認可を取り消し、公立(州立)大学に変更しようとした。1819年、ダートマス大学評議会 対 ウッドワード(大学理事会の新秘書)裁判 ( Dartmouth College v. Woodward) において、アメリカ最高裁は「私立学校や大学の設立認可は何者にも侵されない。設立認可とは契約であり、アメリカ憲法によって守られている。州によって一方的に解消することはできない」という判決が出された。そのため、政府運営(公立)でない学校の独立と自由が保障された重要な判例となった。

その約100年後1922年11月に、反キリスト教意識が高まる中、オレゴン州の住民が、保護者は8歳から16歳の子どもを必ず公立学校に通わせなければならないという義務教育法を投票で決めた。この法案では、公立校に通わなければ軽犯罪とみなし、罰金や投獄の処罰を受けることになった。それに対し、1925年7月に再び最高裁による重要な裁判があった。特定の宗教と係わっていない私立校ヒル・ミリタリー・アカデミーは生徒減による運営危機のため、キリスト教系の私立校を運営するソサイエティー・オブ・シスターズ (Society of Sisters of the Holy Names of Jesus and Mary)はキリスト教主義学校などで子どもを学ばせる権利の侵害のため、当時のオレゴン州知事ウォルター・ピアスを訴えた。この裁判 (Pierce v. Society of Sisters) において、最高裁は「1922年の法案は保護者が子どもの教育方針と育児環境を決定する自由を侵害するものである」とした。また「州の権力によって州民の子ども達を画一化しようと公立校の教師による教育を強制的に受けさせることは、自由の基本的理論において認められない。子どもは州だけの持ち物ではない。(成長するに従って)生じてくる義務に対して子どもを準備させるという大切な任務を自覚し、先を見据えた教育指針を持ちながら子どもを育む者には(学校選択の)権利がある。」という私立校存続のキーとなる重要な判例となった。

それに加えて最高裁は、義務教育法は私立学校の運営や資産に取り返しのつかないダメージを与えたという判決を下し、同法は無効となった。ダートマス大学のケースいおいて既に私立機関の永久存続権利が確立されていたが、保護者は自身の子の教育環境を選ぶ権利があることが主張された。全員が通学すべきであるという単一教育システムを禁止されたことで、州の持つ権力は抑えられた。上記2つの判例によってアメリカ合衆国の私立校は大部分が憲法によって保護されることになった。[1]

独立の定義[編集]

アメリカ合衆国のインデペンデント・スクールが集まる非営利組織であるアメリカ・インデペンデント・スクール協会 (The National Association of Independent Schools: NAIS)に加入している学校は、共通した目的、構造、運営形態を持っている。

  • 教育目標および入学や雇用に差別をしない方針が明白に公表されている非営利の独立した組織であること。
  • 各学校で作り上げられた教育哲学と使命があり、それが学校計画の基本となっていること。
  • 永久的に自立した理事会が将来計画を立て、全体的な方針を決め、学校の運営資金を調達し(大部分は授業料と寄付による)、校長の任命と査定を行っていること。
  • 経営者側は、自分達で作り上げたカリキュラムを堂々と表現し、資格と能力がある教職員を雇用し育て、学校に最も合った層の生徒を募集することで学校の使命を自由に遂行できること。
  • 州や地方に認可された組織の認可課程(NAISが保証と承認をした認可課程)、厳格で総合的な評価システムなどに参加するなどして、(対外的に)明らかにすることができる教育機関としての継続した成長と質の向上に真剣に取り組んでいること。

脚注[編集]

  1. ^ Frederick C. Calder, Executive Director, NYSAIS. From NYSAIS BULLETIN #226, March 23, 1998.(英語版の参考文献)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]