イベリコ豚

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イベリコ豚

イベリコ豚(イベリコぶた、スペイン語:Cerdo Ibérico英語:Iberian Pig = イベリア豚の意)は、食用に飼育される豚のひとつである。

品種としては、イベリア種100%純血、もしくはイベリア種とデュロック種を交配させた豚(イベリア種50%以上)のうち、スペイン政府が認証したものをイベリコ豚と言う。

地中海地方に起源を持ち、主にイベリア半島の中央部から南部、スペイン西部からポルトガル東部にかけてみられる。黒い脚と爪をもつ傾向があることから、スペイン語では「黒い脚(pata negra)」とも表現される。「どんぐりを食べて育った豚」と紹介されることもあるが、イベリコ豚とは血統であり、ドングリを食べて育ったイベリコ豚はイベリコ・ベジョータと呼ばれる。普通の飼料を食べて育ったものはセボと呼ばれる。

概要[編集]

肉質が良く脂身はさらりとして甘味があるのが特色。脂身には餌である樫の実由来のオレイン酸を多く含む。この特色は餌や飼育法に拠るところが大きく品種的な特徴ではない。

脂肪分はいわゆる霜降り状に付いているがこの特色は飼育法と品種的な特徴の両方から成る。

以前はスペインでの豚コレラ流行の影響から日本への輸入が禁止されていたが2004年から輸入解禁となっている。

飼育法[編集]

イベリコ種でも、通常と同じく穀物主体で育てられるものもおり、セボと呼ばれる。ドングリ(日本のドングリは椎であるが、イベリコ豚が食べるのはセイヨウヒイラギ・コルクの樫の実)を食べて育ったイベリコ豚がイベリコ・ベジョータである。 イベリコ・ベジョータは特別な飼育法で育てられる。最大の特徴は放牧を行うことである。

放牧する事により筋肉に変化がおき、赤身が強く乳酸率が高くなり、熟成する事で脂肪との親和性が高くなり、結果、味わいのバランスが良くなると云われる。

哺乳期間
誕生から2か月までは母豚からの哺乳により飼育される。餌となる樫の木の実がなる時期との兼ね合いで、7・8月に生まれた豚がイベリコ・ベジョータの候補である。
予備飼育
離乳から体重が80kg前後になるまでの期間。
肥育期間
モンタネーラ(montanera)と呼ばれる放牧期間。
一般的には樫の実が着く10月から始まり、翌年2月、3月まで続く。この間、イベリコ豚は自分で樫の実(セイヨウヒイラギ樫とコルク樫)、牧草、球根植物、植物の根を食べる。放牧が適度な運動になることによって脂肪分が筋肉の筋線維、筋原線維の周辺に付き、いわゆる霜降り状になる。
この時期木の根を掘り起こさないように鼻輪をつける。こうすることで土を掘ろうとすると鼻輪がずれて痛くなるため豚は土を掘らなくなる。

[1]

ランキング[編集]

モンタネーラ後の肉質や増加体重によってイベリコ豚はランク付けされる。

デ・ベジョータ(De Bellota)
放牧期間前と比較して、50%以上の体重増があり、肉質がベジョータの基準をクリアしたもの。ベジョータとはスペイン語で「ドングリ」の意味。
デ・レセボ(De Recebo)
肉質がベジョータの基準をクリアできなかったものや、体重増が50%未満であり、モンタネーラ後も引き続き自然餌を加えた人工飼料を与え、体重を増加させたもの。レセボはスペイン語で「補充」の意味。
デ・セボ・デ・カンポ(De Cebo de Campo)
放牧など屋外飼育だが穀物飼料を餌とする。2007年11月に制定されたランク。カンポはスペイン語で「野原」や「畑」を意味する語で屋外飼育を意味する。
デ・セボ(De Cebo)
穀物飼料だけで肥育されたもの。セボとは飼料という意味。ピエンソ(pienso)とも呼ばれる。ピエンソはスペイン語で「飼料」の意味。

また他にも、純血と混血に大別される。

市場には混血が多く、生ハムにおいては75%以上のイベリコ血統で、生肉については50%以上のイベリコ血統でイベリコを名乗る事が許されている。

純血では、サンチェス・ロメロ・カルバハル社(Sánchez Romero Carvajal)の「5J」(シンコ・ホタスと読む)が有名で、5Jは歴史的に純血思想が強いスペイン王室で唯一王室御用達で知られる。

脚注[編集]

  1. ^ Lopez-Bote, C J Sustained utilization of the Iberian pig breed Available online 18 October 2003; Departamento de Produccio´n Animal, Facultad de Veterinaria, Universidad Complutense, Madrid, Spain

関連項目[編集]