イブン・アン=ナディーム

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イブン・アン=ナディーム(Abu'l-Faraj Muhammad bin Is'hāq al-Nadim)は、シーア派ムスリムの学者・伝記作家。

人物[編集]

995年ペルシア語表記: ابو الفرج محمد بن إسحاق النديم)または998年9月17日に死去。多くの学者は、彼がペルシア人だと考えているが、確証はない。「Kitāb al-Fihrist(フィフリスト、『目録の書』)」の著者として有名。

少なくとも父の代から書店を経営しており、アラビア語写本を作成して販売していた。バグダードに住んでいたが、しばしばモースルに滞在している。

フィフリスト[編集]

フィフリスト(Fehrest またはFihrist)はイスラーム以前のペルシアと古典イスラーム期のアラビア語文学に関する知識を残している点で重要な資料となっている。しかしナディームが記載しているペルシア語の著作はほとんど現存していない。著作の序文において、それはペルシア人やアラブ人やその他の人々により、アラビア語で書かれた著作の全ての索引であるとされている。フィスリストは938年に出版され、2つの写本が現存している。より完全な写本の方は10章に別れ、最初の6章は、イスラム的な主題で書籍の詳細な目録となっている。

  1. ムスリムとユダヤ、キリスト教の聖典とクルアーンとハディース
  2. 文法と文献学
  3. 歴史、伝記、地理学
  4. 詩学
  5. 弁証法的神学
  6. 法律とハディース
  7. 哲学と科学
  8. 伝説、魔術、寓話
  9. 多神教の教義(マニ教、ヒンドゥー教、仏教、中国人の宗教)
  10. 化学

※後半の4章は非宗教的な内容となっている。

ナディームは、彼が目にしたか、または信頼できる人により存在が認められている著作のみ題名を伝えている。ナディームはしばし書籍のサイズとページ数も記載しているが、このことは、短い枚数でごまかそうとする筆写者に騙されなかった、ということだと思われる。

2つ目の短い写本の方は、一つ目の写本の序文と1章目の最初の節、及び最後の4章を伝えている。

フィフリストには、プラトンアリストテレスの著作、哲学の起源、千一夜物語の起源などが記載され、言及されている人物は3500人以上で、全員が著作家であるわけではないが、約6600点の著作(題名だけのものも含めて)が言及されている[1]

出典[編集]

  1. ^ 清水和裕「イブン・ナディームの『目録』」『イスラーム書物の歴史』p84,2014,名古屋大学出版会