イヌタデ

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イヌタデ
Polygonum longisetum
Polygonum longisetum
(2006年11月、和歌山県田辺市
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: タデ科 Polygonaceae
亜科 : ミチヤナギ亜科 Polygonoideae
: Persicarieae
亜連 : Persicariinae
: イヌタデ属 Persicaria
: イヌタデ P. longiseta
学名
Persicaria longiseta
(Bruijn) Kitag.[1]
シノニム
  • Persicaria blumei (Meisn.) H.Gross
  • Polygonum blumei Meisn.
  • Polygonum caespitsum Blume var. longisetum (Bruijn) Steward
  • Polygonum longisetum Bruijn
英名
Creeping Smartweed

イヌタデ(犬蓼、学名: Persicaria longiseta)は、タデ科イヌタデ属一年草道端に普通に見られる雑草である。

和名ヤナギタデに対し、辛味がなくて役に立たないという意味で「イヌタデ」と名付けられた[2]。赤い小さな果実赤飯に見立て、別名アカノマンマともよばれる[3]

形態・生態[編集]

アジアの温帯から熱帯に分布し、日本では北海道から、本州四国九州沖縄に分布する[3]。野原や道端、畑などにふつうに生える[2][3]

の基部は横に這い、まっすぐか斜めに傾いて伸び、多く枝分かれして草むらのようになって小さな集団を作る。茎の先はやや立ち、高さは20 - 40cm。茎は円柱形で柔らかくなめらかで、ふつう紅紫色を帯びる[3]

葉は互生で、披針形(ひしんけい)で葉の両端がとがり、葉先に向かってだんだん細くなる。葉縁や裏側の葉脈上に毛が生える[3]。葉がつく茎の周囲には、長さ約8mmの筒状のさやである托葉梢(たくようしょう)があり、さやの縁に緑毛が生える[2]。同じ科のオオイヌタデには葉の根元のさやに毛が生えておらず、見分けることができる[3]

からまでの4月 - 11月にかけて、茎の先端から長さ1 - 5cmの花穂を出し、紅紫色をした小さな花を密につけ、まれに白い花が見られることもある[2][3]。紅紫色の萼片は深く4または5裂し、裂片は倒卵形をしており、花弁はない[2][3]雄しべは8本、花柱は3本ある[3]

花よりも、その後に見られる真っ赤な果実が目立つ。果実は三角状の痩果(そうか)で[3]、果実そのものは卵形で暗褐色をしているが、その外側に赤いをかぶっているので、このように見えるものである[2]

人間との関わり[編集]

雑草ではあるが、非常に美しく、画材などとして使われることもある。赤飯を想起させる薄紅色の花「アカノマンマ」は俳句では季語

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 内藤俊彦『秋の花』北隆館〈フィールド検索図鑑〉、1995年9月1日、203頁。ISBN 4-8326-0371-X 
  • 平野隆久写真『野に咲く花 : 写真検索』林弥栄監修、門田裕一改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、262頁。ISBN 978-4-635-07019-5 
  • 山田孝彦、山津京子『万葉歌とめぐる野歩き植物ガイド』(初版)太郎次郎社エディタス、2013年8月15日、95頁。ISBN 978-4-8118-0762-1 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]