イップ・マン 葉問

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イップ・マン 葉問
タイトル表記
繁体字 葉問2(宗師傳奇)
簡体字 叶问2(宗师传奇)
ピン音 Yè Wèn Ěr: Zōng Shī Chuán Qí
(イェーウェンアー)
英題 Ip Man II
各種情報
監督 ウィルソン・イップ
脚本 エドモンド・ウォン
製作 レイモンド・ウォン
製作総指揮 鄭強輝
出演者 ドニー・イェン
サモ・ハン・キンポー
ホァン・シャオミン
音楽 川井憲次
撮影 プーン・ハンサン
編集 張嘉輝
アクション指導 サモ・ハン・キンポー
美術 麥国強
製作会社 東方電影發行有限公司
配給 フェイス・トゥ・フェイス/リベロ
公開 香港の旗中華人民共和国の旗 2010年4月29日
日本の旗 2011年1月22日
上映時間 109分
製作国 香港の旗 香港
中華人民共和国の旗 中国
言語 広東語
北京語
前作 イップ・マン 序章
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イップ・マン 葉問』(イップ・マン ようもん、原題:葉問2 宗師傳奇、英題:Ip Man 2 )は、2010年に制作された香港映画ウィルソン・イップ監督、主演はドニー・イェンサモ・ハン・キンポーホァン・シャオミンリン・ホンなど。前作『イップ・マン 序章』のヒットを受けて制作された、実在の武術家・葉問(イップ・マン)中国語版を主人公とするカンフー映画。日本での公開は2011年1月22日

2010年、2か月後に香港で公開された『イップ・マン 誕生』や2013年の『イップ・マン 最終章』は同じ葉問という人物を主人公としているが、主演、制作会社、監督の違うまったくの別作品であり『イップ・マン 序章』ならびに本作の続編シリーズではない。

ストーリー[編集]

1949年、終戦直後の中国。詠春拳の使い手である武術家のイップ・マン(ドニー・イェン)は香港に妊娠した妻と子と共に移住。知り合いである新聞社の編集長のつてを頼って物件を借入、武館を開く。当初は門下生が集まらず、妻が働きに出て家計を支えていたが、ある日、イップの元にウォン(ホァン・シャオミン)という青年が現れ、イップに勝負を挑んできた。イップはウォンを圧倒し、それにより、ウォンはイップの強さに惚れ込み、自分の仲間らと共にイップの弟子となる。こうしてウォンらの協力を経てイップの武館に通う門下生は徐々に増えていった。

ある日、ウォンは町で洪拳の門下生と悶着を起こし、拉致されてしまう。イップは単身、ウォンが拉致された洪拳の門下生らが働く魚市場に乗り込み、襲い来る市場の人間らを相手にしながらウォンを助けだすが、そこに魚市場の経営者であり、洪拳の師範でもあるホン(サモ・ハン・キンポー)が現れる。香港に存在する様々な門派の武館の元締めであるホンからイップは香港で武館を持つための掟として、自分たちに認められる腕を持つかどうかの試験を受けることになる。それは不安定な机の上で各門派の師範からの挑戦を受け、1対1で戦い、勝利するというもので後日、イップは中華料理店にてその試験を受ける。

対戦に名乗りを上げた猴拳八卦掌の2人の師範を次々と倒したイップに対し、他の門派の師範がしり込みする中、長であるホンが立ち上がる。死闘の末、引き分けとなり、ホンは会費を納めることを条件に武館を開くことを認めるが会費が私腹を肥やすためと判断したイップはそれを拒否する。

会費を納めることを拒否された上、ちょうどその対決を通りがかった新聞社の社員が後に「勝負がつかなかった」と記事にしたことで面子を潰されたホンは自分の弟子らがイップの弟子へ行う挑発行為を黙認し、結果、挑発に乗ってしまったウォンらが乱闘騒ぎを起こしたことでイップは武館の閉鎖に追い込まれてしまう。

イップはホンの武館に赴き、弟子の行為と金銭の徴収に拘るホンを非難するが、香港を統治するイギリスの警察組織に賄賂を贈ることで香港武術界の安泰を図るホンの考えは変わらず、中華料理店で付かなかった決着をつけようとする。そこでホンは急に道場に入ってきた自分の息子を誤って蹴りかけてしまうがイップによって救われる。

武館を閉鎖にもめげずに公園や自宅を利用して門下生らと修業を続けていたイップの前にある日ホンが現れ、息子を助けてくれた礼として自身が運営にかかわっているボクシング大会のチケットを差し出す。イップとウォンら門下生らは大会へ赴くが、そこで選手として出場するイギリス人ボクサー『ザ・ツイスター』(ダーレン・シャラヴィ) が前座としてリングで演武を披露していたホンの門下生らを挑発した挙句侮辱。結果、乱闘騒ぎになり、ホンの門下生やウォンらが負傷する。イップとホンの介入で乱闘は治まったが、ツイスターらのあまりの横暴な振る舞いにホンの怒りが爆発。ホンは謝罪を要求するがツイスターは「自分と勝負して倒すことができたら謝罪をする」と言いだす。ホンは香港武術界を侮辱されたままで引き下がれず、勝負を許諾。急遽リング上にて洪拳の師範、ホンとイギリス人ボクサー『ザ・ツイスター』との異種格闘技戦が執り行われることとなる。

当初は巧みな技でツイスターと互角の戦いを展開するも、ツイスターのタフネスと強打の前に徐々に劣勢を強いられるホン。イップは試合を中断させようとするがホンは強い意志でそれを拒否。ついにはホンは強打を連続で頭部に受け、敗北。死亡してしまう。

香港の新聞社はこの出来事を大きく報道。市民らの反英感情が高まる中、イギリス側は正式な異種格闘技戦を行うことで中国と自分たちの面子を保とうとする。挑戦者を募る会見にてツイスターは不遜な態度を取るが、そこにイップが現れ、ツイスターに試合を申し込む。こうして香港市民らが見守る中、詠春拳のイップとイギリス人ボクサーのツイスターとの死闘の火蓋が切られようとしていた……。

出演[編集]

役名 俳優 日本語吹替
イップ・マン(葉問 ドニー・イェン 大塚芳忠
ホン(洪震南) サモ・ハン・キンポー 水島裕
ウォン・レオン(黄樑) ホァン・シャオミン 三木眞一郎
ウィンシン(張永成) リン・ホン 恒松あゆみ
カム・サンチャウ(金山找) ルイス・ファン 志村知幸
ツイスター ダーレン・シャラヴィ 船木真人
刑事(肥波) ケント・チェン 島香裕
チョウ・チンチュン(周清泉) サイモン・ヤム 牛山茂
コンユウ(周光耀) 鄭家星
ワイケイ(鄭偉基) デニス・トー 高橋英則
チュン(葉準) 李澤
リョン(梁根) 敖嘉年 田中允貴
徐世昌 釋小龍
ロー師匠(羅師傅) ロー・マン
チェン師匠(鄭師傅) フォン・ハックオン
キックボクシングの司会 ブライアン・トーマス・バレル
ウォーレス署長 チャールズ・マイヤー 宗矢樹頼
ブルース・リー(子供の時代) 蒋岱言

スタッフ[編集]

プロダクションノート[編集]

  • イップ・マンが円卓で戦う相手として、猴拳(こうけん、猿拳ともいう)のロー師匠にロー・マン、八卦掌(はっけしょう)のチェン師匠にフォン・ハックオンという、オールド功夫映画ファンにとってはお馴染みの俳優が演じた。
  • その2人の後、ドニー・イェンとサモ・ハンが戦う2分20秒ほどのテーブルのシーンには、のべ8日間を費やした[1]
  • ツイスター役のダーレン・シャラヴィは、1990年代半ばに香港に渡りウー・ジン主演の『太極神拳』をはじめ、香港やアメリカの映画テレビに数多く出演しているイギリス人アクション俳優。少年時代にブルース・リーの『燃えよドラゴン』に魅了された一人でリーと戦ったサモ・ハン・キンポーのファンであり、また1991年ロンドンでプロモーションを兼ねて開かれた「ドニー・イェン アクションセミナー」に、17歳のドニーファンとして参加もしている。それから長い時を経て同じ映画で2人と戦った彼は「夢が叶った」とインタビューで語っている[2]
  • 劇中、一番弟子のレオンにイップ・マンが「誰も常に一番でいることは出来ない」と語る言葉はドニー・イェン自身が考えた。[3]
  • アクション監督であり今作では出演もしたサモ・ハン・キンポーは、クランクイン直前に心臓の緊急手術を受けている[4]。しかしそれをものともせず撮影に参加した。ツイスターとの対決シーンでは、シャラヴィのパンチをまともにくらいその場で気絶。イップ監督がすぐに病院に行くように指示をしたが「ちょっと休めば大丈夫」と撮影を続行。撮影の終わった5時間後に病院でようやく治療を受け四針を縫った。彼はアクシデントに怒るどころかミスしてしまったシャラビィを気遣い、そのプロ意識の高さと度量の広さには誰もがあらためて感服したという[5]
  • 過去映画で様々なスタイルのアクションを演じてきたドニー・イェン。彼は必要に応じ功夫を使い分けているという。イップ・マンを演じた時は詠春拳に専念したが、劇中の詠春拳を正統でないという意見に対しては「あくまでもドニー・イェンスタイルの詠春拳」と答えている[1]
  • ストーリーの終盤、試合後のイップ・マンがマイクで観客に語る台詞について監督ウィルソン・イップは、「これは外国人ではなく中国の若い人達に向けたもの。何故中国人は互いを尊重できないのか?受け止め方は観客それぞれだが、私にとっては言うべきことだった」と話している[6]
  • 俳優、映画、テレビ番組、ビデオゲームに関する情報を集めたオンラインデータベースのIMDb(Internet Movie Database)における「2010年度ユーザーが評価した映画Top 25(Top 25 User-Rated Movies of 2010)」では12位に選出された[7]
  • 過去何度も制作についての噂が取り沙汰されていた続編『葉問3(原題)』であるが、ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演で3Dとして撮影されることが2014年3月正式に発表された。前2作のサモ・ハンに代わり、この続編ではユエン・ウーピンがアクション監督を務める[8]

サウンドトラック[編集]

収録曲:

  1. 聚、散
  2. 当下
  3. 師徒
  4. 無明
  5. 講手
  6. 營救
  7. 泰然
  8. 以武会友
  9. 高下立見
  10. 不相上下
  11. 止戈為武
  12. 目空一切
  13. 正義
  14. 仁義
  15. 前夕
  16. 戦場
  17. 同心
  18. 回家
  19. 葉問

主な受賞[編集]

第47回金馬奨(2010年)

脚注[編集]

  1. ^ a b “世界最強”香港アクションスター:ドニー・イェン独占インタビュー”. 共同通信PRワイヤー. 2014年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月7日閲覧。
  2. ^ Darren Shahlavi interviewed: Ip Man 2 – a dream come true!”. EASTERNKICKS.COM. 2014年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月24日閲覧。
  3. ^ <엽문2> 견자단 “전편을 뛰어넘었다고 자신한다””. maxmovie.com. 2014年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月18日閲覧。
  4. ^ 洪金寶過胖導致心臟病 緊急入院動手術”. 今日傳媒. 2014年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年8月12日閲覧。
  5. ^ 洪金寶拍《葉問2》中拳暈倒 拒絶就醫堅持開工”. 北京新浪網. 2014年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月4日閲覧。
  6. ^ 叶伟信 50岁的“少壮派””. 新浪尚品. 2014年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月14日閲覧。
  7. ^ Top 25 User-Rated Movies of 2010”. imdb.com. 2014年7月17日閲覧。
  8. ^ 製作費無上限拍3D《葉問3》 甄子丹自謙收三千萬Yen做片酬”. 香港文匯報. 2014年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月26日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]