イタリアの医療

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OECD各国の一人あたり保健支出(青は公的、赤は私的)

イタリア医療(Healthcare in Italy)では、単一支払者制度(国民保健サービス)によるユニバーサルヘルスケアが実現されている。イタリア医療制度は2000年のWHO調査において、フランスに次いで世界第2位と評された。

CIA World factbookによればイタリア人の平均寿命は世界で10位以内とされ、2004年には80.9歳で、これはOECD平均を2歳上回る[1]。イタリアの一人あたり医療費は2006年で2600ドルほどで、GDPの9.0%を占め、公費負担率は75%ほどである[2]

歴史[編集]

イタリアのSSNカード

第二次大戦後のイタリアでは社会保障制度の再構築がなされ、それは傷病基金(健保組合)による社会保険システムが採用されていた。

しかし保険制度は1970年代には平等性問題に直面し、傷病基金によって傷病カバー範囲が異なること、また人口の7%が保険未加入という事態となった。さらに1970年半ばには、傷病基金はほぼ破産状態となった[3]。民衆の既存医療制度への不満は日に日に積もり、イタリアの政治家らは構造改革を迫られることになった。

そのため政府は1978年にSSN(Servizio Sanitario Nazionale、国民保健サービス)法を制定し、イタリア版国民保健サービスモデルを採用し、税金を原資とする単一支払者制度制度に移行した[4][3]

国民保健サービス[編集]

SSNの財政 [5]
財源 ユーロ
IIRAP(州生産活動税)
/IRPEF(州個人所得税)
399
付加価値税 530
中央政府からの移転 40
その他 158
1,126

イタリアの医療は公営・私営の混合制度である[3]。 公的医療は国民保健サービス(Servizio Sanitario Nazionale、通称SSN)によって提供され、保健省と地方自治体が所管し、すべての市民および滞在者に提供されている[5]。財源はすべて税で賄われる[5]

公的医療は家庭医(GP)制度でありSSNにより割り当てられ、医師一人あたり最大1500人の患者を受け持ち、医師は週に少なくとも5日は診療を行う。医師費用は全額SSNより支払われる。担当医師が不満なときは受け持ち数が空いている医師に無料で変更できる。

処方薬は医師が必要とした場合のみ処方される。GPによる処方の場合、その多くは一部時補助金が受けられ、自己負担額は薬の種類と患者の所得によって変わる(多くの自治体では貧困者には無料)。OTC薬は全額が自己負担となる。処方薬もOTC薬も、専門店(farmacia)でしか購入することはできない。イタリア医療私費負担のうち36%が薬剤費である(1982年)[3]

専門医療や健康診断は、公的病院や民間施設が提供しており、GPの指示によるものであれば一部負担で済み(GP受診なき健康診断は$40)、貧困者は無料である。待ち時間は大規模公的病院では大抵数か月以上であり、民間施設の場合は数週間以上となる。ここで患者は自由診療を選択することもでき、公的病院と民間病院の両方で行っており、支払いは全額自己負担となる。待ち時間はこのほうが少ない。

外科手術と入院医療については、公的病院でも民間施設でも収入に関わらず誰もが無料となる。しかし外科手術の待ち時間は、とくに大都市では数か月以上となることが多い。

救急医療[編集]

イタリアの救急搬送サービスは、慈善団体および民間企業によって提供されており、医師・看護師が二次救命処置を施す。 救急電話番号は118である。ファーストエイドはすべての公的病院で受けられる。緊急性のある医療については誰もが無料となるが、緊急性がない場合自己負担が生じる($35ほど)。

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]