イスラームと女性

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イスラームと女性(いすらーむとじょせい)とはイスラームの勃興当時から現代に至るまで論争となっているテーマである。


イスラームの誕生と女性[編集]

イスラームの誕生が女性の地位を向上させたかどうかについては否定的な意見と肯定的な意見がある。コーランには女子嬰児殺しを禁ずるなど女性と男性の間の完全な平等を説く文言が数多くあり、とりわけ初期から中期の啓示にそのようなものが多いとされる。しかし同時にコーランやハディースにはムハンマドの支配下でムスリム共同体が国家化していくにつれ女性の権利が制限されていく様子をうかがわせる逸話や、女性を男性より本質的に劣ったものとする啓示[1]も載っている。



現代イスラームと女性[編集]

現代のイスラーム社会でも、名誉の殺人女子割礼などの女性を差別する慣習がイスラームの名の下に行われている。サウジアラビアでは女性の行動は著しく制限されており、女性は自動車を運転することも許されていない。イランではヒジャブを強制されており、性的自由もきわめてきびしく制限されているが、女性の社会進出は進んでいる。

一方でイスラームの教えを女性差別を撤廃する方向に変えていこうという運動も盛んであり、一夫多妻制の制限や家庭内暴力の禁止、女性から離婚することを容易にする法改正などが先進的諸国では進められている。トルコでは女性の社会進出も盛んであり、政府の最上層部にも女性が存在している。パキスタンなどのイスラーム国家でも、ベーナズィール・ブットーなどの女性首相が誕生している。ただし、このような改革に反発する保守勢力が強く、なかなか改革が進まない国も多い。

女性との接触制限[編集]

イスラームでは原則として女性は親族男性以外に触れられてはならないとする規定を持つ地域が多く、これによって様々な問題が生じている。医療問題は特に深刻であり、男性医師が女性患者を診察することが制限される、極端な地域では医療行為そのものが出来ない場合もあり、女性の高等教育や就労が制限されている地域では女性医師が少ないために女性が医療を受けられない場合もある。

全く医療が行えないのは非現実的なので、医師に限って条件付きで診療行為を認めている場合が多いが、触れてはならないとする規定を厳守するあまり、大半の女性患者に対して問診のみで薬を処方するなどの低レベル医療しか行われない場合もある。このため、女性が医療難民となって外国に医療を求めて行く場合もある。親族以外の男性は絶対に触れてはならいと規定しているサウジアラビアの場合は女性の医療は女性医師が行うと法律で規定されている。このため、女性の就労制限が極めて厳しいサウジアラビアで医療従事者は女性が就労できる数少ない職業の一つとなっている。

あまり人命に関わるほどの深刻な問題ではない場合でも様々な問題があり、女性向けの美容院などで男性が働くことを禁止している場合もある。 また、女性側が男性と近づくのを忌避して男性のいるところへ来ない場合もある。

参照[編集]

  1. ^ コーラン第4章34節に書かれた『アッラーはもともと男と(女)の間には優劣をおつけになったのだし、また(生活に必要な)金は男が出すのだから、この点で男の方が女の上に立つべきもの。だから貞淑な女は(男にたいして)ひたすら従順に、またアッラーが大切に守って下さる(夫婦間の)秘めごとを他人に知られぬようそっと守ることが肝要。反抗的になりそうな心配のある女はよく諭し、(それでも駄目なら)寝床に追いやって(懲らしめ)、それも効がない場合は打擲(ちょうちゃく)を加えるもよい。だが、それで言うこときくなら、それ以上のことをしようとしてはならぬ。アッラーはいと高く、いとも偉大におわします。』という文言など

関連項目[編集]