イコノロジー

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イコノロジー(iconology)は美術史家エルヴィン・パノフスキーが提唱した概念。図像解釈学と訳される。絵画などに表された事物の意味であるイコノグラフィー(図像学)よりも深く、作品の奥底にある歴史意識、精神、文化などを研究しようとする学問である。

図像学では美術表現の表す意味やその由来を研究する。例えば、百合は純潔を、犬が忠誠を表すといった類い。(後述)

パノフスキーはルネサンス美術の研究において、ネオプラトニズムの思想を指摘するなど、作品の背後にある歴史的意識の変遷を読み解く手法を示した。

パノフスキーによれば、美術作品を把握する場合、次の3つのレベルがある。(『イコノロジー研究』)

  1. 第一段階的・自然的主題 primary or natural subject matter
    事物及び表現。描かれた対象や色彩など、目に見えるもののレベル。(例)母親らしき女性と子供を描いた絵であることや、穏やかな表現であるといった認識。
  2. 第二段階的・伝習的主題 secondary or conventional subject matter
    絵画作品の表すイメージや物語、寓意のレベル。パノフスキーによれば、このレベルが図像学の範疇になる。(例)聖母子を表していることの理解(キリスト教美術の知識がない者には、それが聖母子を表していることは全く理解不能である)。
  3. 「内的意味・内容」intrinsic meaning or content
    作品の奥底にある歴史意識、精神、文化などのレベル。(例)中世とルネサンスの聖母子像を比較し、背後にある宗教観、世界観の変遷を跡付けること。

作品を「内的意味・内容」から把握することがイコノロジーの最終的な目標である。

[編集] 評価

近年ではその方法論に潜むロゴス中心主義に対して懐疑の眼が向けられている(例えば岡田温司ディディ=ユベルマン稲賀繁美)などにより)。西欧では、マックス・イムダールの「イコニーク」(三木順子『形象という経験―絵画・意味・解釈』を参照)、あるいはオスカー・ベッチュマンの「美術史的解釈学」(奥津聖)などの方法論が提出されている。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • イコノロジー研究 - ルネサンス美術における人文主義の諸テーマ(パノフスキー、ちくま学芸文庫)
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