アーテミシニン

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アーテミシニン
IUPAC命名法による物質名
(3R,5aS,6R,8aS,9R,12S,12aR)-
octahydro-3,6,9-trimethyl-3,12-
epoxy-12H-pyrano[4,3-j]-
1,2-benzodioxepin-10(3H)-one
臨床データ
胎児危険度分類  ?
法的規制  ?
投与方法 Oral
識別
CAS登録番号 63968-64-9
ATCコード P01BE01
PubChem CID 68827
ChemSpider 62060
KEGG D02481
別名 Artemisinine, Qinghaosu
化学的データ
化学式 C15H22O5 
分子量 282.332 g/mol
物理的データ
密度 1.24 ± 0.1 g/cm3
融点 152–157 °C (306–315 °F)

アーテミシニン(artemisinin、アルテミシニンとも)は抗マラリア活性を有するセスキテルペンラクトンのひとつで、多薬剤耐性をもつ熱帯熱マラリアにも効果的である。古くから漢方薬として利用されていたヨモギ属植物であるクソニンジン (Artemisia annua) から分離・命名された。この植物の中国名由来から、チンハオス(青蒿素)ともよばれる。この種の植物のすべての個体がアーテミシニンを含有するわけではなく、特定の条件下においてのみ生成される。

天然由来としては珍しいペルオキシド化合物である。

歴史[編集]

ヨモギ属植物は、漢方薬として、千年以上前から皮膚病やマラリアなどさまざまな病気の治療に用いられてきた。1960年代に中国軍によりマラリア治療薬の調査がおこなわれ、1972年にクソニンジンの葉からアーテミシニンが発見された。この物質は中国語でチンハオスと名づけられた。マラリアの治療に用いられる200種類以上の漢方薬が試験され、これが唯一マラリアに効果的な物質であった。

中国の医学雑誌に実験結果が報告されるまでの約10年間は、アーテミシニンが世界的に広く知られることはなかった。かつて、中国人によってマラリアの治療に関する非現実的な報告がなされたこともあり、この報告は、最初は懐疑的な目で見られていた。さらに、アーテミシニン、特にその過酸化物の化学構造はきわめて不安定であり、治療薬としての実用化はきわめて困難であった。

長年の間、精製された薬剤と、抽出のもととなった植物は、中国政府によってアクセスが制限されていた。しかし、実際には、クソニンジンはアメリカ合衆国ワシントンD.C.ポトマック川なども含め、世界中のいたるところに生育している植物である。

アーテミシニン自体の効用性には限界があるため、アーテメターやアーテスネートといった半合成の薬剤が開発された。しかしながら、これらの薬剤には薬効の持続時間が短いという欠点があり、熱帯熱マラリアの治療においては、ルメファントリンと併用して用いられる。ルメファントリンは3日から6日の半減期を持つ。このように、アーテミシニンと他の抗マラリア剤を併用するマラリアの治療法は、ACT (artemisinin-based combination therapy) とよばれる。他にはアーテスネートとメフロキン、アーテメターとルメファントリンを併用する方法などがある。

近年では、誘導体のアーテスネートをサリドマイドなどと併用してがん治療を試みる研究も行われている[1]

類縁体[編集]

多数のアーテミシニンの誘導体や類縁体がアーテミシニン系抗マラリア剤として開発されている:

  • アーテスネート (en)(水溶性)
  • アーテメター (en)(脂溶性)
  • アーテエーター (en)
  • ジヒドロアーテミシニン (en)
  • アルテリン酸 (en)
  • アルテニモール (en)
  • アルテモチル (en)

脚注[編集]