アンカリング

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アンカリング: Anchoring)とは、認知バイアスの一種であり、判断する際に特定の特徴や情報の断片をあまりにも重視する傾向を意味する。係留または: Focalism(焦点化)とも。

個人の通常の意思決定においては、まず特定の情報や値に過度に注目し、その後状況における他の要素を考慮して調整する。一般にこのような意思決定には、最初に注目した値についてのバイアスが存在する。

例えば、中古車を買おうと探している人がいるとする。彼は走行距離と年式に注目し、それを中古車選びの判断基準にしていて、エンジンやトランスミッションの保守状況の良否をあまり考慮しない。これがアンカリングである。

係留と調整のヒューリスティック[編集]

係留と調整は、心理学的ヒューリスティックであり、人々が直観的に可能性を評価する方法に影響を与える。このヒューリスティックによれば、暗黙のうちに示唆された参照点を出発点とし、それに調整を加えて何らかの推定に至る。

係留と調整のヒューリスティックを最初に理論化したのは、エイモス・トベルスキーダニエル・カーネマンである。彼らの初期の研究によれば、アフリカの国々が国連メンバーとなっている割合を訊ねられた人々について、最初に「45%より上か下か?」と訊かれた人々は最初に「65%より上か下か?」と訊かれた人々よりも小さい値を答える傾向があることが示された。このパターンは他の様々な推定についての実験でも同様であった。別の研究者は、係留と調整は適正価格の認知のような他の種類の推定に影響を与えると示唆した。

この発見は、交渉において最初に極端な立場を取るべきだということを示唆しているとする専門家もいる。

別の例として、マサチューセッツ工科大学の教授 Dan Ariely が提案したものがある。聴衆に彼らの社会保障番号の最後の2桁をまず書いてもらい、次にワインやチョコレートなどの品物に擬似的に入札してもらう。最初に書いた数字が大きい人々は、高い値段で入札する傾向がある。最初に数字を強く考えた単純な行為が、論理的には何の関係もない次の行為に影響を与える[1]

脚注[編集]

  1. ^ Edward Teach, "Avoiding Decision Traps," CFO (1 June 2004). Retrieved 29 May 2007.

参考文献[編集]