アルトネリコ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『アルトネリコ』(Ar tonelico)は、コンピュータゲーム、アニメ、漫画などにて展開されるメディアミックス作品である。原作メーカーはガストおよびバンプレスト(現バンダイナムコゲームス)。主題歌は志方あきこが担当する。
コンピュータゲームはシリーズとして第2作まで発売されている。
- シリーズ第1作および関連作品は『アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女』を参照のこと。
- シリーズ第2作および関連作品は『アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩』を参照のこと。
本項では、主にアルトネリコシリーズ全体の概要と、シリーズ共通となっている世界観について記述する。
目次 |
[編集] 概要
アルトネリコシリーズは、不思議な能力を持つ種族「レーヴァテイル」を巡る冒険を描くSFファンタジー。『アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女』では巨大な塔「アル・トネリコ」のそびえたつ世界「ソル・シエール」が、『アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩』では狭い塔の上にある世界「メタ・ファルス」が舞台である。
第1作のゲームの舞台ソルシエールは本シリーズのディレクターである土屋暁が大学時代に作ったテーブルトークRPG用の世界設定が原型となっており、シュレリアなどの登場人物の一部はその頃から存在しているとされる。元々、アルトネリコ第一作の開発は2000年にプレイステーション2用RPGとして企画が立ち上がったが、「魔法のベルを調合して魔法効果を生み出す」という自由度が高くまた煩雑で難易度の高い内容だった事もあって開発が中断、後にバンプレストとの共同企画として再スタートした際、上記の魔法のベル調合を「レシピ」の導入で簡略化した「グラスメルク」や「レーヴァテイル」「コスモスフィア」「ヒュムノス」といった本シリーズの特徴となる設定を加えることで、2006年の1月に発売された。
[編集] システム
アルトネリコシリーズ独自の詩魔法による戦闘システムが導入されており、作中でもレーヴァテイルが詩う「ヒュムノス」がテーマソングとして流れるなど、「詩(うた)」が重視されている。
また、ガストのアトリエシリーズにある「錬金術」と似たシステムが「グラスメルク」や「調合」という形で存在し、様々なアイテムをプレイヤーが作り出すことができる。
[編集] ムスメ調合RPG
メーカーにより定義されたジャンルは「ムスメ調合RPG」で、「ムスメ調合」は「ムスメ」であるレーヴァテイルの心の世界「コスモスフィア(精神世界)」に潜り込んだり、コスモスフィアで獲得した天使、巫女や魔女など様々なコスチュームをレーヴァテイルに着せることができることなどを表している。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。 →[記述をスキップ]
[編集] 世界観
第1作と第2作では物語の舞台や登場人物は異なるが、基本的な世界観は共通のものとなっている。
[編集] アルシエル
シリーズの舞台となる惑星。アルシエル(Ar ciel)とはヒュムノス語で『唯一の世界』を表す。 ちなみに、ヒュムノス語の中央正純律においてソル・シエールを表す際にも『Ar ciel』と表現する。 この惑星の持つ重力は地球のおよそ0.9倍である。 過去に発生した『グラスノインフェリア』と呼ばれる大災害の結果、空は『ブラストライン』と呼ばれるプラズマが充満した空域で覆われ、また大地は粉砕されて『死の雲海』と呼ばれる分厚い雲の層が広がり、生き残った人々は『塔』と呼ばれる巨大建造物とその周辺でのみ、かろうじて生存できる状態にある。 また、アルシエルは『チェロ月』『ヴィオラ月』という二つの衛星を持つ。 『チェロ月』は大きく赤紫色で、『ヴィオラ月』は小さく金色の月である。 ソル・シエールにおいては、これらの月は毎晩交互に昇る(アルシエルの他の地域でも同様かは不明)。
なお、『アルシエル』の名前が判明するのはゲーム第2作であるが、第2作発売以前に「さぽている」内において『アルシエル球』というアイテムが登場している。これはアルシエルの『地球儀』であり、いわば『アルシエル球儀』である。
[編集] アルトネリコ
シリーズの各作品の舞台となる巨大な建造物(塔)。大地がまだ存在した時代に建てられた音科学に基づいた音の力を増幅し人々に提供する「増幅塔」である。現在では失われたロストテクノロジーが数多く使われており、レーヴァテイル達の詩魔法の力の源である「詩サーバー」として機能している。人々はそれぞれの塔の上及び周辺で何とか生活をしている。アルトネリコは3つ存在し、それぞれ1人の「レーヴァテイル・オリジン」によって管理されている。グラスノインフェリア以降、それぞれの塔は他と隔絶した閉鎖世界を形成している。そのうちエオリアによって管理されている塔の近辺の世界を「ソル・シエール」と呼び、フレリアによって管理されている塔の近辺の世界を「メタ・ファルス」と呼ぶ。尚、アルトネリコのうちフレリアの管理するフレリア塔については未完成であり、詩サーバーとしての機能等は存在せず、その地のレーヴァテイルの内、I.P.D以外のレーヴァテイルは、中継衛星としてのソルマルタを経由し、ソル・シエールにあるエオリアの第一塔に依存する形となっている。
[編集] レーヴァテイル
シリーズに共通して登場する、音を力に変える能力を持つ稀少種族。過去に人造的に生み出された種族であるが、見た目は人間と全く変わらず、実際に人間との混血も可能。Y染色体がレーヴァテイル因子の発現を阻害するため基本的には女性しか存在せず、身体の表面には種族の証として、「インストールポイント」と呼ばれる紋章が刻まれている。詩魔法(うたまほう)と呼ばれる神秘の力を操り、「世界と語る」ことができる。全てのレーヴァテイルは、深層意識の中で力の源の「詩魔法サーバー」である「アルトネリコ」と呼ばれる塔(もしくは「インフェル・ピラ」)と繋がっている。
レーヴァテイルは、特別なレーヴァテイルであるレーヴァテイル・オリジン、純粋なレーヴァテイルである「β純血種(ベータじゅんけっしゅ)」、及び人間との混血である「第三世代」の3つに大別される。
[編集] レーヴァテイル・オリジン
塔の管理者として作られた特別なレーヴァテイル。作成された順番に、「エオリア」「フレリア」「ティリア」の3人が存在する。その目的に沿うように遺伝子(明確には不明)を調整された完全な人工生命体として生み出されたため、人間のような両親は存在しない。18歳程度で成長が止まるように遺伝子がプログラムされているため、それ以上の老化が進むことはなく、また生命維持が塔によって行われているため、塔が崩壊しない限りは永遠に生き続ける(現行最高齢は「エオリア」であり、その年齢は739歳[1](+2歳)[2])。レーヴァテイルとしての能力は非常に高い。また後述のコスモスフィアの概念が発明される前に生み出されたため、β純血種や第三世代と違って、精神世界にコスモスフィアを持たない。インストールポイントは3体共通で腰にある。尚、ゲーム中度々話しに出てくる『エル・エレミア三謳神』とは、彼女たちレーヴァテイル・オリジンの事である。
[編集] β純血種
レーヴァテイル・オリジンのクローン体。不老ではあるもののオリジンのように不死ではなく、およそ150年ほどの寿命を持つ[3]。但しオリジンと同様に、約18歳で成長が止まるように遺伝子がプログラムされているため、それ以上の老化が進むことはなく、死ぬまでほとんど同じ姿を保ち続ける。β純血種であるミュールは作られてから400年近く経過した今も生存しているが、彼女の肉体は生まれてから30年ほどで封印されているため、β純血種の寿命を超えて生き続けているとは必ずしもいえない。ソル・シエール世界で現存するβ純血種は、彌紗と封印されているミュール、そしてプラティナにいるごく少数のβ純血種だけである[4]。メタ・ファルス世界においては、エオリアと違いフレリアがその技術を伝えなかったため幻の存在とされており、現在の第三世代は第一期及び第二期にソル・シエールから移り住んだβ純血種達の子孫にあたる。
[編集] 第三世代
人間とレーヴァテイルの混血の女性の中で、人間として生まれた後にレーヴァテイルの能力が発症した者。一般的に、その能力は「β純血種」に劣り、個体差も大きく、ソル・シエールにおいては六角版試験でその資質によってA~Dのランクで分類される。またレーヴァテイル・オリジンやβ純血種と異なり、人間と同様に成長し老化する。レーヴァテイル質が発症するとそのレーヴァテイル質が人間としての生命力を奪うようになり、寿命が極端に短くなるので、延命のために「ダイキリティ」と呼ばれる延命剤を定期的に摂取する必要がある。「ダイキリティ」を全く摂取しなかった場合、最長でも20年程度しか生きることができない[3]。
[編集] 延命剤
レーヴァテイルは中核三角環の紡ぐ詩である導体D波によって肉体を構成しているが、オリジンやβ純血種と異なり、第三世代は中核三角環を持たないため、NEE(レーヴァテイル生命維持機構)が人間としての生命力である定常H波を魔力である導体D波に変換して中核三角環の紡ぐ詩の代用としてしまう為、第三世代は極めて短命となるが、特性のない定常H波の塊である延命剤を投与することで、NEEが生命力を奪う事を避けて延命剤から優先的に定常H波を補充させる事で、通常の人間並みの寿命を保つことが可能となる。尚、延命剤には軽延命剤『トランキリティ』と重延命剤『ダイキリティ』の2種が存在し、一般に延命剤という場合は後者の『ダイキリティ』を指す。ソル・シエール世界(プラティナ及びイムフェーナを除く)では、ダイキリティを大量生産できるのは教会と天覇だけであり、これらの組織に所属すれば無償で延命剤を受け取ることができる一方、市場では高額で取引されている。このため、第三世代は教会か天覇に所属することが一般的となっている。メタ・ファルス世界では、ダイキリティは初代澪の御子インフェルによって発見され、その後大鐘堂が無償で支給している。配給は中央のパスタリアのみならず辺境のリムまで行き届いており、第三世代が生活しやすい環境となっている[5]。
[編集] インストールポイント
レーヴァテイルの身体の表面に必ず存在する、紋章のような痣のある箇所。どこに表れるかは、個々のレーヴァテイル毎に異なる。グラスノ結晶のインストールや第三世代に対する延命剤の投与は、このインストールポイントを通じて行われる。生存に関わる重要な箇所であり、レーヴァテイルは信頼した相手にしかインストールポイントを曝さない。
[編集] 詩
作中においては原則として「し」ではなく「うた」と読む。歌唱、歌詞、ヒュムノス語による呪文のことを総じて指す。
[編集] 詩魔法
レーヴァテイルが使用可能な魔法。ヒュムノス語と呼ばれる言語で表された呪文を唱えることで発動し、戦闘においては強力な武器となる。一般的な詩魔法は、レーヴァテイルとそのパートナーが、後述のダイブという行為を行うことによって紡がれる。従ってレーヴァテイルが詩魔法を紡ぐには、パートナーとの信頼関係が非常に重要となってくる。一部例外として、ダイブをせず現実世界においてレーヴァテイル自身が一人で紡ぐことも確認されているが、これはレーヴァテイルの心が、極度に揺さぶられた場合にのみ発生する、非常に稀な現象である。
[編集] ヒュムノス
塔を制御するための特殊な詩魔法で、正式名称は「ヒュムノスエクストラクト」。普段はヒュムネクリスタルというものに封じ込められている。一般的な詩魔法と異なり、クリスタルの内部に存在するデバイスに納められた「想い」を、レーヴァテイルにダウンロードすることによって、謳うことが可能となる。基本的にはヒュムノスのインストールには、「ヒュムネコード」と呼ばれるコントロールキーが必要であり、特定のレーヴァテイルにしかダウンロードできない(ただしI.P.Dレーヴァテイル用の物は、詩サーバーの違いもあって一切のヒュムネコードを必要とせず、I.P.Dレーヴァテイルもヒュムネコードを持たない)。 しかし、この力のため、レーヴァテイルの存在は重宝されて、過去にはレーヴァテイルを介さずに直接ヒュムノスを使用する技術もあったようだが、その技術は過去二度に渡る災厄によって失われてしまっている(シュレリアが参戦後に、ヒュムネクリスタル「パージャ」が謳う丘に保管されていた経緯を語る場面から推測できる)。
[編集] ヒュムネコード
塔が個々のレーヴァテイルを一意に識別するために用いられる識別子。ヒュムノスのダウンロードの儀式の際に、認証情報として用いられる。レーヴァテイル・オリジン及びβ純血種のヒュムネコードは、塔のデータベースに登録されているが、第三世代のヒュムネコードは、登録されていない。従って通常第三世代は、ヒュムノスを謳うことが出来ない。
- しかしながら実際には、作品中において複数の第三世代レーヴァテイルがヒュムノスを謳っている。これに関してはそれぞれの場合ごとに、以下のような異なる理由付けがなされている。
- 第1作に登場したオリカ・ネストミールの場合は、スペクトラム遺伝子の形状がβ純血種であるミュールのそれに酷似しており、その結果塔が彼女のヒュムネコードをミュールのそれと誤認識したために、ヒュムノスを謳うことが出来たとされている。
- 第2作に登場した瑠珈・トゥルーリーワースの場合は、焔の御子の証であるDセロファンをインストールされた結果、レーヴァテイル・オリジンであるフレリアと同一のヒュムネコードを持つようになったため、ヒュムノスを謳うことが出来たとされている。
- 同じく第2作に登場したクローシェ・レーテル・パスタリエの場合は、I.P.Dである彼女が謳うヒュムノスは、インフェル・ピラを制御するためのものであり、認証形式などが塔を制御するためのヒュムノスとは異なるため、ダウンロードにヒュムネコードは不要とされている[6]。
[編集] コスモスフィア
レーヴァテイルの心の中に存在する精神世界。顕在意識・深層意識のレベルを反映して階層構造となっている。その世界観は個々のレーヴァテイル毎に大きく異なる。またコスモスフィア内部では、人格の異なる側面を反映する形で、異なる性格を持つ複数の本人が登場することがある。「ダイブ」はこのコスモスフィアに干渉する行為である。本人が望まない相手からの干渉や、本人が望まない深い階層への干渉を阻止するために、コスモスフィア内部には「心の護(こころのもり)」と呼ばれる世界の守護者が存在する。但しI.P.D.に感染すると心の護が消滅する。
- コスモスフィアは詩魔法のサーバ(一般にはアルトネリコ、I.P.D.はインフェル・ピラ)に用意されたレーヴァテイルの意識をつかさどるプライベート空間である。一般的には全9層からなり、第1層~第5層が表層意識、第9層が深層意識となる。各階層に必ずある「いのちの塔」は塔とレーヴァテイルを直結する。I.P.D.はその性質上第8層、第9層は他のI.P.D.との境界が存在しない(ただし、メタファリカで大陸を紡ぎ、インフェルピラが大地の心臓として機能を始めると、第8第9層の境界は再生される)[要出典]。
[編集] ダイブ
他者がレーヴァテイルのコスモスフィアに干渉する行為。世界各地に存在する「ダイブ屋」と呼ばれる施設を利用することによって可能となる。レーヴァテイルにとっては自分の内面を曝け出すこととなるため、本来ダイブは強い信頼関係で結ばれたパートナーにしか許さない行為である。そのためダイブを行うには、レーヴァテイルとパートナーの信頼関係の深さを表す値であるダイブポイント(DP)が一定量必要であり、パートナーがコスモスフィアで行動を起こすとダイブポイントが消費される。ダイブによってパートナーがレーヴァテイルのコスモスフィアに干渉すると、以下のような結果が得られることがある。
- コスモスフィア内部でのパートナーの行動により、レーヴァテイルが抱えている悩みや葛藤が昇華されると、パラダイムシフトが発生して、コスモスフィアのさらに深い階層へとダイブすることが出来るようになる。
- レーヴァテイルがコスモスフィア内部で詩魔法を紡ぐと、現実世界でもその詩魔法を使えるようになる。
- パラダイムシフトが発生してコスモスフィアの1つの階層が完了すると、その階層でレーヴァテイルが着ていたコスチュームを、現実世界でも着ることが出来るようになる。
尚、LV9階層ですべてのレーヴァテイルの精神は、パワーソースであるアルトネリコのバイナリ野と繋がっており、それ故にLV9に近づけば近づく程、そこで紡がれた詩魔法は強力なモノとなる。 あと、LV9をクリアすることで、塔のリソースに自由にアクセス可能となり、塔に記録されたデータを読み込んでダイブしたパートナーとゲームを楽しむ『バイナリ野遊び』というものも可能となる。
[編集] テル族
シリーズの舞台となる星に遠い昔から存在する、人間とは別の種族。麻色の肌に角や尻尾といった身体的特徴を持ち、寿命も200年程度と人間よりも長い。詩魔法とは全く別の特殊な術を使うことが出来、用いる術の種類により12の派閥に分かれる。かつて彼らが持つ知識と技術は、塔の建設に大きく貢献した。現在ソル・シエール世界においては、イム・フェーナという街にまとまって住み、人間との積極的な交流を避けている。一方、メタ・ファルス世界では人間と共存しその技術力を生かしてダイブ屋を稼業として営んでいる者も多い。また人間やレーヴァテイルと混血のテル族も存在する。
以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] シリーズ作品
[編集] ゲーム
- 2006年1月26日発売。
- 2007年10月25日発売。
[編集] 関連作品
- アニメ、漫画、小説などが発売されている。
詳細は「アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女」、「アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩」をそれぞれ参照

