アルティン環

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アルティン環(アルティンかん、Artinian ring、アルチン環とも)は、イデアルの極小条件を満たす環の一類。名称はエミール・アルティンドイツ語版英語版にちなむ。

定義[編集]

A に対し次の二条件は同値である:

  1. (降鎖条件): A の左イデアルからなる任意の降鎖は有限の長さで停止する:
    I_1 \supset I_2 \supset \cdots, (I_k\mbox{: ideal}, k=1,2,\dots)
  \Rightarrow \exists N \mbox{ such that } I_N = I_{N+1} = \cdots.
  2. (極小条件): A の左イデアルからなる空でない任意の族は極小元を持つ:
    \varnothing \ne L := 
  \{I_\lambda \subset A \mid I_\lambda \mbox{: ideal}, \lambda \in \Lambda\} 
  \Rightarrow 
  \exists I \in L \mbox{ such that } I\ \not\supset\ I_\lambda \mbox{ for all }\lambda.

これらの同値な条件を満たす環 A左アルティン的 (left Artininan) であると言い、また左アルティン的である環を左アルティン環と呼ぶ。また、上記条件中の「左イデアル」と「右イデアル」とを取り替えて右アルティン環 (right Artininan ring) が定義される。環 A が左右両側でアルティン的 (two sided Artininan) であるとき、A両側アルティン環であるという。考えている環 A が可換環であるならば左右の区別なく単にアルティン環あるいは可換環であることを強調して可換アルティン環あるいはアルティン的可換環などと呼ぶ。文脈によっては左アルティン環、右アルティン環あるいは両側アルティン環のことを単にアルティン環と略称する。

性質[編集]

  • A が左(または右)アルティン環であることと、適当なイデアル I に対して A / I および I が左(または右)アルティン的であることとは同値である(ここで、I がアルティン的であるとは IA 加群とみてアルティン的であることをいう)。
  • アルティン環の素イデアルは全て極大イデアルである(すなわちクルール次元が 0 である)。特に、アルティン的可換環 L が整域であるならば L は可換体である。
  • アルティン環 Rヤコブソン根基 J(R) は R の最大の冪零イデアルであり、RJ(R) による剰余環 R / J(R) は半単純である。特に半単純環はヤコブソン根基が消えているアルティン環として特徴付けられる。
  • アルティン環はネーター環となる(ホプキンス-秋月)。特にアルティン環は組成列を持つ。また逆に、ネーター環であって、冪零なヤコブソン根基を持ち、ヤコブソン根基による剰余環が半単純であるような環はアルティン環である。また、可換環に限れば、アルティン環であることとクルール次元 0 のネーター環であることとは同値である。
  • アルティン的単純環は適当な斜体上のある次数の全行列環に同型である(アルティン-ウェダーバーン)。

関連項目[編集]