アルサラスの贖罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

アルサラスの贖罪』(アルサラスのしょくざい、原題:The Redemption of Althalus)は、デイヴィッド・エディングスとリー・エディングスが書いたファンタジー小説。日本語訳は宇佐川晶子が担当し、ハヤカワ文庫から刊行されている。日本語訳書の表紙イラストは碧風羽が担当。

ストーリー[編集]

幸運の女神に愛されたかと見紛う強運により、次々と獲物を手にしていく泥棒アルサラス。 しかしそんな彼にもツキに見放される時がやってきた。過去に失敗をしたことはあってもこれまでならすぐにツキが今回ばかりはそうとはいかない。諸国を渡りつつ危険を切り抜けたアルサラスはヒュール国に逃れる。そこには旧知の知り合いであるナブジョルという男がいつも野営する場所があった。

そこで憂さを晴らすように享楽に高じ、手持ちの金もなくなりかけていた時、見慣れない余所者がナブジョルの野営地を訪れる。ゲンドと名乗るその男はアルサラスを追ってきたというが、捕まえるためではなく凄腕の泥棒に仕事を持ちかけるためだと語った。その内容とはカグウェア国北部にある「世界の果ての家」から一冊の本を盗み、持ち帰るというもの。ゲンドが信用できる相手とみなさず、見本として示された牛皮のページに書かれた文字にも禍々しさを感じ取ったアルサラスであったが、運を好転させるきっかけとすべく依頼を引き受けることに決めた。

「世界の果ての家」にたどりつき、「本」を見つけたアルサラスは人語を話す猫と出会う。さすがのアルサラスも言葉を喋る猫の存在に動転し、自分の正気を疑った。家から出ようとするも、入ってきたはずの扉は消失していた。猫によれば「本」とは空の神デイウォスが作り出したものであり、そこに記された言語を通して世界に干渉できるものだという。猫はアルサラスは「本」について学び使いこなせるようにならなければならない、と語り、本の使い方を教え始める。

登場人物[編集]

アルサラス(Althalus)
幸運に取り付かれた凄腕の泥棒。腕のいい泥棒らしく、手先が器用で頭の回転はさらに良い。 失敗が無いわけではないが、そうなってもすぐにツキを取り戻してきた。 度重なる不運に見舞われ、それを好転させるきっかけになればと、ゲンドという男の依頼を引き受ける。 依頼通り「世界の果ての家」に至った彼で「本」を手にし、人語を話す猫エメラルドとともに通常の時間を越えて生きることになる。
エメラルド
アルサラスが「世界の果ての家」で出会った人語を喋る牝猫。アルサラスは彼女を、瞳の色からとって 「エメラルド」と呼ぶことにした。本人曰く、ずっと猫の姿をしていたわけではないらしい。以後、アルサラスの傍らで「本」の使い方を指導するようになる。
ナブジョル(Nabjor)
アルサラスと旧知の男。ヒュール国に野営地を作り暮らしている。野営地には居酒屋があるだけでなく、売春が営まれており、彼自身も人には言えないような品物の取引に応じる。
デイウォス(Deiwos)
本作の世界観における空の。混沌と闇しかなかった原初の時代、彼が目覚めたことにより、時間が動き始めた。混沌と闇を見て渇望を抱いた彼は作るべきだと考えた被造物を生み出した。創造に疲れた彼はデイウォスは自分の領分と弟神デイウァの司る時間の無い闇との間の境界線に塔を作り、時間が動く傍ら、そこで休みながら自分の作った「本」に親しんだ。
デイウァ(Daeva)
デイウォスの弟。時間の存在しない闇と混沌を司る。デイウォスがもたらした時間と創造は、同時デイヴァの領分を侵すということでもあった。それは彼にとって苦痛に他ならず、兄神の側にある全てへの敵意を抱かせることになった。彼もまたデイウォスのそれと同じ不思議な力のある「本」を持ち、それを手下となる人間に貸し与え、世界を破壊する野望に加担させている。
ゲンド(Ghend)
アルサラスを追って現れ、彼の実力を見込み「世界の果ての家」にあるデイウォスの「本」を盗ってこさせようとした男。実は一万年ほど前に現れたデイウォスを崇める古い民の出身。族長に命じられた仕事に嫌気がさしたところデイウァから誘いを受け、デイウォスを見限った。その後デイウァより「本」を与えられてからは、のちのアルサラスと同じく通常の時間にとらわれず生きている。アルサラスより7500歳年上であり「本」の扱いでは一日の長がある。デイウァの高僧として、この神を崇める国ネクウェロスの絶対君主の地位についている。

日本語版[編集]