アルキメデスの原理
アルキメデスの原理(アルキメデスのげんり)は、アルキメデスが発見した物理学の法則。流体中の物体は、その物体がおしのけた流体の重さ(重力)と同じ大きさの浮力を受ける、というものである。
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[編集] 概要
物体を水の中に静かに入れると、物体は水の中に沈む。物体が沈む事によって押しのけられた(物体が存在する場所にあった)水も、重力によって物体の存在する場所へ移動しようとするが、物体の重力と押しのけられた水の重量に、押しのけられた水の重量が同じになった所で物体は沈むのをやめる。つまり物体と同じ重量の水を押しのけたところでつりあうので物体は沈むのをやめる。
これを数式で表現すると
なおこの法則は水だけでなく全ての流体について当てはまる(熱気球など)。浮力の大きさは流体中にある物体の密度には関係しないが、流体よりも物体の密度が小さい場合には重力と浮力はつりあう。すなわち
- ρVg=mg m:物体の質量[kg]
m=ρVであるため、流体の密度ρが既知であればVを測定することで物体の質量を正確に知ることができる。
- 氷が解けると水面は上昇するか?
- 水に氷が浮いていてその氷が解けていく場合、解けた氷の質量を Δm とすると水の体積は ΔV=Δm/ρ水 だけ増加する。一方、上の式から水没している氷の部分の質量 Δm を考えると、Δm=ρ水ΔV 、ΔV=Δm/ρ水 となるため、水没している氷の部分の体積は Δm/ρ水 だけ減少する。よって水の体積増加分と氷の水没体積減少分が等しくなり、氷が解けても水位は変化しない。
- 補足
- 氷の方が密度が小さく、ρ氷=0.92[g/cm3] で、水は、ρ水=1.0[g/cm3] 程度であり(温度でも異なる)、かなりの差があることが分かっている。
[編集] 法則の発見
この法則が発見されるまでの故事が、古代ギリシアらしい伝説として残っている。
当時ギリシア人の植民都市であったシラクサの僭主ヒエロン2世が金細工師に金を渡し、純金の王冠を作らせた。ところが、金細工師は金に混ぜ物をし、王から預かった金の一部を盗んだ、といううわさが広まった。そこでヒエロンはアルキメデスに、王冠を壊さずに混ぜ物がしてあるかどうか調べるように命じた。アルキメデスは困り果てたが、ある日、風呂に入ったところ、水が湯船からあふれるのを見て、その瞬間、アルキメデスの原理のヒントを発見したと言われる。このとき浴場から飛び出たアルキメデスは「ヘウレーカ(希: ΕΥΡΗΚΑ)、Eureka、ヘウレーカ」(分かったぞ)と叫びながら裸で走っていったという伝説も残っている(もっとも、この時代のギリシアでは男性は裸で運動するのが普通で、裸で外を走っていても別に珍しくはなかった)。
アルキメデスは金細工師に渡したのと同じ重量の金塊を用意し、これと王冠を天秤棒に吊るしてバランスを取り、水を張った容器に入れた。空気中では天秤棒はてこの原理によりバランスが保たれている。てこの原理は水中でも変わらないので金塊と王冠を水中に沈めても天秤棒のバランスは保たれるはずである。しかし水中でのバランスが崩れたために王冠と金塊の比重が違うという事が判明し、金細工師の不正が明らかになった[1]。これがアルキメデスの発見した浮力の原理である。金細工師の名は知られていないが、その後死刑になったと伝えられる。
アルキメデスとその後の学者たちは、この法則が自然科学的な法則であるとは気付かず、数学的な原理であると考えた。そのため、次の科学法則であるケプラーの法則が発見されるまでは、1800年もの時間がかかった。
[編集] その他
- アルキメデスが発見した原理は浮力の原理なのだが、王冠のエピソードによって、物質による密度の違いを説明する際に引き合いに出される場合がある。
- 欧州の学校ではアルキメデスの原理により、物体の体積を量る実験を行う時に、Eureka can(displacement can、ユリーカ缶)という、側面上部に斜め下向きの排水管がひとつ付いた器具をよく使用する。排水管の位置以上に水を入れて流れ出るのを待ってから、排水管の下にメスシリンダーを設置して、排水量を測定する。