アリアドネー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アリアドネ から転送)

アリアドネー(Ariadne)

  1. アリアドネーは、クレータ島の豊穣の女神である。本項で詳述。
  2. Ariadneは、Windows上で動作するファイル管理ソフトウェアである。FDに似たユーザインタフェースが特徴。
  3. ARIADNEは、二木麻里が運営する人文・社会科学を中心とした学術情報の検索リンクサイトである。名前は、「アリアドネの糸」から由来。
  4. アリアドネ (小惑星)

3世紀ごろのガンダーラのギリシア風仏教美術。ディオニューソスの膝の上で酒を飲むアリアドネーが描かれている。東京国立博物館

アリアドネー古代ギリシア語ἈριάδνηAriadne)は、クレーテーミーノースと妃パーシパエーのあいだの娘である[1]テーセウスがクレーテーの迷宮より脱出する手助けをしたことで知られる。アリアドネーという名は「とりわけて潔らかに聖い娘」を意味するので、この名からすると、本来、女神であったと考えられる[2]

アリアドネとも日本語では書かれる。

目次

[編集] 概説

クレーテー王ミーノースは、息子アンドロゲオースがアッティカで殺されたため、アテーナイを攻めた。こうしてアテーナイは、九年ごとに七人の少女と七人の少年をミーノータウロスの生贄としてクレーテー差し出すこととなっていた。テーセウスはこの七人の一人として、一説ではみずから志願して生贄に加わってクレーテーにやって来た[3]

[編集] 迷宮とアリアドネーの糸

アリアドネーはテーセウスに恋をし、彼女をアテーナイへと共に連れ帰り妻とすることを条件に援助を申し出た。テーセウスはこれに同意した。アリアドネーは工人ダイダロスの助言を受けて、迷宮ラビュリントス)に入った後、無事に脱出するための方法として糸玉を彼にわたし、迷宮の入り口扉に糸を結び、糸玉を繰りつつ迷宮へと入って行くことを教えた。

テーセウスは迷宮の一番端にミーノータウロスを見つけ、これを殺した。糸玉からの糸を伝って彼は無事、迷宮から脱出することができた。アリアドネーは彼とともにクレーテーを脱出した[4]

[編集] クレーテーよりの脱出後

ディオニューソスキタラーを持つアリアドネー

クレーテーより脱出後、プセウド・アポロドーロスは、二人は子供もつれてナクソス島へと至ったと記すが、これ以降のアリアドネーの運命については諸説がある。プセウド・アポロドーロスは、ナクソス島でディオニューソスが彼女に恋し、奪ってレームノス島へと連れて行きそこでアリアドネーと交わり子をなしたとする。この交わりによって、トアーススタピュオスオイノピオーンペパレートスが生まれたとされる[4]

しかし別の説では、アリアドネーはナクソス島に至り、ひどい悪阻であったため、あるいは彼女が眠っているあいだにテーセウスに置き去りにされたともされる。この後、ディオニューソスが彼女を妃としたともされる[1]

また、ホメーロスの『オデュッセイア』においては(巻11、324-5)、一行がディアー島(ディーア島)に至ったとき、ディオニューソスの了承のもと、アリアドネーはアルテミスに射られて死んだとされる[5]呉茂一はこちらが本来の神話であったろうとする。

[編集] 大女神としてのアリアドネー

アリアドネーの名は、むしろ神の名に相応しい。5世紀の辞典編纂者ヘーシュキオスの記録に従えば、クレーテーでは、アリアグネーと彼女は呼ばれていた。この名は「いとも尊き(女・女神)」の意味で、この名の女神はエーゲ海の多くの島で知られている。またディオニューソスの妃として結婚の祝祭が行われていた。

アルゴスでは、アプロディーテー・ウーラーニアー(天のアプロディーテー、ウーラノスより生まれた女神をこの称号で呼ぶ)の社殿の傍らにアリアドネーの墓が存在していた[6]

[編集] 芸術作品

[編集] その他

  • 迷宮脱出の逸話より「アリアドネの糸」という言葉が生まれた。難問解決の手引き・方法の意味で使われる。
  • 欧州宇宙機関 (ESA) のロケットアリアンは彼女の名前にちなむ。

[編集] 脚注

  1. ^ a b 『ギリシア・ローマ神話辞典』p.30。
  2. ^ 呉茂一『ギリシア神話』p.302。
  3. ^ 『ギリシア・ローマ神話辞典』p.161。
  4. ^ a b アポロドーロス、摘要 I, 8-9。
  5. ^ 呉茂一『ギリシア神話』pp.171-172。
  6. ^ 呉茂一『ギリシア神話』p.172。

[編集] 参考文献

  • アポロド-ロス『ギリシア神話』岩波書店 改版1978年 1982年
  • 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店 1960年 2007年 ISBN 4-00-080013-2
  • 呉茂一『ギリシア神話』新潮社 1969年 1986年 ISBN 4-10-307101-X C0014

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ