アラクネー

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ディエゴ・ベラスケス画『アラクネの寓話(織女たち)』(1657年頃)マドリッドプラド美術館所蔵

アラクネー古希: Ἀράχνη, Aráchnē)は、ギリシア神話に登場する女性である。リューディアコロポーン染織業をいとなんでいたイドモーンの娘。長母音を省略してアラクネとも表記される。

神話[編集]

ダンテ『神曲』に登場するアラーニェの彫像。ギュスターヴ・ドレによる

変身物語』によればアラクネーは優れた織り手で、その技術は機織りを司るアテーナーをも凌ぐと豪語するほどだった。これを耳にしたアテーナーは怒りを覚えたが彼女を諭す為に老婆の姿を借りて神々の怒りを買うことのないように忠告を与えた。しかし、アラクネーはそれを聞き入れずに神々との勝負を望んだ為、女神は正体を表してアラクネーと織物勝負をすることになった。

アテーナーは自身がポセイドーンとの勝負に勝ちアテーナイの守護神に選ばれた物語をタペストリーに織り込んだ。アラクネーはアテーナーの父ゼウスレーダーエウローペーダナエーらとの浮気を主題にその不実さを嘲ったタペストリーを織り上げた。

アラクネーの腕は非の打ち所のない優れたもので、アテーナーでさえアラクネーの実力を認める程であった。しかし、アテーナーはそのタペストリーの出来栄えに激怒し、最終的にアラクネーの織機と不敬なタペストリーを破壊してアラクネーの頭を打ち据えた。これによりアラクネーは己の愚行を認識し、恥ずかしさに押しつぶされ逃げだして自縊死を遂げた。

アテーナーは彼女を哀れんだのか、それとも怒りが収まらず死すら許さずに呪おうとしたのか、トリカブトの汁を撒いて彼女を蜘蛛に転生させた[1]

なお、ἈράχνηArachnē、アラクネー)という彼女の名は、ギリシア神話の多くの登場人物と同様、普通名詞を人格化したもので、古典ギリシア語: ἀράχνη(ς)arachnē(s))は「蜘蛛」「蜘蛛の巣」を意味する単語であった[2]。 現在、分類学で「クモ綱」を Arachnida と呼んだり、クモ恐怖症を英語で arachnophobia などと言うのは、この語を語根に用いたものである。

ダンテの『神曲』「煉獄篇」では、煉獄山の第一層にて「傲慢」の大罪を戒める例の一つとして、すでに下半身が蜘蛛に変じたアラクネーを写した姿が山肌に彫刻されている(原文の「アラーニェ」の名で邦訳されていることもある[2])。

ここから[要出典]、日本のコンピュータゲームなどでは、上半身が女性で下半身が蜘蛛の怪物[3]などといった蜘蛛+女性というモンスターがアラクネー(アラクネ)という名前で登場することがある。ただし、アラクネーではなくアルケニーという名前であることも多い。[4]

志賀直哉の短編小説「荒絹」はアラクネから発想を得ている。

脚注[編集]

  1. ^ オウィディウス『変身物語』6巻。
  2. ^ a b ちなみにやはり「蜘蛛」を意味するラテン語: aranea (アラーネア)はおそらくこの語と関係があり、フランス語: araignée (アレニェ)、スペイン語: araña (アラニャ)、イタリア語: ragno (ラーニョ)などロマンス諸語各言語における「蜘蛛」の語はここに由来している。『神曲』のアラーニェ(Aragne)の名もこれらと同系であることは間違いない。
  3. ^ ファイナルファンタジーⅣ』ではこの姿だが、名前だけで直接関係はない。『女神転生』シリーズでは頭以外蜘蛛という姿で登場するなど様々である。
  4. ^ デジモンシリーズのアルケニモンなど。

参考文献[編集]

関連項目[編集]