アメリカ合衆国における携帯電話
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アメリカ合衆国における携帯電話について解説する。
目次 |
[編集] 歴史
アメリカ合衆国では第二次世界大戦において無線通信機を用いた。これがアメリカにおける携帯電話の起源であるとされる。
携帯電話と呼ばれる形態が実用化したのは冷戦の時である。アメリカでは1978年にAT&Tとモトローラの2社に携帯電話の実用化のための実験がアメリカ政府から許可され、それにより携帯電話技術を完成させることが出来た。日本に次いで1981年にサービスを開始し、1990年代になってから急速な普及を遂げた。
英語では正式名称はCellular Phone(セルラーフォン)であるが、よく使われるのはcellphone(セルフォン)である。
[編集] 端末
GSMがほぼ独占している感のある欧州と異なり、アメリカでは事業者ごとに周波数および通信方式が異なる。CDMAの2大オペレータはいずれもR-UIMを採用していないので、CDMA端末は事実上そのオペレータ専用端末となっている。また欧州ほど極端にプリペイド端末の比率は高くない。日本では殆ど見ないが、アメリカでは男性の場合ホルスターに携帯電話をつけて歩いている姿が見られる。アメリカでは事業者が周波数ライセンスをFCCオークションか企業間取引で入手する必要がありそのコストは巨大である。 近年では、スマートフォンの人気が高まってきており、2007年の北米での携帯電話出荷台数におけるスマートフォンの割合は17%に達している。[1] また、アップルのiPhoneの人気を受け、各社はタッチパネル画面の端末を増やしている。
[編集] メーカーのシェア
現在、スマートフォン専業メーカーのアップルとRIMが急速にシェアを上げている。スマートフォン以外の音声端末においては、Motorola RAZR V3のピークを過ぎたモトローラが退潮著しいがアメリカでは一定のシェアを確保。また、大手2社がCDMA2000 1x方式を採用している事から、CDMA,GSM両刀使いのサムスン電子やLGエレクトロニクスもシェアが高い。逆に、CDMAに弱くCDMA戦略の建て直し中のノキア、CDMAをやっていないソニーエリクソンのシェアは低い。[2]
[編集] ハイエンド
周波数ライセンスを得るコストが高いため、日本の携帯電話事業者のように超高額の販売奨励金を端末につけて卸すというわけにはいかないので、アメリカのハイエンド端末は日本のハイエンドより1段か2段程度下である。iPhone以前は、液晶画面の大きさと解像度については、最新のハイエンド機種でも2.0インチ前後のQVGAと小さなものが多く、スマートフォン以外の携帯電話では2.4インチ以上、解像度ワイドQVGA以上の機種は皆無に等しかった。しかしながら、iPhone以降は、QVGAをこえるサイズの液晶搭載機種の発表があいついでいる。
[編集] ローエンド
逆にアメリカには2008年の日本市場で事実上存在しないようなローエンドの機種も存在する。具体的には液晶の解像度がQCIF+未満、大きさが1.8インチ以下で、カメラ未搭載、または30万画素クラスのカメラが搭載されているものなどがある。ローエンド機種の中には、モデルチェンジされても、デザインが中心の変更で、機能に関しては何年もほとんど変化がない端末も少なくない。
[編集] 日本メーカーの進出と挫折
過去幾度か日本の携帯電話メーカーがアメリカ市場への進出を図ったが、殆ど失敗し現在は京セラ(旧三洋電機)が、Sanyoブランドでスプリント・ネクステルへ、シャープがスマートフォンのSidekickをT-Mobile USAへ、京セラがクアルコムの端末部門を買収して出来たキョ-セラワイヤレス、カシオ日立モバイルコミュニケーションズがG'zOneシリーズをベライゾン・ワイヤレスへ供給しているのみである。このうち京セラ(旧三洋電機)のみが規模が大きく年間500万台レベルの出荷となっていると推測される。日本のメーカーが失敗し続けた理由は、日本と海外の携帯電話事業者の違いが理解できずに日本スタイルのビジネスを進めたこと、および第3世代携帯電話への移行タイミングを完全に読み間違えたことである。
[編集] 通信方式
CDMA陣営のべライゾン・ワイヤレス、スプリント・ネクステルとGSM陣営のAT&T、T-Mobile USAがほぼ拮抗している。2008年2月まで800MHzバンドのアナログ方式のAMPSが広くサポートされていたが、現在はごく一部を除いて廃止されている。[3] Sprint Nextelは2008年にWiMAX方式のワイヤレスブロードバンドサービスを全米規模で展開する予定であったが、2008年中に実際に展開で来たのは、一都市だけと大幅に出遅れている。WiMax事業は、ClearWireと合弁することになった。
[編集] サービスと料金
[編集] 事業者間によるシェア
全国レベルでサービスを提供する事業者は4社ある。Alltelの買収を完了したべライゾン・ワイヤレスが加入者数首位で、このあとに、AT&Tモビリティ、スプリント・ネクステル、T-Mobile USAの順で続く。
[編集] 高額の基本使用料と長時間の無料通話分
すべての事業者において基本的に着信も有料である。基本使用料については、どの大手事業者においても最低月29.99ドルであり、これに加えて税金などによる請求額も多く、最低でも月40ドル近く支払わなければならないことが多い。このため、ライトユーザーにとっては高額である。さらに、アメリカでの携帯メールにあたるSMSの送受信料は、最低額のプランでは基本使用料に含まれないことがある。そのため、1通ごとに10セント以上の送受信料を課金されるか、上位のプランか別途オプションかに入り、SMSを部分もしくは全定額で使うかである。その反面、月額基本料金プランには、月200分という無料通話分や、通話無制限、または、同じ事業者間同士や、週末と夜間の通話に関しては無料というオプションがついてくる。そのため、電話を頻繁にかけるユーザーが多く、また長電話でも通話料金を気にする必要がそれほどないため、スーパーマーケットなどでは、携帯電話をつけっぱなしで買い物の相談をしている光景がよく見られる。
[編集] 通話以外での利用
米国では携帯電話(スマートフォンを除くという意味)では音声サービスの利用がメインである。ワイヤレスウェブサーフィンは、アメリカではそれほど一般的ではない。[4] ワイヤレスウェブサーフィンを行うには、割安な通話料金とは別にオプション料金となるデータプランをつける必要があるが、多くの人は付けない。またアメリカは高度な車依存社会であり、一部の大都市を除けば、列車やバスのような公共交通機関が発達していないので、これらのサービスを利用する時間を生み出しにくい。従って、QRコードなども、ほとんど普及していない。そのため米国では、べライゾン・ワイヤレスでようやく2007年にSMS(ショートメッセージサービス)の一人当たりの一日の送信数が平均1件に達しているが、これは例えばイギリスでいう2003年の数値と同じであり、世界的に見てもかなり少ない。[5] 別の調査でも、約82%のアメリカ人がSMSを一度も使ったことがない事が明らかになっている。[6] しかしそういう需要が全く無いわけではなく、アメリカでメッセージングサービスをヘビーに使用するユーザーは、より高機能に利用でき、スマートフォンないしワイヤレスハンドヘルド製品(ブラックベリーのうちの通話機能無しのものを含む)に移行してしまっていると思われる。実際、2007年度のスマートフォン・ワイアレスハンドヘルド製品の米国での出荷数は1億1500万ユニットで、前年2006年度比で60%増加している。[7] これは、パソコンの普及が古くから進み、その反面テンキーで文字を入力する習慣があまり浸透してこなかったアメリカでは、QWERTYキーが付いた端末が非常に重要視されているためである。タッチパネルが付いた端末が急速に普及しているのも、QWERTY方式の入力操作ができる事が理由の一つである。
[編集] モバイルTV
モバイルTVについてはベライゾン・ワイヤレスとAT&T MobilityがMediaFLO方式のサービスを行っている。
[編集] 米国内でのローミングと、カナダとのローミング
国土が広大であるため地図の上ではサービスがまったくない区域が多数存在する。通信方式・周波数があえばローミングサービスが使えるのが一般的である。カナダとは技術仕様がほとんど同一なためローミングサービスでアメリカの端末が使える。日本国内向けの携帯電話でも、GSMの850MHz/1900MHzをサポートしている端末の場合は、ローミングによりアメリカで使用できる場合がある。
[編集] 日・米のW-CDMAについて
W-CDMAについては、日本とアメリカでは周波数が異なるため使用できない(ただし、北米の周波数帯にも対応しているSoftBank X01HT、SoftBank X02HT、NTT docomoのAQUOSケータイ SH905iTV(850MHz帯対応)等は利用可能)。KDDI向けCDMA端末の場合は同じ800MHzであるが日本の800MHzのチャネル構造が異なるため(アップリンクの周波数帯とダウンリンクの周波数帯が逆であることが原因とされている)、初めから海外のCDMA利用を想定して設計された一部の機種(グローバルパスポートCDMA対応機種)でしか海外では利用できない。
[編集] 米国での、日本のSIMカードの利用
なお日本のDoCoMo,SoftBank MobileのUIMカードないしはKDDIのR-UIMカードと、US仕様のアンロック携帯電話でSIMカード対応のものを使うこと(プラスチック・ローミング)は原理的には可能である。この場合、国内の電話番号がそのまま使えるがローミングになるので通話コストは非常に高価である。
[編集] 日本人(外国人)が携帯電話を契約する際の注意
米国で携帯電話を契約するには、日本人向けのKDDIモバイルとHanaCell(ハナセル)を除いて、「SSN(ソーシャル セキュリティ ナンバー:米国社会保障番号)」「クレジットヒストリー(:米国でのクレジットカードでの購入/支払履歴)」がなければ契約ができない。それらがない場合は、高額なデポジットを払えば契約が可能。また、アメリカの携帯電話の契約年数は、最低2年契約が通常、途中解約にはいずれの事業者においても200ドル程度の違約金が発生する。そのため、短期滞在の外国人は、レンタルもしくは海外で使える携帯電話を、長期滞在の外国人はプリペイド携帯を利用。 さらに、これは携帯電話にかぎったことではないが、アメリカの携帯電話会社のカスタマーサービスは、日本の同等サービスと比較して、非常に評判が悪い[要出典]。
[編集] 日本人向け携帯電話サービス
2007年、KDDIが「KDDIモバイル」としてポストペイとプリペイドの両面でサービスを、同年、イギリスに本拠を置くMVNO事業者のMobalがHanaCell(ハナセル)としてポストペイのサービスを日本人向けに開始した。2009年、NTTドコモの子会社NTTドコモUSAが、日本人向けにT-Mobile USA(TMO US)の携帯電話取次販売サービス(ポストペイ、月払いプリペイ)を開始した(なお、NTTドコモのグループ会社がグアムで手がけるドコモパシフィックは、MVNOではなく、現地の事業者(旧・グアムセルラー)を買収した上で、買収により獲得した自前の回線で手がけているもので、必ずしも日本人向けではない)。
[編集] 業務区域
| 事業者名 | 通信技術 | 周波数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| AT&T Mobility | GSM EDGE W-CDMA | 850MHz 1900MHz | 親会社の合併によりAT&Tとなった。ただし、前身のCingular Wirelessの名前の方が良く知られている |
| Verizon Wireless | CDMA | 800MHz 1900MHz | Verizon CommunicationsとVodafone PLCの合弁事業 |
| Sprint Nextel | CDMA iDEN | 1900MHz 800MHz(SMR) | 旧SprintPCSは、CDMA(1900MHz).旧Nextelは、iDEN(SMR) |
| T-Mobile USA | GSM EDGE W-CDMA | 1900MHz 1700MHz/2100MHz | ドイツテレコムの子会社。W-CDMAのサービスを、2008年に開始した。 |
| Alltel | CDMA AMPS | 800MHz 1900MHz | 東南部に強い地域事業者。2009年1月に、Verizon Wirelessによる買収手続きは完了。現在、統合作業中。 |
[編集] 携帯電話による問題点
[編集] 車の運転中の携帯電話の使用
アメリカでは、自動車の運転中の携帯電話の使用が法律で禁止されている州とそうでない州がある。禁止されている州でも、ハンズフリーの装置を使えば、合法である事が多い。前述の通り、アメリカでは携帯電話は通話目的で使用する場合がほとんどで、禁止されていない州の場合は車を運転しながら通話するという行為が日常化している。保険会社の調査によれば、約80%以上のアメリカ人が車の運転中に携帯電話で通話をしている事がわかっている。[8]
[編集] SMSを利用したスパム
SMSを利用したスパムが大量に送信されている。SMSの場合、電話番号を知るだけでメッセージの送受信ができるため、Eメールのようにメールアドレスを複雑にして、安全性を確保するという事ができない。事業者側からの対策もあまり進んでいない。
[編集] カメラでの盗撮
カメラを使って撮影をする時、シャッター音を消す事ができる端末が非常に多い。このため、盗撮に悪用されやすい。
[編集] 脚注
- ^ iモードメールにも対応予定――ドコモの山田社長が「BlackBerry Bold」の魅力をアピール (2/2)
- ^ It Media (2008-11-11). "米携帯電話販売台数シェア、iPhone 3Gがトップに――NPD調べ". 2008年11月13日 閲覧。
- ^ Most Analog Cellular to Fade Away Next Week(英語)
- ^ Americans Slow To Adopt Mobile Multimedia - Study Shows US Lags Behind(英語)
- ^ Americans are 4 years behind the UK in terms of SMS adoption(英語)
- ^ 82% of America never uses text messaging(英語)
- ^ Smart mobile device shipments hit 118 million in 2007, up 53% on 2006(英語)
- ^ Most Americans telephone while driving(英語)

