アポストロフィー

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アポストロフィー: apostrophe) は、アポストロフィアポストロフ: Apostroph: apostrophe)とも呼び、欧文の約物の一つで、単語中(冒頭、途中、最後)で使われる記号である。コンマと同形であるが、コンマがベースライン上に打たれるのに対し、アポストロフィーは文字の上端に打たれる。また、英語シングルクォーテーションの特に閉じる形と同形とするフォントもある。類似の記号としてプライムアキュート・アクセントなどがあるが、それぞれ別のものである。

省略の表示[編集]

英語[編集]

英語では、音の省略に伴い文字を省略したことを表す。しばしば複数の単語が一語に綴られるのに伴う。所有を表す接語-'s は、古英語の所有格語尾 -es に由来し、アポストロフィーは省略を表した。現代英語では、所有の接語と複数語尾が同じ音になったため、正書法ではそれぞれ -'s, -s と書き分ける。複数形の所有は、-s' で表される。

  • the cat's (the cat + -'s)
  • the cats (the + cats)

また、コピュラ (be) および助動詞 (have, will) の接語形にもアポストロフィーを用いる。

  • I'm ← I am
  • you're ← you are

否定の not の接尾辞形には n't を用いる。

  • aren't ← are not
  • can't ← can not

その他、音が省略された場合に、表記を発音に一致させるためアポストロフィーが使われる。

  • 'cause ← because
  • ev'ry ← every
  • fo'c's'le ← forecastle
  • o'clock ← of the clock
  • 'tis ← it is

また、省略表記を表すためにアポストロフィーを用いる。この場合、発音は省略する前のままである。なお一般に語末の省略には終止符を用いる。

  • gov't ← government
  • int'l ← international

ドイツ語[編集]

ドイツ語でも音の省略に伴い文字を省略したことを表す。

  • ist's ← ist es
  • hab' ← habe

フランス語[編集]

フランス語では、エリジオン母音が脱落したときに用いる。

  • l'ami ← le ami
  • j'aime ← je aime
  • c'est ← ce est

また、省略に由来する語にも用いる。

  • aujourd'hui ← au jour de hui

エスペラント[編集]

エスペラントでも音の省略に伴い文字を省略したことを示す。名詞語尾 -o を省略する場合や、母音で終わる前置詞の後ろにある定冠詞の母音 a を省略する場合に使われる。

  • 名詞語尾 -o の省略
    省略してもアクセントの位置は変わらない。対格や複数の名詞、-o で終わる相関詞は省略できない。
    • apostrof' ← apostrofo
    • poezi' ← poezio
  • 定冠詞末尾の a の省略
    • de l' ← de la
    • ĉe l' ← ĉe la
    • je l' ← je la
    • tra l' ← tra la
    • pri l' ← pri la
    • pro l' ← pro la
  • その他
    • dank'al ← danke al, danko al 「~のおかげで」 - 前置詞のように使う
    • un', du, tri ← unu, du, tri 「いち、に、さん」- 声を出して数える場合などに、リズム合わせのため省略する

その他[編集]

イタリア語では、2語を続けると生じる母音の連続を避けるために先行する母音を省略するときに使われる。この場合、先行する語と後続する語は1語に綴られる。

2 桁の数字の前に置いて、西暦年号の百位以上を省略したことを表す。

  • '90 ← 1990
  • '04 ← 2004

発音の表示[編集]

  • 日本語ローマ字表記では下記の場合に使用することがある。
    • 「ん」の後にあ行またはや行が続く場合、「n」の後にアポストロフィーを置いてな行との混同を避けることがある。
      • ふんえん(噴煙):fun'en
      • ふねん(不燃):funen
      • かんゆう(勧誘):kan'yū
      • かにゅう(加入):kanyū
    • 長音符の後にあ行またはや行が続く表現を行う場合、「h」の後ろにアポストロフィーを置いて記法をすることがある。
      • ほうおう(鳳凰):hoh'oh
    • 語尾の「」を表記するのに使用されることがある。
      • あっ:a'
  • 中国語朝鮮語などのローマ字表記でも母音が連続、ng の後に母音が続くなどで他の発音と混同のおそれがある場合に使用することがある。
    • 西安 : Xi'an
  • 中国語のウェード式や朝鮮語のマッキューン=ライシャワー式では子音の後に置いて有気音(激音)を表す。
  • キリル文字のラテン文字翻字で、ЬЪに使用することがある。
    • スラヴ語の発音表記に用いられたときは、軟子音(口蓋化音)を表すことが多い。
    • ベラルーシ語ウクライナ語では直前の子音と直後の母音を分けて発音させる(日本のローマ字表記と同様だが、直前の音が軟子音(口蓋子音)ならば硬子音非口蓋子音化する)働きを持つ。
      • большой→bol'shoy
  • 声門破裂音 [ʔ] を表す。
  • IPA の発音記号では、放出音を表すために、子音字の右に付す。

区切りの表示[編集]

  • 英語で、文字や数詞の複数を表す s の前にアポストロフィーが置かれる。
    • a's(文字「a」の複数)
    • 50's(数「50」の複数)
  • オランダ語では、複数を表すために使われる場合がある。
    • foto's
    • taxi's
  • ドイツ語では固有名詞に形容詞化語尾を付けたり、-s-z などで終わる名詞の属格・複数を表したりするのに用いられる。
    • Ohm'schOhm + 形容詞化語尾 -sch
    • Andreas' = 固有名詞Andreas属格
    • Die Steinmetz' = 姓Steinmetzの複数(Steinmetz達の意)

類似の記号[編集]

プライム[編集]

日本ではダッシュと呼ぶことが多い。

ハーチェク[編集]

シングルクォート[編集]

  • 引用符の一種で、間に文字列を挟むことにより引用符として用いる。アポストロフィーで挟むことにより代用することもある。

符号位置[編集]

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
' U+0027 1-2-15 '
'
アポストロフィ
APOSTROPHE[ 1]
U+FF07 1-2-15 包摂 '
'
アポストロフィ
FULLWIDTH APOSTROPHE
U+2019 1-1-39 ’
’
右シングル引用符、右シングルクォーテーションマーク
RIGHT SINGLE QUOTATION MARK[ 2]
  1. ^ C0 Controls and Basic Latin (PDF)” (英語). ユニコードコンソーシアム. 2014年8月30日閲覧。 “2019 ’ is preferred for apostrophe”
  2. ^ General Punctuation (PDF)” (英語). ユニコードコンソーシアム. 2014年8月30日閲覧。 “this is the preferred character to use for apostrophe”