アノニマス (集団)

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アノニマス: Anonymous)は、ハックティビズム(英語)集団、またはそれに付随した一連の活動を指す運動。

アノニマスのロゴマーク

概要[編集]

2008年2月、ロサンゼルスにて。アノニマスとして公の場に現れた人々。コミックおよび映画V for Vendettaで有名になったガイ・フォークスの仮面を被っている。
ROFLConに現れたアノニマス。2008年4月26日。

参加自由のインターネットコミニティー集団。明確な指導者や組織がある訳ではなく匿名掲示板のようなオンラインコミュニティの利用者を中心に構成されるため正確な人数は計り知れない。2ちゃんねるの避難所として作成された画像掲示板ふたば☆ちゃんねるを見て「アメリカにも同様のコミニティが欲しい」と願ったニューヨークの15歳の少年により2003年に画像掲示板4chanが作成される。当初は日本文化やアニメ・テレビ番組などを話し合う匿名掲示板を目指していた。この際、システムを日本のふたば☆ちゃんねるから転用したため、同じように名前欄を空欄にすると名無しを意味するアノニマス(anonymous)と表示される実態はないものだった。日本の雑誌取材によると、ホームページをアノニマスとして作成する段階から徐々に集団意識として芽生えてくる様がレポートされている。この取材によればYoutubeにアップされた動画削除の抗議が集団アノニマスとしての行動し、この攻撃を残念に思った人物が攻撃中止のビデオメッセージを投稿すると、それに感銘を受けた参加者「アノニマス」達が平和的な抗議デモに切り替えて、世界100都市7000人を超える平和的なデモが行われたという[1]。この様に、必ずしもアノニマスの参加者がハツカーやクラッカーのみではなく、中にはハッカーやクラッキング攻撃に否定的なチャノロジー(Chanology)と呼ばれる集団もいる。対してオペレーション(Operation)と呼ばれるハッキング・クラッキング行動が2010年ごろから開始され、彼らは徐々に活動拠点を4chanからIRCに移していった。 ネットでの行動を肯定するAnonOpsと、それを否定するAnonNetと呼ばれる「流行」に分かれたと見る向きもある。特定のリーダーは存在していないが、その時々のブームメントの牽引者が自然発生的に存在する。2013年には全てのインターネットを停止させるオペレーショングローバルブラックアウト(OpGlobalBlackout)が予告されたが賛同が集まらず自然立ち消えになった事もある[2]。この様に、参加・不参加は各人の自由であり、意識として必ずしも全体として統一したものとも限らない。活動拠点を一つの匿名掲示板からIRCやそれ以外の掲示板などの様々なプラットフォームに広がった為に全体の総数は測定不能だがIRC接続者が常時数百人はおり、彼らがコアメンバーとみなされる事もある。全体総数では、数千人~数万人とも言われ、様々な人種・国境に広がっている。そのためお互いに異なる意見も内包しているとみられ、自然発生的に小さな無数のグループが存在しているとIIJは推測している。また、誰もが名乗れるために、アノニマスを自称しているハッカーやクラッカーも相当数いると言えよう。そういう意味では定義困難なグループともいえるが、主に祭り・抗議行動・DDoS攻撃クラッキングといった行為(ハックティビズム:Hacktivism)を行う集団、またはそうした一連の活動を指すインターネットミーム(インターネットの流行)である。広義に分類すれば、インターネット上のサブカルチャー用語のひとつといえる。「anonymous」という単語は「匿名の」という意味の形容詞である。

P2P規制やポルノ規制への反撃、ウィキリークスアラブ騒乱を抑圧する各国政府への攻撃など、情報の自由に対する脅威と彼らがみなしたものに対して大規模な攻撃を突発的に行っている。2008年に行われた、サイエントロジー公式ウェブサイトへのDDoS攻撃で有名になった。匿名掲示板、関連ウィキサイトや、Encyclopædia Dramatica、その他の多数のインターネットフォーラムが、アノニマスに関係している。

We are Anonymous. We are Legion. We do not forgive. We do not forget. Expect us. (我らはアノニマス。我らはレギオン。我らは許さない。我らは忘れない。待っていろ。) 」を標語として掲げる。

起源[編集]

アノニマスのメンバー

アノニマス(Anonymous)とは「匿名の」という意味を持つ形容詞。語源は、ギリシャ語における「名前の無い」からきている。

インターネットにおいては、匿名掲示板に画像やコメントを投稿する時の匿名性というところから使用されている。この共有人格的な意味での使われ方のアノニマスは匿名画像掲示板「4chan」が発祥である。この掲示板では、名を名乗らずコンテンツを投稿する人(名無しさん等のように)に対して「アノニマス」というタグがつけられる。4chanにおいてアノニマスという言葉は、本物の人間を表すようになっていった。4chanが流行するにしたがって、アノニマス=名もなき個人の集団という考え方は一種のインターネットミームとして定着していった[3]つまり、

概念的な話となるが、アノニマスは広く、名付けられていない集団を示している。その定義では、簡単に一括りに出来ないと言うことが強調され、その量の大きさを示す警句で示される。

インターネットを基礎にした最初の集合的無意識である。アノニマスは、烏合の衆が集団であるという意味で集団である。その集団をどう認識するかって? 彼らが同じ方向を向いて動いてるからだ。いつでも参加し、離れ、どっかへ行ってしまう

クリス・ランダース、ボルチモアシティペーパー, April 2, 2008.[4]

活動[編集]

アラブの春[編集]

2010年から2011年にかけて起こっているアラブ世界での反政府デモや騒乱(アラブの春)に関連して、アノニマスも活動を行っていることを示す報道が見受けられる。

チュニジアでのウィキリークス情報の検閲と、2010年から2011年にかけてチュニジアで起こった「ジャスミン革命」における情報統制に関連して、8つの政府のウェブサイトがアノニマスのDoS攻撃のターゲットとなった[5]。アノニマスは自らの作戦を「Operation Tunisia」(チュニジア作戦)とし、政府の規制に対する非難声明を記した公開書簡の形のウェブページで、チュニジア政府のサイトを書き換えた[6]

2011年1月26日「Operation Egypt」(エジプト作戦)と名付けられたプレスリリースが公開され、エジプト政府は検閲を行い人々の言論宗教の自由が抑圧されていると非難した。そしてエジプトの人々に対して、発言の自由や情報発信の権利を守るために現実世界とインターネットの両方の世界に置いて、共に立ち上がろうと呼びかけた[7][8]。2月初頭、アノニマスは反政府活動を行なう人々の支援を受け、エジプト情報省とムバーラク大統領のウェブサイトを攻撃しオフライン化させた[9]

麻薬組織への対抗[編集]

2011年10月6日、アノニマスのメンバーを名乗る者が、メキシコの麻薬組織セタスにさらわれた仲間を助けるため、セタスに協力している人物の情報を公開するとYouTube上にアップロードした動画で脅した[10]。これにより、同年11月4日に仲間は解放された[11]

違法ダウンロード刑事罰化への対抗[編集]

2012年、6月に日本で可決された違法ダウンロード刑事罰化に対する抗議活動を行うことを宣言[12]。26日に財務省自民党などの公式ウェブサイトを[13]、翌27日夜には日本音楽著作権協会(JASRAC)[14]公式ウェブサイトをサーバダウンさせている。今後、日本政府と日本レコード協会に対する攻撃をほのめかしており、日本の警視庁は不正アクセス禁止法違反の容疑で本格的な捜査に乗り出すことを発表した[15]

その一方、「国土交通省霞ヶ浦河川事務所」を攻撃(「大飯原発再稼働反対」を訴える画像などを掲載)したものの日本のネットユーザーから「『霞ヶ関(かすみがせき)』を『霞ヶ浦(かすみがうら)』と間違えているのでは?」と指摘され、アノニマス側は「やっぱり日本語は難しい」とTwitterで述べている[16][17]

北朝鮮への対抗[編集]

2013年、朝鮮民主主義人民共和国当局に対し人工衛星「光明星3号2号機」打ち上げを「弾道ミサイル発射実験」であるとして、また2012年の米国の核実験や米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」に対抗する一連の措置を採ったことについて「核実験を行った」として一方的な抗議活動を行い、関係の複数サイトを攻撃。サイト「わが民族同士」をハッキングした問題で、「親北朝鮮の人間である」としてサイト登録会員約9000人分の個人情報などを公開した。

関連[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ atmarkit「アノニマスの本当の姿が知りたい」(アノニマスへの取材)
  2. ^ IIJレポート
  3. ^ Whipple, Tom (2008年6月20日). “Scientology: the Anonymous protestors.”. タイムズ (London). http://women.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/women/the_way_we_live/article4173635.ece 
  4. ^ Landers, Chris (2008年4月2日). “Serious Business: Anonymous Takes On Scientology (and Doesn't Afraid of Anything)”. ボルチモアシティペーパー. 2008年7月3日閲覧。
  5. ^ Anonymous activists target Tunisian government sites BBC NEWS 2011年1月4日(英語)
  6. ^ Payback is a bitch, isn't it? - An open letter to the government of Tunisia(実際に書き換えられた画面のスクリーンショット)
  7. ^ OPERATION EGYPT - ANONYMOUS PRESS RELEASE anonnews.org 2011年1月26日
  8. ^ OPERATION EGYPT anonnews.orgによるYouTube上の映像
  9. ^ Hackers Shut Down Government Sites The New York Times 2011年2月2日(英語)
  10. ^ “Online hackers threaten to expose cartel's secrets” (英語). ヒューストン・クロニクル. (2011年10月31日). http://www.chron.com/news/houston-texas/article/Online-hackers-threaten-to-expose-cartel-s-secrets-2242068.php 2012年6月25日閲覧。 
  11. ^ “アノニマス「仲間解放された」 麻薬組織から脅迫つきで” (日本語). 朝日新聞. (2011年11月5日). http://www.asahi.com/international/update/1105/TKY201111050352.html 2011年11月5日閲覧。 
  12. ^ Anonymousが日本政府とレコード協会に“宣戦布告” 違法ダウンロード刑事罰化に抗議 IT media 2012年6月26日閲覧
  13. ^ アノニマス 民主HPも攻撃か 「ダウンロード犯罪にしたから」 東京新聞 2012年6月27日
  14. ^ JASRACのサイトがアクセス集中で一時停止、Anonymousの攻撃との関連性は調査中 INTERNET Watch 2012年6月28日
  15. ^ ハッカー集団「アノニマス」、警視庁本格捜査へ 政府機関など攻撃 SankeiBiz 2012年6月28日
  16. ^ 国際的ハッカー集団アノニマスの日本語ツイートがカワイイと話題に「でもちょっとミスしました。誤爆ごめんな(笑) やっぱり日本語は難しい。」 ロケットニュース24 2012年6月28日
  17. ^ OpJapan Official 2012年6月27日のツイートより

参考文献[編集]

  • パーミー・オルソン「我々はアノニマス 天才ハッカー集団の正体とサイバー攻撃の内幕」(ヒカルランド)

外部リンク[編集]