アドミラール・ゾズーリャ (大型対潜艦)

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アドミラール・ゾズーリャ
Адмирал Зозуля
艦歴
起工 1964年7月26日 A・A・ジュダーノフ記念造船工場
進水 1965年10月17日
竣工 1967年10月8日
所属 ソ連海軍北方艦隊
移籍 1986年10月9日
所属 ソ連海軍バルト艦隊
ロシア海軍バルト艦隊
退役 1994年9月
要目[1]
艦種 大型対潜艦ミサイル巡洋艦
艦型 1134号計画「ベールクト」型
工場番号 791
排水量 基準排水量 5340 t
満載排水量 7130 t
全長 155.6 m
全幅 16.8 m
喫水 6.2 m
機関 主要蒸気ボイラーKVN-98/64 4 基
主要ギヤードタービン機関TV-12 2 基
出力 90000 馬力
プロペラシャフト 2 基
推進用スクリュープロペラ 2 基
発電機 ディーゼル発電機ASDG-500/1 4 基
発電量 500 kWt
タービン発電機TD-750 2 基
発電量 750 kWt
速力 33 kn
航続距離 5000 nmi/14 kn
2400 nmi/32 kn
活動期間 15 日間
乗員 士官 30 名
水兵 282 名
武装 艦対艦ミサイル複合P-35連装発射機KT-72[2] 2 基
艦対艦ミサイルP-35 4 発
高角ミサイル複合M-1「ヴォルナー」[3]連装発射機ZIF-102 2 基
高角ミサイルV-600[4] 64 発
57 mm連装両用砲複合AK-725 2 基
30 mm4砲身高角火砲複合AK-630M 6 基[5]
533 mm5連装魚雷発射管PTA-53-1134 2 基
魚雷エノート-2SET-65 10 発
12連装対潜ジェット爆雷発射機RBU-6000「スメールチ-2」 2 基
対潜ジェット爆雷RGB-60 192 発
6連装対潜ジェット爆雷発射機RBU-1000「スメールチ-3」 2 基
対潜ジェット爆雷RGB-10 48 発
艦載機 Ka-25PLまたはKa-25Ts 1 機
指揮 戦闘情報管制システム「プランシェート-1134」
電探 汎用捜索電探MR-310「アンガラー-A」 1 基
汎用捜索電探MR-500「クリーヴェル」 1 基
水上捜索電探「ヴォールガ」 1 基
音探 MG-312「チターン」
MG-311「ヴィーチェグダ」
航法電探「バイガーチ」 1 基[5]
EW アクティヴ妨害装置「グルズーフA」、「グルズーフB」 8 基
電波技術偵察装置MRP-15-16「ザリーフ」
MRP-11-12
MRP-13-14「オグラーダ」
妨害物質発射複合連装発射機PK-2 2 基
測距 光学電気測距儀MT-45 2 基
FCS P-35管制電探4R-44 1 基
P-35目標指示電探「ウスペーフ-U」 2 基
M-1管制電探4R-90「ヤタガーン」 2 基
AK-725管制電探MR-103「バールス」 2 基
CIWS管制電探MR-123「ヴィーンペル」 2 基[5]
通信 R-613、「グラフィート」、「チュリパーン」他
IFF 識別電探「ニーケリ-KM」
「フローム-KM」

アドミラール・ゾズーリャロシア語:Адмирал Зозуляアドミラール・ザズーリャ)は、ソ連で建造された大型対潜艦большой противолодочный корабль)、のちミサイル巡洋艦[6]ракетный крейсер)である。艦名は「ゾズーリャ海軍大将」という意味で、1958年から1964年のあいだに海軍総司令部長官と務めたF・V・ゾズーリャ海軍大将を讃えたもの[7]1134号計画「ベールクト」で建造された最初の艦であった。

概要[編集]

1965年6月11日ソ連海軍に登録された。同年7月26日レニングラードA・A・ジュダーノフ記念造船工場にて起工、工場番号は791を与えられた。1965年10月17日進水1967年3月30日からバルト海にて海上公試を開始、その後白海へ移動した。

1番艦であったことから試験は念入りに行われ、通常の航海試験のほか、主要兵装である艦対艦ミサイルP-35の発射試験も行われた。P-35の試射では、最大射程の300 kmから最小射程の30 kmまで、目標に対するミサイルの発射試験が実施された。また、艦対空ミサイル複合「ヴォルナー」の試験も実施され、爆撃機Il-28からパラシュートで降下する空中目標へのV-600ミサイルの発射が実施された。両用砲AK-725の射撃試験は、曳航された海上目標に対して実施された。空中目標に対しては2000 mまで、海上目標に対しては3000 mまで、射撃は成功した。魚雷兵装については、速力6 knで潜航中の潜水艦に対し、距離20 から1 発の魚雷を発射する試験が実施された。ついで、潜水艦をソナーで探知し、対潜ジェット爆雷RBU-6000「スメールチ-2」RBU-1000「スメールチ-3」の斉射を浴びせる射撃試験も行われた。また、新しい装備となる艦載ヘリコプターの離着艦試験も実施された。また、同時にヘリコプターを用いた艦への支援任務の試験も実施された。その他、各種試験を1967年10月8日までに終えた。同日、竣工したアドミラール・ゾズーリャは赤旗勲章受章北方艦隊に配備された。

1969年12月1日から1970年6月30日にかけて、軍事作戦遂行のため海外へ派遣され、エジプト軍への軍事支援を行った。1977年8月3日付けで、大型対潜艦からミサイル巡洋艦に類別を変更された。

1986年10月9日付けで二重赤旗勲章受章バルト艦隊に移籍した。1990年から1992年にかけて、クロンシュタットにて修理を受け、近代化改修を実施された。これにより、6 基の30 mm4砲身高角火砲複合AK-630Mが新たに設置され、航法レーダー「ヴァイガーチ」も装備された。

工事を受けている間にソ連が崩壊し、ロシア海軍へ所属が移った。ほかの同型艦はソ連崩壊までに退役していたため、ロシア海軍に所属した唯一の1134号計画型ミサイル巡洋艦となった。

1994年9月には軍艦旗の降納式が催され、現役を退いた。その後、除籍され、武装解除の上で解体された。

脚注[編集]

  1. ^ 特記なき場合、要目はСайт «АТРИНА» • Большой противолодочный корабль пр.1134 «БЕРКУТ» типа «Адмирал Зозуля» (ロシア語)に従う。
  2. ^ KT-35とも。
  3. ^ のち「ヴォルナー-M」。
  4. ^ のちV-601。
  5. ^ a b c 1992年までに装備。
  6. ^ 「ロケット巡洋艦」とも。一語で表した場合、ロシア語ではロケットミサイルの区別がないため。
  7. ^ 「ゾズーリャ」というは、ウクライナ語で「カッコウ」という意味。ソ連海軍では大型対潜艦の計画コードネームに鳥類の名前を与えていたが、1134号計画では艦名にも「カッコウ提督」や「ツグミ海軍中将」が存在していたことになる。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]