アトキンスダイエット

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アトキンスダイエット: Atkins Diet)とは、ロバート・アトキンス博士が考案したダイエット法である。低炭水化物ダイエットケトン式ダイエットローカーボダイエットとも呼ばれる。通常200〜300gである炭水化物の摂取量を20〜40gと非常に少なくし、糖分の代わりに脂肪がエネルギーとして使われる状態に誘導する[1]。肥満のためインスリン抵抗性が高くなり、さらに肥満になりやすくなり糖尿病の発症のリスクが上がっているような状態を「炭水化物中毒」としてダイエット法の対象にしている[2]。アトキンスは、このようにインスリンが大量に出てしまう原因には、砂糖などの単糖類や、白米や白い麺類やパンなど精白された穀物などの「悪い」炭水化物が大量に消費されるようになった時代背景があると考えた[3]

目次

[編集] 歴史

[編集] ブーム

アメリカで一時期ブームとなった。ブームの中、2003年4月17日、アトキンスは転倒による頭の強打によって昏睡状態を原因として死亡した[4]。死亡時に心臓病であり、さらに体重が116kgあったという発言に対し、死亡する9日前には89kgであったと弁明がなされた。通常の食事バランスではないため健康上の問題を巡って激しく議論されていた。2004年にはダイエットの1年後から頭痛や下痢などの炭水化物が少ないことによる副作用もみられ、長期的な安全性は保障できないと報告された[5]。アメリカの調査では2004年2月時点で消費者の9.1%がこの低炭水化物ダイエットを実行していると答えていたが、同じ年の7月には2.1%に急落しており、その後、アトンキンスニュートリッショナルズ社は破産法にもとづき会社更生手続きをとった[6]

[編集] 理論

通常、食事で炭水化物を摂取し血糖値が上がると、膵臓からインスリンが出されて、血糖グリコーゲンに変換し筋肉などに蓄える[7]。そして、運動するときのエネルギーとしてグリコーゲンを使う。さらに、筋肉に蓄える分が一杯になると、今度は中性脂肪として脂肪細胞に蓄える[7]。そして、血糖値が下がる。

しかし、このメカニズムはインスリン抵抗性が高まっていると正常に働かなくなる。肥満になるほどインスリン抵抗性が高まり、インスリンが多く作られ高インスリン血症となる。このため脂肪として蓄えられやすく悪循環になってしまう[8]。また、血糖値が下がり低血糖症になるため、体はエネルギーが足りないと感じ、食欲が出てくる。この状態を「炭水化物中毒」と呼んでいる。インスリンのメカニズムが暴走し、甘いものが見境いなく欲しくなる状態である[9]。また低血糖症の時には気分が優れない。

インスリンをつくりすぎて膵臓が疲れると、インスリンを作れなくなり血糖値を下げることができない糖尿病になる[10]。インスリンの注射が必要になる。

砂糖漬けになり砂糖依存症になっているが摂取しないようにする[11]

炭水化物をほとんど摂取しないようにすると、インスリンが作られず、また血糖というエネルギーがなくなるので、代わりに体内の脂肪が分解されたケトン体をエネルギーとして使うようになる。この血液中にケトン体が増えた状態を「ケトーシス」と呼ぶ。

結果として、体内の脂肪を燃焼しやすい状態となり、脂肪だけを減らす事が出来るという理論である。 たんぱく質脂質にはあまり制限がないが腹八分目がすすめられる[12]

食べものは有機食品有精卵をすすめている[13]

[編集] 方法

[編集] 誘導段階(インダクション)

最初の2週間は導入ダイエットとして炭水化物の摂取量を1日20g以下にする。この状態でケトーシスが簡単に起こる。

このため、炭水化物が10%以上含まれるものは食べることができない。 砂糖の入った甘い飲み物やお菓子やケチャップ、蜂蜜やシロップ、果物、ご飯、パン、麺・パスタ、バナナ、栗、豆の状態を保った豆、芋、芋を使ったフライドポテトやポテトチップスなどは炭水化物が多い。 野菜に含まれる少量の炭水化物を摂取することになる。

カフェイン中毒も断ち切るため、カフェインの入ったものを摂取することはできない。 コーヒー、チョコレート、コーラ、紅茶に多い。

アルコールも摂取できない。

そのため肉や魚、卵、貝、チーズなどで多量のエネルギーを摂取する必要がある。 また栄養のバランスをとるためにサプリメントの摂取がすすめられる[14]

この期間にインスリン抵抗性と低血糖症が改善され、異常な食欲と気分が改善される。

[編集] 減量段階

炭水化物は、1日40g前後が一つの目安だが、実際にはインスリン抵抗性の強さによって個人差が大きい。 体重が増加するまでゆっくり5gずつ炭水化物の量を増やしていく。そして、体重が減る量に炭水化物の摂取量を戻し維持する。 炭水化物を少量摂りはじめることもあるが、玄米などの精白されていない全粒穀物にする。

[編集] 前体重維持段階

目標体重に近くなったら、炭水化物を少し増やしペースダウンさせる。

[編集] 体重維持段階

目標体重になればもうケトーシスの状態は必要ないが、炭水化物は体重が増加しない量に保つ。

炭水化物中毒の状態に戻らないためにも砂糖を使ったもの、お菓子は厳禁となる[15]。ただし、砂糖の代わりにステビアを使ったものはいい[15]ジャンクフードは健康を害するし、炭水化物中毒に戻すので、代償を払ってまで食べるものではない[16]

シロップ、蜂蜜、白米など精白されたもの、果糖や乳糖は禁物となる[17]。 炭水化物は果物や、玄米や蕎麦、オートミールなどを少し取り入れる[18]。魚、豆腐、野菜、豆から組み立てたメニューは健康的だとしている[19]

[編集] 長期間の安全性について

世界保健機関の2007年の報告では、タンパク質の多い食事は腎臓疾患や糖尿病性腎不全を悪化させる[20]。世界保健機関の2003年の報告は、肥満や糖尿病を予防する原因に全粒穀物を挙げている[21]。国際糖尿病連合は、糖尿病の治療には低いグリセミック指数の食品を挙げており、これは全粒穀物などがあてはまる[22]

[編集] 注意点

  • アトキンスダイエットの初期に体重が2-3kg減る。これはグリコーゲンの枯渇によるものであり、体脂肪が減ったわけではない。
  • 新谷弘実はアトキンスダイエットをやってきた人の様相を数多く見てきたがよくないと述べている[23]
  • 高たんぱく質の食事は危険性を考慮する必要がある[24]
  • 高脂肪の食事は「食生活指針」や多くの研究で危険性が指摘されているが、最近の報告では脂肪摂取を控えた群でも特に癌や心疾患を減らすわけではないという逆のエビデンス(証拠、根拠、証言、痕跡)も出てきている。
  • 身体を特殊な状態にするダイエット方法なので、食事メニューを急に通常に戻すとリバウンドしやすいと言われているが、これはどのダイエットでも同じことである。少しずつ炭水化物を増やし、徐々に元に戻していかなければならない。
  • 急激な脂肪分解によりケトン体が生成されるので、内臓を傷めないように大量の水分を摂取して積極的に体内から排出する必要がある。
  • 体臭や口臭がケトン体独特のにおいになることもある。

[編集] 脚注

  1. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。68-69頁。
  2. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。50-54頁。
  3. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。34-35、41-42頁。
  4. ^ Statements on Atkins' death (USA TODAY)
  5. ^ Arne Astrup,Thomas Meinert Larsen,Angela Harper, "Atkins and other low-carbohydrate diets: hoax or an effective tool for weight loss?" Lancet 364(9437), 2004 Sep 4-10, P897-9. (PMID 15351198)
  6. ^ 米国発 野菜・果物レポート 2005年 第8号 (PDF) (日本ベジタブル&フルーツマイスター協会)
  7. ^ a b ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。60頁。
  8. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。61-62頁。
  9. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。51-53頁。
  10. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。62頁。
  11. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。304-305頁。
  12. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。217頁。
  13. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。182頁。
  14. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。105頁。
  15. ^ a b ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。236-237頁
  16. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。238-239頁。
  17. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。239頁。
  18. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。236頁。
  19. ^ ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 2005年6月。ISBN 978-4309280141。230-231頁。
  20. ^ 『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 Protein and amino acid requirements in human nutrition, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007
  21. ^ Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases 2003
  22. ^食後血糖値の管理に関するガイドライン』国際糖尿病連合。
  23. ^ 新谷弘実『病気にならない生き方 3 若返り編』サンマーク出版、2008年1月。ISBN 978-4763197870。37頁。
  24. ^ 食事 152章 栄養の基礎知識 (メルクマニュアル家庭版)

[編集] 参考文献

  • ロバート・アトキンス 『アトキンス式低炭水化物ダイエット』 河出書房新社、2005年6月。ISBN 978-4309280141。原著:Dr.Atkins' New Diet Revolution, 1999
  • ロバート・アトキンス 『アトキンス博士のローカーボ(低炭水化物)ダイエット』 同朋舎、2000年11月。ISBN 978-4810426441

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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