アテモヤ

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アテモヤ
1. アテモヤの果実
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : モクレン類 magnoliids
: モクレン目 Magnoliales
: バンレイシ科 Annonaceae
亜科 : バンレイシ亜科 Annonoideae
: バンレイシ連 Annoneae
: バンレイシ属 Annona
: アテモヤ A. × atemoya
学名
Annona × atemoya Mabb. (1998)[1]
英名
atemoya

アテモヤ: atemoya、学名: Annona × atemoya)は、バンレイシ科バンレイシ属バンレイシ(蕃茘枝、釈迦頭)とチェリモヤを掛け合わせて作出された交雑品種、またはその果実のことである(図1)。果実を食用とし、世界各地で栽培されている。「アテモヤ」の名は、バンレイシのブラジル名である「アテ (ate)」と、チェリモヤ (cherimoya) の「モヤ (moya)」を組み合わせて付けられた[2]。食感や風味がパイナップルに似ていることから、台湾では、鳳梨釋迦(パイナップル + バンレイシ)と呼ばれる[要出典]。「森のアイスクリーム」ともよばれる[3][4][5]

特徴[編集]

半落葉性低木から小高木であり、高さ3–10メートル (m) になる[2]。低温期がある場所では落葉する[2]。葉は互生し、単葉、全縁[2]

花期は3–6ヶ月に及び、その間に2–3回の花のピークがある[2]。例えばオーストラリアでは、初夏と晩夏または初秋に多く花をつける[2]。花は3枚ずつ2輪の花弁をもち、外花弁が大きく厚い[2]

多数の雌しべに由来する多数の果実が合着した集合果であり、球形から卵形、表面は区画に分かれ、各区画は突出または平坦[2](下図2)。

2a. バンレイシ(左)とアテモヤ(右)の果実
2b. アテモヤの果実の断面
2c. 市場のアテモヤ果実

人間との関わり[編集]

アテモヤは、バンレイシA. squamosa)とチェリモヤA. cherimola)を掛け合わせることによって、1908年に米国フロリダ州で作出された交雑品種である[2][3]。現在では米国、イスラエル南アフリカフィリピンオーストラリアで栽培されている[6]

バンレイシよりは低温耐性があるが、チェリモヤよりは低温に弱い[2]。果実生産に最適な花期の気温は22–28°Cである[2]。品種としては‘Mroochy Gold’、‘KJ Pinks’、‘Pink's Mammoth’、‘Gefner’、‘Africn Pride’などがある[2]。病虫害としては炭疽病(Colletrotrichia)、青枯病(Pseudomonas)、黒斑病(Phytophthora)、潰瘍病(Botryodiplodia)、果実腐敗(Gliocladium)、さび病(Phakopsora)、コバチBephrata, Bephratelloides)、カイガラムシハダニなどが知られている[2]

1990年代後期において、アテモヤの生産量が多い国はオーストラリア(3,000トン)、イスラエル(500トン)、アメリカ合衆国フロリダ州(200トン)、ハワイ州(50トン)であった[2]。日本でもわずかに栽培されており、2013年度の日本での生産量は、沖縄県で22.6トン鹿児島県で3.8トンであった[7]。沖縄での収穫期は11月中旬から4月末[4]

完熟前に収穫し、室温で追熟した後に冷やして生食する[4]。果肉はクリーミーで糖度が高く(20–25度)、濃厚な甘みとほのかな酸味がある[5][3][8]。牛乳やヨーグルトと混ぜることもある[4][3]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ Annona × atemoya”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2022年8月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n Janick, J. & Paull, R. E., ed (2008). The Encyclopedia of Fruit & Nuts. CABI. pp. 54–62. ISBN 9780851996387 
  3. ^ a b c d 五明紀春 (2005). “チェリモヤ”. 食材健康大事典. 時事通信出版局. p. 184. ISBN 9784788705616 
  4. ^ a b c d アテモヤ”. 恩納村. 2022年8月17日閲覧。
  5. ^ a b アテモヤ”. 南伊勢町 (2021年7月20日). 2022年8月17日閲覧。
  6. ^ Annona squamosa”. Invasive Species Compendium. CABI. 2022年8月20日閲覧。
  7. ^ アテモヤ”. 旬の食材百科. FoodsLink. 2022年8月17日閲覧。
  8. ^ マイナビ出版編集部 (2021). “アテモヤ”. 【マイナビ文庫】果物図鑑ミニ. Mynavi Publishing Corporation. p. 302 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]