アジア太平洋経済協力

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APEC参加エコノミー
2006年ベトナムでの第14回アジア太平洋経済協力首脳会議のシンボルマーク[1]

アジア太平洋経済協力(アジアたいへいようけいざいきょうりょく、Asia-Pacific Economic Cooperation、略称:APEC[2])は、環太平洋地域における多国間経済協力を進めるための非公式なフォーラム[3]である。

なお、マスコミ等ではアジア太平洋経済協力会議という呼び方がされることも多いが、APECは非公式なフォーラムであって、メンバーを法的に拘束しない緩やかな協力の枠組という性格を持ち[4]、この観点から原語においてもその名称に組織を意味する語が含まれていないため、日本語でも名称に「会議」を含めることは適当ではない。

目次

[編集] 概要

「アジア太平洋」という概念が最初に打ち出されたのは、1967年発足の太平洋経済委員会(PBEC)という産業団体の設立時であるとされるが、具体的にこうした地域概念が政府レベルの協力枠組みに発展する萌芽は、1978年、日本の大平正芳総理大臣が就任演説で「環太平洋連帯構想」を呼びかけたことにある。これを具体化した大平政権の政策研究会「環太平洋連帯研究グループ」の報告を受け、大平が豪州のマルコム・フレイザー首相に提案して強い賛同を得たことが、太平洋経済協力会議(PECC)の設立につながった。PECCは地域における様々な課題を議論し研究するセミナーといった趣のものであったが、これを土台にして、各国政府が正式に参加する会合として設立されたのが、APECである。

APECは、1989年オーストラリアホーク首相の提唱で、日本アメリカ合衆国カナダ韓国オーストラリアニュージーランド及び当時の東南アジア諸国連合 (ASEAN) 加盟6か国の計12か国で発足し、オーストラリアのキャンベラで閣僚会議(Ministerial Meeting)を開催した。また、1993年には米国のシアトルで初の首脳会議(Economic Leaders' Meeting)がもたれた。現在は、首脳会議、及び、外相、経済担当相による閣僚会議をそれぞれ年1回開いている。シンガポールに常設事務局を置き、開催国から任期1年で事務局長が選任されている。 参加しているメンバーは、21カ国・地域で、人口では世界の41.4%、GDP(国内総生産)では57.8%、貿易額では47%を占めている。

APECは、開かれた地域協力によって経済のブロック化を抑え、域内の貿易・投資の自由化を通じて、世界貿易機関(WTO)のもとでの多角的自由貿易体制を維持・発展することを目的としてきたが、近年のWTOの新ラウンドの停滞や自由貿易協定締結の動きの活発化などによって、その存在意義が問われている。

なお、APECには、多くの国から国家として承認されていない台湾や、中国の特別行政区である香港が参加しているため、参加国・地域を指す場合には、「国」ではなく「エコノミー」という語が用いられる[5]。また、国旗国歌の使用は禁止されている[5]。さらに、条約等に基づいて設立された組織ではない非公式なフォーラムであるため、「加盟」等の語も用いられない。

[編集] 参加エコノミー

オーストラリアの旗 オーストラリアブルネイの旗 ブルネイカナダの旗 カナダインドネシアの旗 インドネシア日本の旗 日本アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
マレーシアの旗 マレーシアニュージーランドの旗 ニュージーランドフィリピンの旗 フィリピンシンガポールの旗 シンガポールタイの旗 タイ韓国の旗大韓民国(韓国)
中華民国の旗 中華民国(台湾)[5]中華人民共和国の旗 中華人民共和国香港の旗中国香港(当時は英領)
メキシコの旗 メキシコパプアニューギニアの旗 パプアニューギニア
チリの旗 チリ
ペルーの旗 ペルーロシアの旗 ロシアベトナムの旗 ベトナム

[編集] 経過

  • 1993年11月 - シアトル閣僚・首脳会議(米国):初めての非公式首脳会議が行われ、議長国の米大統領・ビル・クリントンから貿易・投資の自由化促進が示された。
  • 1994年11月 - ボゴール閣僚・首脳会議(インドネシア):2020年までの域内での貿易自由化を打ち出した。
  • 1995年11月 - 大阪閣僚・首脳会議(日本):ボゴール宣言実施のための行動指針(大阪行動指針:OAA)を採択し、13分野にわたる各国の自主性にゆだねる個別行動計画の検討に合意した。
  • 1996年11月 - マニラ閣僚・首脳会議(フィリピン):大統領・フィデル・ラモスの「APECはビジネスだ」の合言葉が強調された。大阪行動指針に基づいて具体的な行動計画(マニラ行動計画:MAPA)が策定された。
  • 2005年11月 - 釜山閣僚・首脳会議(韓国):ボゴール宣言の実施状況を評価し、今後の道程(釜山ロードマップ)を示す中間評価報告書を策定した。
  • 2006年11月 - ハノイ閣僚・首脳会議(ベトナム):釜山ロードマップを実施するための行動計画(ハノイ行動計画)を策定した。
  • 2011年11月 - 12日、13日の両日、アメリカ・ハワイで首脳会議が開かれ、13日に地域経済統合を推進するとした「ホノルル宣言」を採択した。

[編集] APEC首脳会議

2006年ハノイ首脳会議の際に行われた日米韓3か国会議[1]
開催回 開催年 開催日 開催国 開催都市 公式ウェブサイト
第1回 1989年 11月6日11月7日 オーストラリアの旗オーストラリア連邦 キャンベラ
第2回 1990年 7月29日7月31日 シンガポールの旗シンガポール共和国 シンガポール
第3回 1991年 11月12日11月14日 大韓民国の旗大韓民国 ソウル
第4回 1992年 9月10日9月11日 タイ王国の旗タイ王国 バンコク
第5回 1993年 11月19日11月20日 アメリカ合衆国の旗アメリカ合衆国 シアトル
第6回 1994年 11月15日 インドネシアの旗インドネシア共和国 ボゴール
第7回 1995年 11月19日 日本の旗日本国 大阪 [1]
第8回 1996年 11月25日 フィリピンの旗フィリピン共和国 マニラ / サビック
第9回 1997年 11月24日11月25日 カナダの旗カナダ バンクーバー
第10回 1998年 11月17日11月18日 マレーシアの旗マレーシア クアラルンプール
第11回 1999年 9月12日9月13日 ニュージーランドの旗ニュージーランド オークランド
第12回 2000年 11月15日11月16日 ブルネイの旗ブルネイ・ダルサラーム国 バンダルスリブガワン [2]
第13回 2001年 10月20日10月21日 中華人民共和国の旗中華人民共和国 上海
第14回 2002年 10月26日10月27日 メキシコの旗メキシコ合衆国 ロス・カボス
第15回 2003年 10月20日10月21日 タイ王国の旗タイ王国 バンコク
第16回 2004年 11月20日11月21日 チリの旗チリ共和国 サンティアゴ・デ・チレ [3]
第17回 2005年 11月18日11月19日 大韓民国の旗大韓民国 釜山 [4]
第18回 2006年 11月18日11月19日 ベトナムの旗ベトナム社会主義共和国 ハノイ [5]
第19回 2007年 9月8日9月9日 オーストラリアの旗オーストラリア連邦 シドニー [6]
第20回 2008年 11月22日11月23日 ペルーの旗ペルー共和国 リマ [7]
第21回 2009年 11月14日11月15日 シンガポールの旗シンガポール共和国 シンガポール [8]
第22回 2010年 11月13日11月14日 日本の旗日本国 横浜 [9]
第23回 2011年 11月12日11月13日 アメリカ合衆国の旗アメリカ合衆国 ホノルル [10]
第24回 2012年 11月 ロシアの旗ロシア連邦 ウラジオストク [11]

[編集] 台湾首脳の参加問題

APECは政治色を排除し、経済協力に焦点を絞ったフォーラムであるが、中国と中華民国(台湾)の政治的関係を反映し、1991年の台湾の参加時に、台湾からの首脳会議への参加者を経済閣僚または財界指導者に限定するとの慣例が確立され、この慣例を守るべきことが明文化されている[6]

2005年11月の釜山での首脳会議の際にも、台湾は立法院長王金平の出席を予定していたが、中国の抗議や、韓国の拒否により、総統府経済顧問召集人・林信義を代わりに派遣した。しかし、2008年11月のリマでの首脳会議では、台湾からは過去最高クラスの国家元首級となる元副総統連戦国民党名誉主席)が出席し、中国の国家主席胡錦濤と会談を行った。これには、台湾の中国国民党と中国の共産党両党の政治操作という背景があるのではないかという憶測が流されている。

[編集] 脚注

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  1. ^ a b APECでは国旗の使用は禁止されているが、APEC首脳会議に合わせて行われた日米韓3か国会議の際の写真であるため3か国の旗が飾られている。
  2. ^ 読みは「エイペック」であって、「アペック」ではない。[要出典]
  3. ^ GUIDEBOOK ON APEC PROCEDURES AND PRACTICES (PDF) 第4段落
  4. ^ APEC(アジア太平洋経済協力:Asia-Pacific Economic Cooperation)概要
  5. ^ a b c GUIDEBOOK ON APEC PROCEDURES AND PRACTICES (PDF) 第11段落
  6. ^ GUIDEBOOK ON APEC PROCEDURES AND PRACTICES (PDF) 第111段落

[編集] 外部リンク

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