アジアパーク

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アジアパークは、かつて熊本県荒尾市本井手1518番地に存在したテーマパークである。総合保養地域整備法(通称「リゾート法」)に基づいて開園したテーマパークの一つであり、同法の負の部分や、行政の甘い見通し、第三セクターによる安易な経営と、その破綻を象徴付けるテーマパークとされる。

概要[編集]

1990年平成2年)、三井三池炭鉱閉山後の地域経済浮揚策として国、熊本県、民間企業35社が出資して荒尾市に第三セクター「アスク」が設立された。1993年(平成5年)7月21日に、三井グリーンランドに隣接する4.4ヘクタールの炭鉱住宅跡地に約44億円をかけて開園し、同園の運営会社となったアスクも商号を同名に変更した。

テーマパークの目玉は、全長460メートルの水路をボートで遊覧する「アジアクルーズ」で、水路の両岸にタージ・マハルアンコール・ワット万里の長城などのアジア10ヶ国の遺跡や建築物のミニチュアが並んでいた(ミニチュアパーク)。さらに、アジア関連の飲食・物産店、イベントホールなどが並ぶ「アジアモール」が隣接していた。イメージキャラクターは孔雀の「アピア」、イメージソング「アジアン・パラダイス」はタケカワユキヒデが作曲した。

初年度こそは入場者約57万人と好調だったが、2年目以降は来場者が激減。他のテーマパークと比べて施設内容が物足りないためリピーターの確保もできず、1996年(平成8年)に「セガ・ワールド」を誘致したが経営難から脱することができず、2000年(平成12年)8月に約31億円の負債を抱えて閉鎖。運営会社は解散した。

その後、第三セクターアジアパークの清算により、荒尾市が1997年(平成9年)から2007年(平成19年)まで損失補償として公金を投入したことに、住民が同社に出資した当時の荒尾市長に公金の返還を求める訴訟を起こしたが、2004年(平成16年)の熊本地方裁判所、2007年(平成19年)の福岡高等裁判所の判決はいずれも住民側が敗訴している。

閉園後15年間ほどは跡地内にアトラクションのミニチュアが多く残り、かつてあった水路のほとんどは埋め立てられ、木が生い茂り、廃墟の様相を呈してTV番組に取り上げられたり、廃墟マニアの間では有名スポットだったが、2018年頃からは全敷地が駐車場のように完全に更地に整地されているため、かつての廃墟の面影は全く無く、ただ砂利を敷き詰めた広大な平地が広がっているだけである。

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