アジアゾウ

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アジアゾウ
Elephas maximus
アジアゾウの1亜種であるインドゾウ
アジアゾウの1亜種であるインドゾウ
保全状況評価[a 1][a 2]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 EN.svgワシントン条約附属書I
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ゾウ目 Proboscidea
: ゾウ科 Elephantidae
: アジアゾウ属 Elephas
: アジアゾウ E. maximus
学名
Elephas maximus
Linnaeus, 1758
シノニム
Elephas asiaticus Blumenbach, 1797
Elephas indicus Cuvier, 1798
Elephas sumatranus Temminck, 1847
和名
アジアゾウ
英名
Asian elephant
下位分類群
本文を参照

Asian Elephant area.png

動画:アジアゾウ
アジアゾウの調教
画像はゾウの調教を専門的に行うタイの施設で運搬のスキル等を教え込んでいる様子。

アジアゾウ学名Elephas maximus英語名:Asian elephant)は、哺乳綱- ゾウ目(長鼻目)- ゾウ科- アジアゾウ属英語版分類されるゾウ。

11前後のの存在が知られているアジアゾウ属であるが、現生種はアジアゾウ 1のみである(2013年の知見)。

分類[編集]

下位分類[編集]

現生亜種
個体数と棲息域の広さは現生アジアゾウで最大。中国南部に棲息するグループには別亜種と見なす説まであるが、調査は進まず、情報量は乏しい。
絶滅亜種

生物的特徴[編集]

形態[編集]

体長550-640センチメートル[1][2]。尾長100-150センチメートル[2]。体高200-320センチメートル[2]。最大体重6,700キログラム(オス 5,400キログラム、メス 2,720キログラム)[2]。背中が丸く、また最も高い位置にある[1][2]。 鼻の皺はあまり隆起しない[2]。鼻の先端には突起が1つだけある[1]。耳介は小型[2]。前肢のは5本、後肢の蹄は4本[1][2]。 出産直後の幼獣は体重50-150キログラム[2]。メスは上顎門歯(牙)が口外に出ない[1][2]。オスでも多くの個体(約90%)でが口外に出ない[1]

生態[編集]

主に森林に生息する[1][2]。食物を求めて放浪するが、近年では生息地の破壊により季節的な移動でも30-40キロメートルに限られる[1][2]。メスと幼獣からなる群れを形成し、群れに発情したメスがいる場合はオスも加わる[2]

食性植物食で、主にを食べるが木の枝、、樹皮、根、種子果実なども食べる[2]

繁殖形態は胎生。5- 8年(食物が豊富な場合は2- 4年)に1回繁殖する[2]。妊娠期間は615-668日[2]。1回に1頭の幼獣を産む[2]。授乳期間は2年[2]。メスは生後9年で性成熟した例もあるが、生後17-18年で初産を迎える個体が多い[2]。寿命は60-80年と考えられている[2]

分布[編集]

現生は、インド亜大陸スリランカインドバングラデシュネパールブータン[1][2]インドシナ半島(ラオス、ミャンマー、マレー半島タイカンボジアベトナム[1][2]中国大陸南端部(中華人民共和国南端部〈雲南省シーサンパンナ・タイ族自治州思茅区臨滄市〉)、インドネシアスマトラ島およびボルネオ島[1][2]に分布しているが[a 2]古代以前は、北は中国大陸北部(河北)、西は西アジアまで、今日より遥かに広く地域が棲息地であった。

人間との関係[編集]

神話などにも登場し、21世紀にも地域によっては白変種個体神聖化されたり宗教的儀式において利用されている[1][2]。 約4000年前から象牙として利用されている[2]。古より今に至るも中国では骨灰胃薬になると信じられ続けている[2]。約5500年前にはインダス川流域で運搬などに使役され、約3000年前から戦争の道具として利用されることもあった[1][2]

開発による生息地の破壊、牙用や薬用、使役用の乱獲などによって生息数は減少している[1][2]1995年における生息数は35,490- 49,985頭と推定されている[2]

整地での運搬労働力として、現代でも重機の代用として有用であり、東南アジア地域の震災復興において重機の代わりに派遣された。

繁殖[編集]

ヨーロッパ動物園及びサーカスにおいて、1902年1992年の90年間に121頭が誕生、内34頭は1982年~1992年の10年間に誕生している。内48頭は、早産又は母親が原因となった事故等で死亡している。[3]

北米の動物園では、1880年1996年の116年間で104頭が誕生、内34頭が1年以内に死亡している。[3]

世界的に、人工飼育下での出産率は0.7%程度と言われている。[3]内、日本で繁殖した例は以下のとおり。

出生日 出生場所 性別 名前 備考
2004年3月2日 神戸市立王子動物園 メス モモ 2005年4月25日死亡。
2007年5月3日 市原ぞうの国 メス ゆめ花(ユメカ)
2007年10月21日 神戸市立王子動物園 オス オウジ 2012年4月7日死亡。
2011年9月17日 豊橋総合動植物公園 メス マーラ
2012年10月14日 富士サファリパーク メス ガーム[4]
2013年1月29日 東山動植物園 メス さくら[5]
2013年5月26日[6] 九州自然動物公園アフリカンサファリ オス チョイ
(サワッディチョイ)[7]
2013年9月3日[8] 市原ぞうの国 メス りり香(リリカ)[9]

また、海外では人工授精での繁殖に成功している。1975年頃から試みが始まり、1999年11月26日アメリカのディッカーソンパーク動物園で初めて出産に成功した。新生児の体重は171kgで、それまでの新生児の中では最大であった。[3]

その後、アメリカ、オーストラリア[10]イギリスチェコイスラエルドイツ、タイ[11]で成功例があり、現在では25例以上の実績がある。[3]

繁殖の切り札として期待は大きいが、発情期を特定し、オスからの採精やメスに人工授精するための訓練を必要とするなど、課題も多い。[3]

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ〈4〉インド、インドシナ』 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社2000年7月、30-36頁、149-150頁。ISBN 4062687542 ISBN-13 978-4062687546。
  • 『小型草食獣』4、今泉吉典監修、D・W・マクドナルド編、平凡社〈動物大百科〉、1986年9月、8-16頁。ISBN 4-5825-4505-X ISBN-13 978-4-5825-4505-0。
  • 實吉達郎 『アフリカ象とインド象―陸上最大動物のすべて』 光風社出版1994年10月、306頁。ISBN 4-8751-9758-6 ISBN-13 978-4-8751-9758-4。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  1. ^ CITES homepage
  2. ^ a b The IUCN Red List of Threatened Species
    • Choudhury, A., Lahiri Choudhury, D.K., Desai, A., Duckworth, J.W., Easa, P.S., Johnsingh, A.J.T., Fernando, P., Hedges, S., Gunawardena, M., Kurt, F., Karanth, U., Lister, A., Menon, V., Riddle, H., Rubel, A. & Wikramanayake, E. 2008. Elephas maximus. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.