アシスタントディレクター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アシスタントディレクター(Assistant Director, AD)は、放送・映画業界等における、演出部の職種。演出部のチーフであるディレクターの下に位置する。助監督・演出補・演出助手・演出補佐などと呼ばれることもある。
目次 |
[編集] 概要
所属・雇用形態も様々。放送局・番組制作プロダクション・関連職種の派遣会社などに所属して現場に振り向けられるのが一般的だが、フリーランスとして番組制作チームに所属するケースもある。
[編集] テレビの場合
職務内容は多岐にわたる。ディレクターから直接に詳細な指示を受けて動く場合もあるが、それ以外にディレクターの演出意図を読み取って自発的に行動しなければならないことも多い。そのような経験を積むことで、演出について学ぶ時期であると位置づけられている。ただし、大変ハードな職種であり、特に放送局勤務でないアシスタントディレクターの場合、もともと薄給の上、長時間勤務にもかかわらず残業代が出ないことも珍しくない。さらには映像業界は多分に体育会的な体質を持つところでもあるため、時にはいじめやパワーハラスメントも発生することもある。報道被害と共にマスコミの人権意識の低さの表れとされている。
1つの事例として、勤務時間は朝8時から夜中の1時までで、24時間勤務も週1、2回あった。徹夜で働いた後も家には帰れず、昼まで仮眠を取った後に仕事を再開、仮眠時間は4、5時間程度という過酷なものであったという。このような過酷な労働実態から、アシスタントディレクターの在職期間の平均は1年7カ月と極めて短い[1]。
[編集] ラジオの場合
ラジオ番組は少人数で制作することができるため、番組スタッフは複数の業務(放送作家・ミキサー(エンジニア)・デスク等)を兼務することが多い。 また番組規模によってスタッフの人数も変わるためアシスタントディレクターの業務内容は必ずしも明確ではないが、ディレクターと同じ業務遂行能力が求められるため、テレビとは違った高い専門性が要求される。 なお放送時間が1時間未満の番組・インターネットラジオ番組にはアシスタントディレクターが置かれていないことが多い。 身分は、放送局社員・ラジオ番組制作会社の社員・どこにも所属しない者と様々である。
- ワイド番組・帯番組や、ディレクターが複数の番組を担当しているため1つの番組に注力しづらい場合に、ディレクターの業務補助を目的としてアシスタントディレクターが置かれる。
- 帯番組の生ワイド番組では、曜日ごとの担当ディレクターが置かれる。大型番組の場合は、その下にアシスタントディレクターが置かれる。
- 通常ディレクター業務を行っている者でも、別の番組においてその番組のディレクターの配下に入るときに、アシスタントディレクターを名乗る。
体育会的な体質を持つ業界ではあるが、テレビ業界ほどハードではないとされている。
[編集] 主たる職務(例示)
[編集] テレビの場合
バラエティとドラマにおいては職務内容が若干違う。ドラマの場合は演出面に専念させるのが一般的。
- 取材の手配
- バラエティーの場合、取材先への交渉と確保、出演者(タレントや素人など)の手配、ロケーションの交通機関や宿の予約など。最終的な取材先の決定はディレクター権限だが、その候補のリストアップはアシスタントの仕事である。
- ドラマの場合は監督の意向を受けロケーションに関する手配は制作部やロケーション担当が行い、出演者の手配はキャスティング担当やプロデューサーが行う。ただし、脇役やエキストラに関しては助監督が決定する場合が多い。
- 機材の手配
- バラエティーの場合、撮影機材やロケーションの技術スタッフの手配、編集室の予約、完成したテープの納品作業などを行う。また、編集に伴うデータ起こしなどの作業を行う場合もある。
- ドラマの場合は、技術スタッフや美術スタッフ、ポストプロダクションなど、監督の意向を元にプロデューサーが決定する。
- 撮影現場での指揮代行
- あまり重視されていないロケーションでは、ディレクターが取材現場に行かず、あらかじめ指示された取材意図に基づいてディレクターを代行する場合もある。
- バラエティの場合、このケースでは「アシスタントディレクター」とは呼ばず「第二班ディレクター」などと呼ばれる場合もある。
- スタジオ撮影でのフロアディレクター
- スタジオ撮影がある場合にはディレクターは副調整室にいることが多く、実際に撮影が行われるカメラ周辺(フロア)での指示出し作業はアシスタントディレクターが行うことが多い。
- バラエティの場合、フロアディレクターは、必ずしもアシスタントディレクターの職務とは限らず、スタジオ撮影の際だけに参加する専業のフロアディレクターもいる。
- その他の雑用
- ロケ中や編集中の食事・飲み物の手配や買出し、ロケ現場での車止め・人止めや掃除など、様々な雑用を行う。
- ドラマの場合は、ロケ中の雑用は制作部が、編集中の雑用はアシスタントプロデューサーや仕上げ進行が行うのが基本だが、人によっては手伝うこともある。特殊な例ではゲーム番組の出演者の手伝いをすることも。
[編集] ラジオの場合
前述の通り、番組規模によって役割が変わるため必ずしも明確ではない。
- 企画発案
- ディレクター・構成作家・パーソナリティらと共同で行う。
- 構成台本の制作
- 構成作家を置かない番組では、構成台本を作成する。
- 投稿ハガキ・FAX・メールの選別
- 投稿の粗選びを行う。なお放送中に寄せられた投稿については、パーソナリティが内容を吟味する時間が無いため、アシスタントディレクター・構成作家が採用・不採を決定する。
- 選曲・CDプレイヤーの操作
- 番組の雰囲気を左右するものであるため選曲のセンスが要求される。また番組中で話題になった曲があれば、すぐにかけられるように用意する。
- 生中継・録音番組のディレクション
- 現場ディレクターとして、ディレクション・編集業務を行う。
- ディレクター業務の代理
- ディレクターが休暇・出張等で不在の場合、代理で番組のディレクションを行う。
- 雑用
- 番組に直接関係の無い雑用(お茶くみ・ノベルティグッズの発送等)は制作デスクが担当する。制作デスクをおかない場合はアシスタントディレクターの業務となる。
[編集] 脚注
- ^ テレビ業界で何が起きているのか? ADの離職事情 Business Media 誠 2009年6月23日

