アカメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
アカメ
Japanese lates -Himeji-2.jpg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: アカメ科 Latidae
: アカメ属 Lates
: アカメ L. japonicus
学名
Lates japonicus
Katayama et Taki, 1984
和名
本文参照
英名
Japanese lates
頭部
赤目

アカメ(赤目、: Japanese lates、学名 Lates japonicus )は、スズキ目・アカメ科に分類される魚の一種。西日本太平洋岸だけに分布し、河口などの汽水域によく侵入する大型の肉食魚である。

別名[編集]

別名はメヒカリ(徳島県)、ミノウオ(高知県)、マルカ(宮崎県)、カワヌベ(志布志湾沿岸)、オキノフナ、オキノコイ(種子島・屋久島)など。なお、「アカメ」はキントキダイ類の方言呼称など他の魚を指すことがあり注意を要する。

特徴[編集]

成魚は全長1mを超える大型魚である。成魚の体は一様に銀白色で、背中側はやや灰褐色がかっている。一方、幼魚は黒褐色で額に黄白色の縦線、体側にも黄白色の横しまや斑点があり、成魚とは外見が異なる。顔つきはスズキに似るが、背中が大きく盛り上がっていて体高が高い。は通常は他の魚と同様に黒いが、暗い場所で光を反射すると角度によってはく光り、「赤目」の和名もここに由来する。

近縁種にバラマンディ L. calcarifer がいるが、バラマンディの目も赤く光る。またアカメの臀鰭は2番目の棘条が一番長いのに対し、バラマンディでは3番目の棘条が一番長い。アカメとバラマンディはかつて同一種とされたこともあったが、片山正夫と多紀保彦によって1984年に別種として記載された。

生態[編集]

黒潮に面した西日本太平洋沿岸域だけに分布する日本固有種である。種子島屋久島から静岡県まで記録があるが、おもな分布域は宮崎県高知県である。

成魚は沿岸の浅いに生息するが、河口や内湾の汽水域に頻繁に侵入することが知られる。これは餌を探す他にも、浸透圧が低下する汽水域で体についた寄生虫を弱らせて落とす目的もあると考えられている。食性は肉食性で、おもに小魚を捕食する。アカメは夜行性で警戒心も強く、夜や雨の日に汽水域へ侵入することが多い。

産卵についてはよくわかっていないが、に海域で産卵するとみられる。稚魚は汽水域に集まり、コアマモなどが生えた藻場で生活する。稚魚や幼魚は藻場で頭を下にしてとどまる習性があり、小魚や甲殻類を捕食して成長する。

釣り定置網などで漁獲され食用になる。身は白身で、刺身塩焼きなどで食べられる。また、大型肉食魚だけに釣りの対象としても人気が高い。

保全状態評価[編集]

絶滅危惧IB類(EN)環境省レッドリスト

Status jenv EN.png

分布が狭く生息数も少ないため各地で保護活動が行われている。しかし希少価値があるために稚魚が密漁される他、環境汚染や海辺の開発などで稚魚の生息地となる藻場も消失している。環境省レッドリストでは1991年版で「希少種」、1999年版では「準絶滅危惧(NT)」だったが、2007年版では2段階上がり「絶滅危惧IB類(EN)」として掲載された。

また2006年には、宮崎県が指定希少野生動植物の一種としてアカメを指定し、捕獲などを禁止した。これはニホンカモシカ等と同じ扱いである。

地方版レッドリストカテゴリー[編集]

  • 徳島県:準絶滅危惧 (NT)
  • 愛媛県:情報不足 (DD)
  • 高知県:絶滅危惧IA類 (CR)
  • 大分県:情報不足
  • 宮崎県:絶滅危惧II類

近縁種[編集]

アカメ属 Lates[編集]

アカメ属 Lates

バラマンディ (Barramundi) L. calcarifer (Bloch, 1790)
ペルシア湾からインド洋沿岸部を経て東南アジア台湾オーストラリア北部沿岸まで広く分布する。分布域では重要な食用魚の一つである。
ナイルパーチ (Nile perch) L. niloticus (Linnaeus, 1758)
全長193cm、体重200kgの記録がある大型魚。アフリカ熱帯域の塩湖、汽水域に分布する。食用魚としてアフリカ各地の放流されているが、同時に生態系へ大きな影響を及ぼし問題となっており、特にヴィクトリア湖では固有種が激減している。IUCNの「世界の侵略的外来種ワースト100」に選定されている。日本にも輸入され、環境省による要注意外来生物にリストアップされている。[1]

アカメモドキ属 Psammoperca[編集]

アカメモドキ属 Psammoperca

アカメモドキ (: Waigeo seaperch、学名:Psammoperca waigiensis) (Cuvier, 1828)
全長45cmほどまでで、アカメよりは小型。分布域はバラマンディとほぼ同様だが、日本の南西諸島にも分布する。海藻の多い岩礁域やサンゴ礁に生息するが、汽水域にも侵入する。

参考文献[編集]

  • 三浦知之『干潟の生きもの図鑑』南方新社 ISBN 978-4-86124-139-0
  • 岡村収・尼岡邦夫監修 山渓カラー名鑑『日本の海水魚』(アカメ科解説 : 宮原一)ISBN 4-635-09027-2
  • 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』(アカメ解説 : 木下泉)ISBN 4-635-09021-3
  • 鹿児島の自然を記録する会編『川の生き物図鑑 鹿児島の水辺から』(魚類解説 : 四宮明彦・米沢俊彦)南方新社 ISBN 4-931376-69-X
  • Katayama, M. & Y. Taki. Lates japonicus, a new centropomid fish from Japan. Japanese Journal of Ichthyology(魚類学雑誌), 30 : 361-367. 1984.(原記載)
  • 木下泉・岩槻幸雄 アカメ. 日本の希少な野生水生動物に関する基礎資料 (III):103-106. 1996. 日本水産資源保護協会.
  • Iwatsuki, Y., K. Tashiro and T. Hamasaki. 1993. Distribution and fluctuations in occurrence of a Japanese centropomid fish, Lates japonicus. Japan. J. Ichthyol., 40(3): 327-332.
  • Iwatsuki, Y., K. Tashiro, M. Endo and H. Ono. 1994. The matured female of the Japanese centropomid fish from the Oyodo River estuary, Miyazaki Prefecture. Bull. Fac. Agri., Miyazaki Univ., 41(1): 11-14.
  • 鍋島靖信・安部恒之・日下部敬之・山本圭吾・波戸岡清峰 1994. 大阪湾でアカメがとれた.Nature Study 40(3): 2-4.
  • 田代一洋・岩槻幸雄. 1995. アカメの飼育における成長と摂餌特性.日本水産学会, 61(5): 684-688.
  • Lates japonicus - Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2008.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version(09/2008).
  • NHKダーウィンが来た!DVDブック36号「四万十川に潜入!巨大魚アカメ」, 朝日新聞出版,(2011)
  • Tanoue, H., T. Komatsu, T. Tsujino, I. Suzuki, M. Watanabe, H. Goto, and N. Miyazaki. 2012. Feeding events of Japanese lates Lates japonicus detected by a high-speed video camera and three-axis micro-acceleration data-logger. Fish. Sci., 78:533-538.