アウトサイダー (映画)

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アウトサイダー
The Outsiders
監督 フランシス・フォード・コッポラ
脚本 キャスリーン・ローウェル
原作 S・E・ヒントン
製作 グレイ・フレデリクソン
フレッド・ルース
製作総指揮 フランシス・フォード・コッポラ
出演者 C・トーマス・ハウエル
マット・ディロン
ラルフ・マッチオ
音楽 カーマイン・コッポラ
撮影 スティーヴン・H・ブラム
編集 アン・ゴアソード
製作会社 アメリカン・ゾエトロープ
配給 アメリカ合衆国の旗 ワーナー・ブラザーズ
日本の旗 東宝東和
公開 アメリカ合衆国の旗 1983年3月25日
日本の旗 1983年8月27日[1]
上映時間 91分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 $25,697,647[2]
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アウトサイダー』(The Outsiders)は、1983年に公開された米国の青春映画。当時、米国で人気のあったYA(ヤング・アダルト)小説のベストセラーとなったS・E・ヒントンの同名小説(日本語訳は集英社コバルト文庫刊)をフランシス・フォード・コッポラが映画化した[1]。『ランブルフィッシュ』、『コットンクラブ』と続く、コッポラのYA三部作の第一作であり、マット・ディロンは本作に続き『ランブルフィッシュ』に、紅一点のダイアン・レインは三部作すべてに出演した[1]。主役を演じたのはC・トーマス・ハウエルであり、それ以外に、後にYAスター(ブラット・パック)と呼ばれることになるロブ・ロウ[3]トム・クルーズ[4]ラルフ・マッチオといった若手人気俳優が出演した[5]

ストーリー[編集]

オクラホマ州タルサでは、貧困層の若者のグループ「グリース」と、富裕層のグループ「ソッシュ」が対立していた。

「グリース」のダラスは施設帰りで、常にタフガイとして振る舞っていた。ポニーボーイは両親を失い、兄2人と共に生活している。ジョニーは「ソッシュ」のメンバーに殴られた時の傷が残っている。3人はドライブインシアターに潜り込み、チェリーと出会う。彼女は「ソッシュ」の仲間だったが、ポニーボーイ達に興味を持つ。帰り道、「ソッシュ」のメンバーが現れて一触即発となるが、チェリーの仲裁で喧嘩にはならなかった。その後、ジョニーは両親の喧嘩が嫌で家に帰らず、ポニーボーイと一緒に空き地で過ごす。帰りが遅くなったポニーボーイは、長兄ダリーにきつく叱られたため家を飛び出し、ジョニーと公園に行く。そこで2人は「ソッシュ」に絡まれ、リンチにかけられたポニーボーイを助けようとしたジョニーが、「ソッシュ」のメンバーのボブを刺殺してしまう。

ダラスのアドバイスで、ポニーボーイとジョニーは街から逃げ、古い教会に身を潜めた。2人は読書やトランプをしながら日々をやり過ごす。ポニーボーイは、美しい朝焼けを見ながら、ロバート・フロストの詩を暗唱した。「黄金の色はあせる」。ある日、ダラスが教会を訪れ、3人で外出。その間に、教会に子ども達が来ていたが、教会が火事になってしまう。ポニーボーイとジョニーは、取り残された子ども達を助けるため、ダラスの制止を振り切って、燃える教会へ走る。ダラスの協力もあって子ども達は救出されたが、ジョニーは重傷を負った。

「グリース」の不良少年が英雄になったというニュースは、タルサで知れ渡る。「ソッシュ」のランディも戸惑いを覚え、仲間に聞かれないよう車の中にポニーボーイを誘い、腹を割って話す。一方、ジョニーの体には障害が残り、かつては自分の境遇を嘆き自殺したいと思っていたジョニーが、ポニーボーイに「死にたくない」と語る。

「ソッシュ」の決闘を前にして、ポニーボーイはチェリーと会う。彼女は、ポニーボーイへの好意と、ボブを殺したジョニーを憎む気持ちで揺れ動いていた。両グループの決闘には、教会で負った怪我が完治していないダラスも駆けつけ、激しい喧嘩の末「グリース」が勝つ。しかし、ダラスとポニーボーイがジョニーの病室に行くと、ジョニーはダラスに「喧嘩はよせ」、ポニーボーイに「Stay gold」と言い残して息を引き取る。

ジョニーの死に激しいショックを受けたダラスは、日頃のようにタフな振る舞いもできず、ポニーボーイは悪い予感を抱く。そして、自暴自棄になったダラスは、衝動的に強盗をしてしまい、警官に射殺される。ポニーボーイは、ジョニーが残した手紙を読む。ジョニーは、子ども達のために自分が犠牲になったことを後悔せず、子どもはみな黄金で、その心を持ち続けてほしい、ダラスにもそれを分かってほしいというジョニーの気持ちが綴られていた。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
ソフト版 フジテレビ
ポニーボーイ・カーティス C・トーマス・ハウエル 野島健児 岡本健一
ダラス マット・ディロン 伊藤健太郎 杉本哲太
ジョニー ラルフ・マッチオ 保志総一朗 中原茂
ダレル(ダリー)・カーティス パトリック・スウェイジ 置鮎龍太郎 野島昭生
ソーダポップ・カーティス ロブ・ロウ 坂詰貴之 中尾隆聖
ツー・ビット エミリオ・エステベス 高木渉
スティーヴ トム・クルーズ 花輪英司
ティム グレン・ウィスロー
チェリー ダイアン・レイン 魏涼子 平野文
ボブ レイフ・ギャレット 樫井笙人
ランディ ダレン・ダルトン
マルシア ミシェル・メイリンク
バック トム・ウェイツ 小原雅一
ジェリー ゲイラード・サーテイン
少女 ドミノ
看護師 S・E・ヒントン

製作[編集]

フランシス・フォード・コッポラは、ある高校生の勧めで小説を読み、この作品は若者だけのためではなく青春を過ごしたすべての人々のためだと確信したという[6]。撮影は原作の舞台であり、原作者であるS・E・ヒントンの出身地でもある、オクラホマ州タルサで行われた[7]。前作『ワン・フロム・ザ・ハート』の失敗で自らのスタジオを売却することになったコッポラは、再起を目指して撮影を行った[1][8]。主役を演じたC・トーマス・ハウエルは、3,000人のオーディションの中からコッポラが選んだ[9]ロブ・ロウは撮影中、映画の勉強として黒澤明のファンであるコッポラから、毎週のように『七人の侍』を見せられたという[10]。コッポラの娘、ソフィア・コッポラ[11]、ヒントンも端役で出演した[1]

主題歌「ステイ・ゴールド」は、カーマイン・コッポラ作曲、スティーヴィー・ワンダーが作詞と歌を担当した[12]

日本での公開は1983年8月27日であり[1]、字幕は戸田奈津子が担当した[要出典]。主人公と同じティーンエージャー向けに、ジョニーが最期に残した台詞「Stay gold」をどう訳すかという公募があった[13]

2005年、未公開シーンを大幅に加え、サウンドトラックも一新した113分のディレクターズカット版が製作され、タルサでプレミア公開された[7]

評価[編集]

公開直後の朝日新聞の批評記事では、中途半端でどうしようもないシロモノだとされ、カーマイン・コッポラの音楽を含めて酷評された[8]。読売新聞は、型通りのストーリー展開であり、最後に死んだジョニーの顔がクローズアップでオーバーラップして現れるという、昔のハリウッド映画でよく見られた手法が使われるなど、定石を守って手堅くできた映画だとした[9]

垣井道弘は、自身の好きな映画の一つであり、ジョニーの台詞が印象に残っているといい、おかむら良はスティービー・ワンダーが歌った主題曲の歌詞がよくて感動したとしている[14]。フランスの雑誌『GQ』は、フランシス・フォード・コッポラが監督した知名度の低い傑作5作の一つに選んだ[15]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f “若者の苦悩やさしく コッポラの新作「アウトサイダー」_映画”. 朝日新聞. (1983年8月29日) 
  2. ^ The Outsiders”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2013年5月8日閲覧。
  3. ^ 細木信宏 (2012年5月27日). “「ザ・ホワイトハウス」のロブ・ロウ、クライアントがスキャンダルに追われる選挙コンサルタントを熱演!”. シネマトゥデイ. 2012年6月6日閲覧。
  4. ^ 渡辺祥子 (2000年2月25日). “【イブニングマガジン】映画「マグノリア」 トム・クルーズの魅力”. 産経新聞 
  5. ^ “西部劇夢見る20歳 米の人気俳優T・ハウエル来日”. 読売新聞. (1987年2月20日) 
  6. ^ “[広告]アウトサイダー テックス ふたり物語 集英社文庫”. 読売新聞. (1983年6月18日) 
  7. ^ a b WorldPremiereTulsa2005”. 2012年6月6日閲覧。
  8. ^ a b “米「アウトサイダー」_映画評”. 朝日新聞. (1983年9月13日) 
  9. ^ a b “[スクリーン]「アウトサイダー」 青春への郷愁切々”. 読売新聞. (1983年8月30日) 
  10. ^ “映画「マスカレード/甘い罠」で好演の二枚目ロブ・ロウが来日”. 読売新聞. (1988年5月16日) 
  11. ^ “「ゴッドファーザーPART3」 主人公に米国の姿投影 コッポラ監督父娘来日”. 読売新聞. (1991年2月20日) 
  12. ^ スティーヴィー・ワンダーのオリジナル・アルバムには未収録で、『スティーヴィー・ワンダー・グレイテスト・ヒッツ』等のコンピレーション・アルバムで聴くことができる。
  13. ^ 重田サキネ (2007年1月12日). “<映画の言霊>アウトサイダー*「いつまでも黄金のままでいろ」”. 北海道新聞 
  14. ^ 垣井道弘、おかむら良 (2003年11月20日). “【垣井道弘&おかむら良のシネトーク】”. 産経新聞 
  15. ^ 仏誌が選ぶF・コッポラ監督の知名度の低い傑作5本”. 映画.com (2012年4月30日). 2012年6月6日閲覧。

外部リンク[編集]