アイスフォール

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ルーズベルト氷河のアイスフォール(中央), ベーカー山, ワシントン, U.S.

アイスフォールは、一部の氷河に存在する、速い流れとカオス的なクレバスで特徴付けられる場所のことである。氷河底が急勾配になっているか、狭くなっている場所に生じる。アイスフォールという言葉はウォーターフォール(滝)という言葉の類推から生まれた。

ほとんどの氷河は年間数百メートルかそれ以下の速さで流れる。しかし、アイスフォールの氷の流れは年間数キロメートルと測定されることもある。そのような速い流れでは、氷は塑性変形だけで流れることはできない。代わりに、氷はクレバスを形成しながら砕け、交差する氷の裂け目によって氷柱やセラックが形作られる。それらの過程は多くの場合感知できないが、セラックは気温が上昇せずとも突然倒れたり崩壊することがある。その挙動はアイスフォールを登る登山家にとって大きなリスクとなる。

アイスフォールの下流では、氷河底は平らになるか広くなり、氷の流れは遅い。クレバスは閉じ、氷河面は滑らかになり、横切ることが容易になる。

ランバート氷河に流れ込むアイスフォール、南極.

アイスフォールには様々な高さものがある。アメリカカスケード山脈ベーカー山北面にあるルーズベルト氷河アイスフォール(右の写真)は約730mの高さがある。このアイスフォールの左側にある、氷河を覆う堆積物の上にある氷の崖は、20から40メートルある。山岳氷河の特徴として、このアイスフォールは、氷が高原や窪地の蓄積域から、低地の谷の消耗域に流れるときに生じる。より大きいアイスフォールは大陸氷床の溢流氷河に見られることがある。南極のランバート氷河に流れ込むアイスフォール(左の写真)は7kmの幅で14kmの長さを持つが、標高差は400mだけで、ルーズベルト氷河アイスフォールの半分強しかない。

アイスフォールは登山の対象となることもある。ある場合には、アイスフォールは唯一の登攀可能なルートとなることもあるし、最も容易なルートとなることもある。1つの例はエベレストの標高約5500m地点にあるクーンブ・アイスフォールで、これはエベレストのネパール側ノーマルルートの一部となっている。

エベレストのクーンブ・アイスフォール


参考文献[編集]

  • Post, Austin; Edward R. LaChapelle (May 2000) [1971]. Glacier Ice (Revised edition ed.). Seattle, Washington: University of Washington Press. pp. 18–21. ISBN 0-295-97910-0.