ツイストペアケーブル

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より対線 から転送)

ツイストペアケーブル(Twisted pair cable、ツイステッドペアケーブル)は、撚り対線(よりついせん)とも言い、電線を2本対でより合わせたケーブルである。単なる平行線よりノイズの影響を受けにくい。TPケーブルと言う場合もある。イーサネットの特にLANでの配線に主に使われている。

本ページでは主にイーサネット用ケーブルについて説明する。最後にオーディオ信号用ケーブルについての説明がある。

ノイズ除去の仕組み

目次

[編集] 歴史

1990年頃、イーサネットが大企業などに本格的に利用が始まるには、10BASE-2や10BASE-5の同軸ケーブルに代わってカテゴリー3レベルのUTPを使う10BASE-T規格が必要であった。当初、イーサネットが普及し始めた頃に10BASE-Tを使う場合はカテゴリ3のケーブルであった。日本国内では、10BASE-Tによるイーサネット接続が一般家庭・中小企業にも普及し始めたのは1990年代中頃であり、すぐに100BASE-TXが登場したために、パソコンショップ等の一般消費者向けの店頭でもカテゴリ3のものが見られる時期はごく短かった。LANとLANケーブルが普及してケーブルが初めて敷設される段階で既に、カテゴリ5のケーブルが用いられた。その結果1998年頃から普及価格帯に降りてきた100BASE-TXを、ハブLANボードの交換だけで利用できることにつながり、移行にかかる手間やコストを大幅に削減しながらも高性能を得ることができた。

[編集] UTP

シールドが施されていないツイスト・ペア・ケーブルをUTP(Unshielded Twisted Pair、アンシールデッド・ツイステッド・ペアー)ケーブルと言い、電話線やイーサネットなどで使われる。取り回しが簡単で安価なため、特に高速伝送を求められないイーサネットのLAN用途に標準的に使用されている[1]

[編集] STP

UTPに対し、電線対にシールドが施されたものをSTP(Shielded Twisted Pair、シールデッド・ツイスト・ペアー)ケーブルという。これらはノイズが非常に多い工場内や野外、少しでも高い通信速度が必要とされる場面(例:1000BASE-CX)で使われる。またヨーロッパではSTPが主流であり、UTPはあまり普及していない。

STPを使用する際は接地の必要があるため、ハブなどもSTP対応機器を用いる必要がある。接地については、通信興行 > 技術情報 > 資料集 > LAN工事上の問題点・ノウハウのページにある資料に詳しく書かれている。

カテゴリー5対応STPなどでは1重、カテゴリー7(規格策定中)では2重シールドが施されている。

[編集] STPの問題点

STPのコネクタの外側には、ケーブルシールドに接続されたメタルシールドがあり、STP用の機器のRJ-45ジャックに装備されている信号シールドに接地されるが、STPに正式対応していないUTP用の機器類にSTPケーブルを使うとかえって問題が起きる可能性がある。シールドをきちんと接地しなければ逆にノイズが乗ってしまうという性質があり、一般に使用する際には、UTPと比較して、またSTPの安易な紹介・宣伝記事に対しても、より注意が必要である。

STPケーブルはシールドそのものでだけでなく、銅電線が太い場合や、内部にスペーサー等が含まれているものがあり、UTPケーブルと比べて太いことが多かった。 しかしカテゴリー6以降はUTPでもセパレーターが必須になり、また銅線が太くなっていることなどから最新のカテゴリー6AケーブルではSTPの方が細くなっている。

高速伝送用のSTPケーブルは以下の点で問題があるため、一切の電気的ノイズが混入しない光ファイバー・ケーブルが使われることが多くなっている。

  • UTPに比べてやや高価格
  • 周波数の限界

[編集] 技術

[編集] ノイズの原因

信号ケーブルであるツイステッド・ペアー・ケーブルは、ノイズ混入を避ける事が最大の技術的課題である。ノイズの混入ルートは2つあり、内部からのノイズと外部からのノイズである。

内部ノイズ

漏話
特に大きな問題となる混入原因は、他の銅線に流れる信号が作る電磁誘導によって引き起こされる「漏話」(クロストーク)である。周波数が高くなると、電磁誘導の効果も高くなり漏話が起き易くなる。
反射
周波数が高くなると銅線の交流抵抗、つまりインピーダンスの変化している箇所で反射が起こりやすくなる。
外部ノイズ
外部からもノイズは混入してくる。電源ケーブルやラジオ・TVの電波などである。

[編集] ノイズ混入の回避

外部からのノイズはシールドによってかなり減らすことが出来る。また、2本の電線によりをかけて「より対線」にすることで、ノイズの働く電磁界の向きを互い違いにして、影響を最小限にする工夫を行っている。出来るだけ漏話を避けるために、よりのピッチをより対線ペアごとに変えて、同じ向きに長い区間で向き合わないようにしたり、より対線ペアごとにシールドをかける。

[編集] 高周波数

ケーブルを流れる電気信号は高い周波数ほど減衰しやすいため、高周波数対応のケーブルはそれだけ太い銅線の使用が必要となる[2]

市販のイーサネットケーブルは殆どが撚り芯線である。電話線は、古い屋内配線ではベル線と呼ばれる単芯線(ツイストペアではない2線平行)が使われていたが、近年では撚り芯線(ツイストペア)や、4本の線をひとまとめに撚り合わせたカッド線(対打ち線)が多い。

[編集] カテゴリ

ツイストペアケーブルはいくつかのカテゴリに分かれて規格化されている。主な利用目的などを以下に示す。

カテゴリが上がるにつれ、撚りのピッチが細かくなったり、十字介在物や箔の追加によってケーブルが硬くなる傾向にある。UTPとSTPのとそれぞれのグループ内では、上位カテゴリのケーブルを下位カテゴリのケーブルの代替として用いることが可能である。たとえばエンハンスドカテゴリ6のケーブルを100BASE-TXに使用することが可能である。カテゴリーはISDN時代には「レイヤー」と呼んでいたこともあり、技術者によっては今でもそう呼ぶ場合がある。

[編集] その他

[編集] ストレートとクロス

結線の仕方により、ストレートケーブルとクロスケーブルに分かれる。イーサネットでは、ストレートケーブルはNICハブとの接続、クロスケーブルはNIC同士の接続や、ハブ同士のカスケード接続に使われる。2007年の現在は、一般ユーザー向けのスイッチングハブにはほとんどすべてに「AutoMDI/MDI-X」と呼ばれるストレート・クロス自動判別機能が付いている。

[編集] カテゴリー5相当

市販されている持ち歩きに向いたスリムタイプのケーブルには「カテゴリ5相当」と書かれたものが存在しているが、正式なカテゴリ5製品では4対全てが結線されているのに対して、こういったケーブルが細い製品では2対しか結線されていないものがある。これはカテゴリ5である100BASE-TXには使用が差し支えないと思われるが、1000BASE-Tに使おうとしても1G相当の速度では全く使用できず、オートネゴシエーションによって100M相当の速度に落ちてしまう。カテゴリ5でも数mといったごく短距離では1000BASE-Tで使えることがあるので「カテゴリ5相当」表記であっても注意が必要[3]

[編集] 敷設作業上の注意点

2008年時点では、100BASE-TXから1000BASE-Tへの移行が本格的となっている。PCとスイッチなどを接続するギガビット・イーサネットを使うには、カテゴリー5Eのケーブルでよいとされるが、価格差は殆ど無いためカテゴリー6が主流である。またデータセンターやバックボーン接続などにカテゴリー6Aを敷設するケースも増えているが、ケーブルが太くて硬いことによる取り回しの悪さや対応機器が存在しないことなどから、オフィスや家庭で普及する見込みは立っていない。また内外の主要メーカーは自社製品を認定業者が正しく施工した場合に限り15年から25年の製品保証をしている。

個人ユーザなど、専門業者以外が店頭で購入するLANケーブルは、きりのいい数字の長さ(30cm,50cm,1m,3m,5m,7m,10m,20m,50m,100mなど)であらかじめ両端にコネクタを装着されたものである。開封してすぐに使えるが、必要な長さとは異なるものを使用しなければならないことがある。例えば、11mの区間を配線するには20mのLANケーブルを購入しなければならず、そうすれば9mが無駄となる。

専門業者がLANケーブルを敷設する際は、コネクタの付いていないケーブルとコネクタと圧着工具を用意し、必要に応じてケーブルを切断し、コネクタを取り付けて配線することが一般的である。ケーブルにコネクタを取り付ける作業は少々難しく感じるが、年を追うごとに使いやすい工具・差し込みやすいコネクタが出回っているので、個人でも可能な作業である。なお、コネクタを取り付けたら必ずそのケーブルの規格に合った最新のLANテスターと呼ばれる器具で正しくできているかどうかを確認しなければならない。

また、ケーブルの製造業者に依頼して、必要な長さの特注ケーブルを発注することができる。店頭で買うものよりは割高になるが、長さの面でも品質の面でも好都合である。特にカテゴリ6以上のケーブルでは、よりの間隔が非常に狭く、加工には慣れが必要になるので、有用である。たとえカテゴリ6以上のケーブルを用いても、コネクタ取り付けの加工が良くなければ、本来得られる伝送特性は得られない。

[編集] オーディオ信号用ケーブル

オーディオ信号をバランス伝送で伝送するためにSTPケーブルが用いられる。アナログ音声信号、デジタル音声信号(AES/EBU規格)で使われ、コネクタにはキャノンXLRシリーズが使われることが多い。

[編集] 芯線の種類

ツイストペアケーブルは芯線を撚り対線としたものであるが、芯線1本1本の導線にも種類があり、単線と撚り線のものがある。単芯線は伝送特性に優れるが折り曲げに弱く、撚り線は扱いやすいが伝送特性が変化しやすい。

[編集] 出典

  1. ^ 日経NETWORK 2004/3
  2. ^ 日経NETWORK 2004/3
  3. ^ 日経NETWORK 2006年8月号 「ギガイーサ導入でトラブル」p99

[編集] 関連項目